探検家と美女(ツツジとサツキ) 記事で作った SF・短編・ショートショート(6)
「ハヤカ隊長、女と会いたくないですか?」
「そうだなあ、そういえば随分と話してないな」
「いいよなあ、女は」
「お前、やっと正気に戻ったな。安心したよ」
我々二人は地球を旅立って半年を過ぎている。超新星爆発が心配されたベテルギウスの周辺を旅して、何とか生き延びているが、最近は地球が恋しくて仕方がない。
旅の途中で、ベンピ―星で「刺激的な眠りを提供する布団」をもらい、ヨーゼフが狂ってしまったがやっと戻ってほっとしている。
しかし、男二人の宇宙旅行は本当の刺激がなくて、体がうずうずる。ああ、女と会いたい。
「ヨーゼフ。そういえば、あの布団は捨てたのか?」
「いえ、高価なものですから格納庫で保管しています」
「宇宙に捨てればいいだろ」
「もったいないですよ。あれで寝たら刺激的ですから」
「それが怖いんだよ。勘弁してくれよな」
「わかってます。ただ、どこかで利用できそうで」
「お前、へんなことを考えるなよ」
そんなくだらない会話をしないと暇で仕方がない。探検と言いながら、新しい惑星を見つけないと地球に成果を伝えられない。
ビー ビー ビー
「どこからか、通信があります」
「いいぞ。つなげ!」
「私タチ ハ 双子星 ノ 政府 デス。 遠イ所カラ ヨウコソ。向コウニ見エル 緑色ノ星へ 真ッスグ 向カッテ クダサイ」
「おい、地球の言葉で通信してくるぞ。しかも、地球人だとわかっている。なんて賢いんだ」
「ハヤカ隊長、行きますか?」
「行くに決まってるだろ」
我々は何の疑いもなく双子星へ向かった。聞こえてきた声が美しい女性の声だったからだ。
宇宙船は、大気圏を越えて緑の広がる美しい大地を飛んだ。双子星の政府がピカピカと光を出して誘導してくれる。
「ようこそ、双子星へ」
飛び切り美しい二人の双子の女性が我々の前に現れた。上品な地球語を使って歓迎している。
「サツキとツツジと申します。左がサツキです。右がツツジです。この星の人間はすべて双子なのです」
サツキとミスズは、目が大きく、唇はうすピンク色で艶があり、透明感のあるさらっとした髪をしている。豊満な胸、きゅっとしまった腰。地球でも見たことのないような美しい女性だった。
「あなたたちは二人。私たちも二人。地球人の方だなんて、興奮してしまいます」
サツキがは恥ずかしそうに言った。
「双子星は女性がほとんどです。どうか、助けてください。お願いします」
ツツジが顔を赤くして私を見つめた。
「ハ、ハヤカ隊長。すごい展開ですね。どうしますか?」
「どしますかって、お前、どうしたいんだ?」
「そりゃあもう」
我々が頷くと、彼女たちは近づいてきて、サツキが私の手を握りしめた。
「では、サツキがあなた様とご一緒させていただきます。隣の方がツツジということで」
「わ、わかりました。おい、ヨーゼフ。いいだろ?」
話しかけてもヨーゼフは思考回路が切れてしまい、目玉がハートマークになっていた。仕方ない。やつはこういう男だ。
「では、ハヤカさん。私が双子星を案内します」
積極的なサツキは、優しく微笑み、腕をぐっと掴んで自分の車に乗せた。ヨーゼフはツツジと一緒にどこかへ行った。
「しかしサツキさんもツツジさんも、よく似てますね。見分けがつきませんよ」
「簡単ですよ。私は、ほら、ここに5本の太い髪があるんですが、ツツジは10本あります。それに、私のほうが少し小柄ですわ」
嬉しそうに話すサツキの声は、懐かしい地球を思い出す。私だって、こう見えても少しは女関係はあった。しかし、久しぶりだ。
「私たち婚約しましょう」
「えっ。いいのですか?」
「もちろんです」
こんな夢のようなことがあっていいのだろうか。宇宙の旅は辛いことばかりだが、我慢しているといいこともある。
それから一週間が過ぎた。私はヨーゼフとは会っていない。サツキの話では、自分の宇宙船にから「刺激的な布団」を持ってきたらしい。なんて奴だ。
このまま双子星で過ごすか。地球のこともあるし、私はヨーゼフを探した。しかし、どこに行ったのかわからない。その代わりにツツジを見つけた。ツツジはサツキと同じく愛らしい女性だった。
「ヨーゼフと婚約したのですか?」
「ええ、まあ」
相変わらず控えめなツツジはサツキにはない魅力があった。ほんのりピンク色の肌は滑らかで、笑顔は男の本能をぐっと引き締める。
こんな良い子をヨーゼフみたいなデタラメな男の手に入れるなんておかしいぞ。よし、口説いてやろう。この星には男が少ないのだから二人の女性と婚約したっていいじゃないか。
私はツツジに熱い視線を送った。ツツジはそれに気がついたのか、ほんの少し目を見開いて恥ずかしそうな顔をした。
「ツツジさん。私はサツキとツツジさんの両方ともを幸せにしたいんです」
「それはどう言う意味ですか?」
「いやあ、その」
すぐに言葉が出ないでいると、急にツツジは怖い顔をした。
「この星では、浮気は絶対に許されません。地球では野良犬がそこらへんの犬と交尾をするぐらい浮気は普通なのかもしれませんが、ここでは死刑です」
「え? 死刑?」
「はい、声をかけただけで死刑です。地面に生き埋めになるのです」
「いや、私は、えっと……じょ、冗談ですよ」
「冗談? さっきの目は冗談ですか? 地球人とはひどい生き物なんですね」
真っ赤になってツツジは怒る。もう、どうにもならない。後からサツキが現れた。
「冗談ならいいです」
「た、助かりました。びっくりしましたよ」
「ですが、ヨーゼフはダメです」
「ど、どうして?」
「あの人、昨日、私のところに来て、ハヤカ隊長はダサくて頭が硬いからサツキさんも俺にください、と口説いてたんです。だから、ほら、あの畑埋まってます」
窓から見える畑を見た。ヨーゼフは顔と手だけを出して何か叫んでいる。
馬鹿やろう。「ツツジとサツキ」の肥料になりやがれ。
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今後、原爆をテーマに小説を書きます。テーマ的に文学賞からの出版は厳しいと考えてます。出版費用にしたいです。応募よろしくお願いします。