年上のベテランに、どこまで踏み込むか。40代管理職の実感
私が見ている中に、実務では私より先輩のベテランチーフがいる。
任せているし、任せたほうが回る。
ただ、本当に大丈夫なのかは、外からは分からない。
違和感は、報告の中身ではなく話し方に出る
大事な節目の会議が近づいていた。残り時間も少ないので、いつもは入らない打ち合わせに私も入った。
その場で、彼が新しく出たトラブルの話をした。焦っている様子はない。
「ちょっと苦しいっすけど、なんとかやってきますね」
引っかかったのは、内容ではなく話し方だった。
いつもの彼なら、こう喋る。この課題はA部署に投げていて、こっちはB部署待ちです。来週回答が返ってくれば解決します。
関係部署と、依頼していることと、期日。いつもはこれがセットで出てくる。
今回はそれがなかった。予定が立っていない。
一人で回っているチームは、外から順調に見える
経験のある人なら分かっている話だと思うが、外から順調に見えるチームほど、中を見ないと分からない。
彼が出ている他部署との打ち合わせにも入れてもらった。様子を知りたいので、とだけ言った。
見ると、他部署側も進んでいない。タスクは投げてあるが、返ってきていない。
よく聞くと、メンバーは別の案件にかかりきりだった。彼はリーダーなのに、自分で手を動かしていた。同時に全体の仕切りもやっていた。
自分で手を動かしていると、目の前しか見えなくなる。もう一人いれば、そこじゃないだろう、と言える。
彼にはその一人がいなかった。
案件の名前を出して初めて、弱音が出た
会議のあと、個別に話した。
あの案件、ここへ来ていきなり出てきて苦しいですよね。課題の整理と対策を考えるところ、一緒にやらせてください。
そう言ったら、返ってきた言葉が違った。
実は裏で別の案件も抱えていて、正直そっちに手が回っていなかったんですよ。助かります。
ベテランが珍しく漏らした弱音だった。
まじか、危なかったな、と思った。節目の会議まで、もう時間はない。この人がここまで言うなら、相当詰まっていたということだ。
「何かあったら言ってください」では、二週間何も起きなかった
あとで思い返して、まずいなと思ったことがある。
実は二週間前にも、私は彼に声をかけていた。何かあったらいつでも言ってください、何でもやりますので、と。彼も、わかりました、と答えた。
それで二週間、何も起きなかった。
なぜ踏み込まなかったのか。相手が先輩だという遠慮があった。ベテランだから捌けるだろうとも思っていた。本人が焦っているようにも見えなかった。
任せると決めていたし、というのもあった。
要するに、油断していた。
あの一言で、私は声をかけた状態になった。私が安心しただけだった。
中身を知らない人間は、踏み込めない
信用していないことになるのでは、とも思った。実務では先輩なので、中まで見にいくのはやりづらい。
ただ、私がやったのは進捗を詰めることではない。どこが詰まっているかを聞いて、整理は私がやります、と引き取った。
相手の手が空くなら、信用の話にはならない。
そして、この案件のここを引き取ります、と言うには、中身を知っているしかない。
知らない人間は、何かあったら言ってください、としか言えない。あの一言は、踏み込まないための便利な言葉でもある。
声をかけるだけでなく、一歩踏み込んで見る
今回気づけたのは、たまたま打ち合わせに入っていたからだ。話し方のキレが違う、というだけの違和感だった。
チャットのやり取りだけだったら、たぶん見逃していた。
任せると決めた相手ほど、中身を見にいく理由がなくなる。そこが落とし穴だった。
だから今は、任せている相手でも、中身は日々把握しておくようにしている。そのうえで違和感があったら、その場でもう一歩深く聞く。
何かあったら言ってください、で終わらせない。あの案件のここ、私がやります、と言えるところまで持っていく。
そこまでやって、初めてお互い助かる。
声はかけたんだけどな、と思ったことがある人に届いたなら嬉しいです。40代管理職のリアルな話を、これからも書いていきます。共感した、また読みたいと思っていただけたら、スキとフォローをもらえると次を書く力になります。
■厳選記事 まとめ
毎日の現場の気づきを、これからも書き続けます。メンバーシップを開設しました。
40代管理職として実際に経験し、体で覚えてきた話。
読者から特に反響が大きかった記事を厳選してここに残していきます。
ビジネス書には書けない、現場の失敗と気づきの記録です。
▼ 40代管理職の「生存戦略」のメンバーシップ(月500円・初月無料)
