ASANOTE#15 報連相は古い? 部下が育つ“次世代の型” ARPS
こんにちは!
構造と思考のデザイナー、ケイです。
9/30のASANOTE#14にて、「報・連・相」を人材育成に適用することに対する問題提起をさせていただきました。
今回はそのアプローチとして考案した「ビジネスコミュニケーションの新しいモデル」を紹介します!
主に、以下のような方が対象になります。
・ビジネスパーソンのマネージメント業務に就かれている方
・自在開発・組織開発担当者
・ビジネスのフロントに立つ方
・その他、ビジネス現場でのコミュニケーションを獲得したい方
内容は以下の通りです。
まず、サクッと前回の内容をおさらいします!
「報・連・相」の問題点
▼そもそもの定義
報告:上司などの関係者に対して、自分の仕事の途中経過を周知すること。
連絡:自分の意見や憶測を含めずに、関係者に対して自分の現在の状況を周知すること。
相談:自分だけで業務上の判断が困難なとき、上司に意見をきくこと。
しかし、それを教えられてきたはずの人でも、うまく回答できない、報告できない事も多く、上司はそういった部下の能力開発に相当な時間をかけている。その要因を以下のように整理しました。
▼要因
定義が曖昧で、認識が揃わない。
「連絡」「相談」と曖昧な概念が混ざっており、実務でどう動くべきかが明確になっていない。
結果、現代のスピード感に合わない
曖昧で相互の認識合わせに時間がかかりすぎるから。
ただ「報・連・相」と言われただけでは、本質的に求められていることを理解・習得できない
実際に要求されている能力
そして現場で実際に必要とされているのは、以下のような能力です。
適切な「質問と回答」を応酬できる能力
回答者:質問の意図を捉えて回答できる
質問者:問いを明確にできる
「改善提案」を含めて報告する能力
次の一手が何かを示せる
究極的には、「意思決定者が、判断できる状態」にできる
「報告」
関連事象を正確にまとめ、可能限り早く報告できる
「提案」
目的や前提を説明し、課題と要因を明確し、対応策を考える。
対応策はメリット・デメリットなど必要な情報を網羅する。
提案者の意思(責任感)が求めれられている。
もはや「報・連・相」とは全く異なるスキルを要求していると言っても、言い過ぎではないでしょう。
以上が、前回のnoteで行った問題提起のサマリーになります。
提案したい、新モデル
ということで提案したいのは、問題点へのアプローチを内容した、新たなビジネスコミュニケーションモデル、その名もARPS<アープス>です。

構造は図の通り。それぞれの頭文字をとって、ARPSと名付けています。
Level1:質問と回答(Ask & Answer)
Level2:報告(Reporting)
Level3:提案(Proposal)
Extra:共有(Share)
基本思想
縦のコミュニケーション
組織の中でも、レポートラインを動かす「縦」のコミュニケーションとして「質問&回答」「報告」「提案」。習得順番の目安として、レベルを設けています。
横のコミュニケーション
同僚や他部署とのつながりを意識した「横」のコミュニケーションとして、「共有」があります。「報告」と似て、整理力や簡潔さが求められますが、目的はあくまで組織全体の生産性向上。したがって「報告の延長」ではなく、独立した横のスキルとして位置づけています。

ARPSを身につけることで、全ビジネスパーソンのコミュニケーション能力が格段に向上します。自律性の高い部下を育てることにもつながりますし、提案スキルまで磨けば、組織の意思決定がよりスムーズになっていきます。「報・連・相」を漠然と意識するのとは解像度が全く異なるので、このモデルで学習する/学習させることによって、着実にビジネスに必要なコミュニケーションの習得に繋げることができるのです。
では、ここからは「実際に学ぶ、教えるための具体的な手段」をお伝えします。
✅スキル習得用の演習シートが全パートに付属
✅読んだその日から実践できる
という内容になってますので、是非最後まで読んでみてください!
Level1:質問と回答(Ask & Answer)

ポイント:相手の質問を正確に捉え、結論から明確に回答する力が求められます。そしてビジネスの場で特に大事なのは、オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョンの使い分けです。
オープン・クエスチョン
「どう思いますか?」「あなたの意見は?」のように、相手に自由に答えてもらう質問。
クローズド・クエスチョン
「AとBのどちらが良いと思いますか?」のように、選択肢を与えて答えさせる質問。
回答はまず結論(A/B/どちらでもない)を述べ、次に理由を説明するのがスマートです。
一見簡単ですが、実際には難しい場面も多いです。情報が不十分だったり、答えにくい質問に直面すると、人はつい曖昧に答えてしまいがちです。
これができないと「結論から回答できない人」と思われてしまうのです。
簡単にみえて、これが意外と難しい。
特に、ちゃんと回答する材料を持ち合わせてない時、痛い所を突かれた時、総じて「答えにくい」という気持ちになった時に、曖昧な回答を選択してしまうのです。
しかし、どんな状況でも率直に結論から答えられるかどうかが、トップ級ビジネスパーソンとそれ以外を分けるポイント。
基本にして究極。これが質問と回答です。
🚨Level1:「質問と回答」のアクション
✅️まず1on1などで、オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョンの概念を共有する
✅️オープン・クエスチョンには、主語を明確にして回答する演習を行う
✅️クローズド・クエスチョンには、提示された選択肢を考慮して結論から回答する演習を行う
以下は演習用のサンプルクエスチョンシートです。スプレッドシート形式ですので、コピーしてご使用ください。
「オープン・クエスチョン」か。それとも「クローズド・クエスチョン」か。
実際のビジネスの場で何かを問われた際に、これを覚えてるかどうかで、その時の考え方や答え方は変わってくると思いませんか?
ここを押さえれば、議論はぐっと前に進む。結論から答え、応酬をスマートにこなせるというのは、ビジネスシーンにおいて重要なのです。
Level2:報告(Reporting)

ARPSモデルにおいて、報告と提案は明確に切り分けていますので、このパートでは明確に「報告」のみを取り扱います。
前提として、まず「ダメな報告」を知るところからスタートしましょう。
ダメな報告とは
報告自体が遅い
事業において、即時性のない報告は、そもそも価値がありません。タイミングを逸してしまった情報に関して話すくらいなら、今起きている問題を議論する時間に充てるべきです。したがって、遅い報告に周囲の人間を巻き込むような行動は、明確な損失と見做されます。
事実と、推測・憶測を分離できていない
端的に言えば、正確な情報が報告されない、ということです。
例えば「実際に起きた」「誰が言った」「私が思った」「誰かの指示を受けた」など。この部分を徹底できないと、「社員みんなが言っている」とか「世の動きがそうなっている」とか、主語が大きくなりすぎてしまったりします。良くないケースだと誘導や隠蔽につながってしまう恐れがあります。
報告者は何が重要だと考えているのかが、わからない
報告には、その報告事項に応じた多くの情報が網羅されることになりますが、ここで問われるのが報告者の責任感と意思です。「事実はこれ、私の意見としてはこれが重要だと考える、なぜならば~~」という部分です。どんな報告もこれがないと、ただの情報の羅列に成り下がります。
結果、必要な情報が集まっているのかも判断がつきづらくなってしまうので、内容の把握にとても時間がかかってします。結果これも「報告の価値がない」ということになってしまうのです。
これらを踏まえ見えてくる望ましい「報告」のあり方は、「即時性、正確性(事実と推測の分離)、示唆・意見・補足」です。
🚨Level2:「報告」のアクション
✅️報告相手のニーズ:相手の知りたいことを把握しているか、確認する
✅️即時性:いつ報告すべきかを、先に上司に相談して決める
✅️正確性:
事実と推測の分離ができているかを確認する
関連性のある情報が簡潔にまとまっているかを確認する
✅️報告者が責任をもって、示唆・意見・補足を発言できるかを確認する
以下は演習用の報告お題サンプルシートです。スプレッドシート形式ですので、コピーしてご使用ください。
報告は単なる「事実の伝達」ではありません。
即時性と正確性を押さえたうえで、報告者が自らの責任を持って示唆や意見を添えることで、はじめて意味を持つものになります。
もし報告が遅れたり、事実と推測が混ざったり、責任の所在が曖昧になれば、組織全体の判断スピードは鈍り、損失につながってしまいます。逆に、良質な報告ができれば、会議は短くなり、意思決定は早まり、組織の信頼関係も強化されます。
つまり「報告ができる人」とは、ただ情報を伝える人ではなく、組織の意思決定を加速させる人なのです。
Level3:提案(Proposal)

「報告」ができるようになったら、次に求められるのは「提案」です。
報告が「事実の伝達」であるなら、提案は「問題解決の意思表明」です。
ここで重要になるのは、課題をどう捉え、どう解決策を導き出すかというプロセスです。
ダメな提案とは
責任のない提案:「どうすればいいでしょうか?」と聞くだけ。これは相談すらなく、上司への「丸投げ」です。
根拠のないアイデア:思いつきに過ぎず、実現性や効果が検証されていない。
相手視点の欠如:提案を受ける側が「判断しやすい情報」になっていない。
こうなってしまっていると、単なる意見表明の域を出ておらず、「提案」にはなり得ません。
提案の基本フロー
提案は、問題解決思考を土台にした「課題→要因分解→対応」の流れで考えるとスムーズです。
課題の明確化
「今の問題は何か」「なぜ解決すべきか」を定義する。
要因の分解
問題の根本要因を整理する。
(例:売上が伸びない→集客不足か?単価か?リピート率か?)
対応策の提示
要因ごとに具体的な解決策を出す。
このとき、複数案を提示し「AかBか」を相手が選べるようにすると効果的。
意思と責任の明示
「私としてはA案を推したい。理由は○○だからです」など、ここで自分の立場と責任感を示す。
「質問と回答」との接続
提案の場では必ず相手からの質問が飛んできます。
そのときに、Level1で学んだ「オープン・クエスチョン/クローズド・クエスチョン」の応答スキルが活きます。
さらに、報告の際に磨いた「事実と推測の分離」や「即時性・正確性」も、提案の説得力を高める武器になります。
つまり、提案は「質問と回答」「報告」の総合格闘技なのです。
🚨Level3:「提案」のアクション
✅ 目的に対しての課題を正しく定義できているか?
✅ 課題の要因を分解して整理できているか?
✅ 実現可能な解決策を複数提示できているか?
✅ 自分の推し案を明確にし、その理由を説明できているか?
✅ 相手の質問に結論から答えられる準備ができているか?
以下は演習用の提案お題サンプルシートです。スプレッドシート形式ですので、コピーしてご使用ください。
この「提案」までマスターできれば、単なる情報伝達者から「意思を持って組織を動かす人」へと進化します!
Extra:共有(Share)

ARPSの3つの基本レベルは「縦のコミュニケーション」でした。
これに対し「共有(Share)」は、横のつながりを意識した補助的なアクションです。
共有は、組織の生産性を底上げするための潤滑油です。
なぜなら、知っていることを一人が抱え込むより、全員が使えるようにした方が、組織全体のスピードと精度が上がるからです。
ダメな共有とは
一方的に情報を投げるだけ:「とりあえず送っておきます」という姿勢では活きない。
ノイズが多すぎる:膨大なリンクや情報を投げつけると、受け手が疲弊し、むしろ生産性が下がる。
属人的なルール:自分だけが分かる形式で残すと、後で誰も使えなくなる。
良い共有の3条件
関連性:相手やチームにとって役立つか?
簡潔性:短く要点を押さえているか?
再利用性:後で誰が見ても理解できる形になっているか?
共有の形態
ナレッジ共有:手順書・Tips・失敗事例・ベストプラクティス
進捗共有:自分の担当範囲やタスクの見える化
情報共有:外部からのニュース・学び・顧客の声など
こうした情報を「誰かのために残す」という意識が、横のコミュニケーションの質を決めます。
「報告」「提案」との違い
報告や提案はレポートラインを意識した縦の流れ。
共有は同僚・他部署などを意識した横の流れ。
縦と横が噛み合うことで、組織はより強固に、より速く動けるようになります。
🚨Extra:「共有」のアクション
✅ 共有する情報の「目的」と「対象」を明確にする
✅ 情報は要点を押さえ、ノイズを減らす
✅ 後から参照できるように記録を残す
✅ 「自分だけでなくチーム全体の資産になるか?」を基準に考える
以下は演習用の提案お題サンプルシートです。スプレッドシート形式ですので、コピーしてご使用ください。
「共有」は、ARPSにおける横の要素です。
こうしてみると、報告と似ていますよね。
相手のニーズや状況を考え、簡潔にまとめて共有するという意味では、報告の派生スキルとも言えます。
縦のスキル(質問・報告・提案)の強化が大前提になりますが、その上で「共有」まで徹底すれば、レポートライン以外にも、組織の知的生産性の向上に寄与できるようになっていきます。
✨️実践手順
以上がARPSモデルの全容です。
習得する/させる場合は、是非下記の通りの順番でやってみてください。
習得ステップ
Level1:質問と回答
ゴール:オープン/クローズドの違いを理解し、結論から答える習慣を身につける。
Level2:報告
ゴール:即時性と正確性を徹底し、意見・示唆を添えて「組織を動かす報告」が出来るようになる。
Level3:提案
ゴール:目的→課題→要因→対応の流れで考え、「責任ある提案」が出来るようになる。
Extra:共有
ゴール:ナレッジ・進捗・情報を横につなげ、組織全体の資産にすることが出来るようになる。
ポイント
「縦(質問・報告・提案)」をまず極めること。
そのうえで「横(共有)」を加えることで、組織の生産性は飛躍的に高まる。
ケイ本人による習得のサポートについて
今後は反応次第で、習得用の個別アドバイスや、講習プログラムを検討したいと思います。余力があればYouTube動画なんかもいいかもですね。
もし要望があれば、是非コメント欄や、XのDMなどでご連絡をいただければと思います!
まとめ
現代は、当たり前にAIを活用できる力も求められています。
AIは、論理的に正しいインプットができなければ、理想的なアウトプットは返ってきません。適当に使ってもなんとなく良いアウトプットが生成されてしまうので、実は論理的なインプットが出来ていないことにも気づくこともできません。
だからこそ、ビジネスコミュニケーションを磨き上げれば、確実にAI活用能力も向上します。
この情報が一人でも多くのマネージャーや人事担当者の手元に届き、それぞれのビジネスに貢献できることを願っています!
長くなりましたが、ご購入の上最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ASANOTE|ケイ
読んでいただき、ありがとうございました。
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