『ドリランド』『怪盗ロワイヤル』ソシャゲ時代とは全く別の進化”を遂げた、DeNAとGREE──決算から企業OSを読み解く【第5回】
こんにちは!
中卒40代・プロ会社員|マルチクリエイターのケイです。
ゲーム業界の企業OSを決算から読み解くシリーズ、
第5回は 「DeNA × GREE」 です。
この2社は現在、全く別の企業として認識されていると思いますが、
ガラケー時代には「mobage」と「gree」の二大巨頭として覇権を争った過去があります。
『探検ドリランド』『怪盗ロワイヤル』という名前を聞いて、胸がざわめく世代の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

当時から両社個性の違いはありましたが、
ガラケー時代の“ソシャゲ創世記”
モバゲー vs GREE のライバル関係
日本のモバイルゲーム市場をつくった2社
という“同じ時代を盛り上げていた会社”という印象がありますよね。
しかし、似ていたのは 2010年代前半 まで。
時代がスマホ・フルネイティブアプリに移り変わっていく中で、この2社もそれぞれの形で変化を続けています。
まったく別の方向に進化したDeNAとGREEが、今どのような形になっているのか。
今回の分析では、両社の決算情報からそこを読み解いていきます。
では、早速見ていきましょう!
🟥 DeNA:モバゲーから“AI・データ社会OS”へ進化した企業
DeNAは、
「モバゲーの会社」という旧イメージを完全に脱却しています。
2025年3月期の最新決算を見てみましょう。
🟥DeNA(2025年3月期・最新決算)
🔴PL(損益)
売上高:1,470億円前後
営業利益:185億円前後
営業利益率:約12%(ポケポケ寄与で急改善)
🔴BS(財務状態)
総資産:3,760億円
純資産:2,630億円
現金同等物:約1,000億円
有利子負債:極めて少ない(財務の“軽さ”が特徴)
ポイントはやはり、直近のポケポケの世界展開によって改善したPLですね。
“AI・データ・スポーツ・ヘルスケア”の再編後も、財務は総じて【軽くて柔らかい】構造を維持しています。
🟥 ① Pokémon Trading Card Game Pocket(ポケポケ):DeNAの“新しい武器”
DeNAは長らく「ポケマス」の運営で知られてきましたが、2024〜2025年にかけて、状況が大きく変わりました。
ポケポケ(Pokémon TCG Pocket) の登場です。
これが、DeNA の新たな成長の軸として急浮上。
ポイントは4つ。
🔴1) Pokémon × DeNA × Creatures の“共同OS”プロジェクト
ポケポケは単なるアプリゲームではなく、
ポケモンカードゲーム(TCG)
その世界観・収集文化
デジタルカードの流通モデル
を、スマホネイティブで再構築する“新機軸”ゲームです。
DeNAはアプリ開発だけでなく、
データ構造
運用設計
UI/UX
継続率のOS
を丸ごと共同で構築している。
DeNAの強みである、「データ活用・運用」が、
ポケモンIPの巨大さと合致した案件であるということです。
🔴2) TCG市場のデジタル化という“巨大テーマ”に直結
TCG市場は世界で5,000億円級ですが、
2025年現在、Pokémon はその中で最大級のIPです。。
そしてその市場は
“リアルTCG × デジタルTCG” の二層構造に変化しつつある。
DeNAは、
この“イノベーションの中枢”に座った形になります。
これは非常に強い場所に陣取ったと言えるでしょう。
🔴3) DeNAの決算でも明確に存在感が増大
DeNAのゲーム事業は波が大きいと言われてきましたが、
ポケポケは 長期運用型 × 世界同時展開 という構造を持っています。
これは DeNAにとって久しぶりの
“世界IP × 長期運用 × データOS”のフルセット案件。
重要な企業成長ドライバーとして位置づけるのは自然な流れだと考えられます。
ポケポケの好調によりDeNAのゲーム事業のユーザー消費額が前四半期まで200億円程度だったものが第三四半期には946億円に上昇し、前年同期比で利益率が8126.8パーセントを記録、株価も一時10パーセント高を記録した。
このように、事業・株価に大きなインパクトを与えています。
🔴4) DeNAの強みの象徴
ポケポケは、
運用
行動ログ、データ分析
card-based UX
グローバルアプリ品質
など、DeNAの“OSとしての強み”を総動員するプロジェクト。
つまりポケポケは
DeNAが“AI・データ企業”として進化した証明を、
世界に示すことができるプロダクトであるということです。
🟥 ② 多角化の部分
最新決算を見ると、DeNAの本丸は明らかに
AI(LLM・医療AI・社会インフラAI)
データプラットフォーム
スポーツ(プロ野球・バスケ)
ヘルスケア・医療DX
の4つに軸足を移しています。
特に…
🔴 スポーツ事業:横浜DeNAベイスターズ × Bリーグ × XR演出
スポーツを単なる“チーム運営”ではなく、
スタジアムUX
データ分析
ファンマーケティング
エンタメ空間設計
XR演出(試合中映像・演出)
として統合的に扱っています。
単に企業ブランディングや興行としてスポーツに関与するだけでなく、「スポーツ × データ × エンタメ」の実験場としても最大活用しているのが、DeNA。
決算への影響も重要で、スポーツは長期での安定売上にも寄与し、事業としての“谷の浅さ”を作っています。
🔴 医療・ヘルスケア:真の多角化エンジン
DeNAの社会的影響度をレベルアップさせている異質なポイントは、個人的にここだと思います。
ヘルスケア
遠隔医療
AI診断補助
といった医療DXに深くコミット。
ここがDeNAを“ソーシャルゲーム企業の進化形”ではなく、“社会貢献企業”へ進化させた重要なファクトではないでしょうか。
🟥 DeNAの本質:ゲーム企業ではなく、“社会OS企業”
ベイスターズを中心とするスポーツ事業
医療・ヘルスケアDX
AI・データプラットフォーム
そしてポケポケで再起動したゲームセグメント
これらはすべて
「人と社会の行動データ」を軸に結びつく一本の線でつながっています。
DeNAは“モバイル時代の会社”から、
社会インフラの文脈に寄与するOS企業へ進化したと言えるでしょう。
🟦 GREE:“投資 × インキュベーション企業”への進化
GREEは、DeNAとは全く違う形に進化しました。
決算と事業構造を読むと、
この会社もまた純粋な 「ゲーム企業」ではなく、
「投資 × 新規領域のインキュベーター」としての側面を強めています。
🟦 GREE(2025年6月期・通期予想ベースの最新値)
🔵PL(損益)
売上高:720〜760億円
営業利益:110〜130億円
営業利益率:約15%(投資事業の寄与が大きい)
🔵BS(財務状態)
総資産:3,300億円前後
純資産:2,500億円
現金同等物:1,600億円超(“投資家型”構造の根拠)
有価証券:多い(VC投資が資産の厚みを形成)
ゲーム事業は縮小しつつも“粘る”キャッシュマシンとして継続。REALITY・Web3はまだ投資フェーズだが、財務は現金が分厚く投資型で、攻めと守りのバランスが良い形です。
ポイントごとに見ていきましょう。
🔵 ① 投資事業:利益の基盤
GREEの現在を理解する上で、投資事業は外せません。
原点であるソーシャルゲーム事業が縮小する中で、
スタートアップ投資
海外VCファンド
有価証券などの資産運用
これらが 「事業の波に左右されない収益源」 として存在感を増しています。
GREEのPLを見ると、
四半期ごとのブレを吸収しているのは、実はこの投資部門です。
ゲームのように初速やイベント依存で激しく揺れず、
市場全体の成長と連動しながらジワッと積み上がるタイプの利益。
言い換えると、
ゲームは“攻撃力”だったが、
投資はいつの間にか“体幹”になっていた、というイメージでしょうか。
GREEが長期の視点で新規領域に打って出られるのも、この“背骨”が安定しているからこそ、という構造が透けて見えます。
🔵 ② Web3・メタバース:GREEの“攻めの領域”
GREEが今いちばん攻めているのが Web3・メタバース です。
ここは単なる実験ではなく、
「次の主力を自分たちで作る」ための第二創業線 に近い位置づけ。
● REALITY(メタバース)
世界1,400万DL超
アバター課金 × ライブ配信でグローバル成長
アジア圏で勢い強め
“アバターが生活のOSになる未来”を前提に、インフラを取りに行っています。
● Web3(ブロックチェーンゲーム)
自社チェーン開発
Web3タイトル開発
海外アライアンスも積極的
NFTを投機ではなく “ゲームの構造要素” として扱う姿勢が一貫しています。
● なぜGREEはここに賭けるのか?
GREEはガラケー時代に 「新しいプラットフォームの入口」で勝った経験 を持つ会社。
だからこそ、次の大波が来た時にまた前に立つため、未来の本丸候補としてWeb3/メタバースに張っていると思われます。
🔵 ③ゲーム事業:主戦場ではないが、依然として“キャッシュを生む古参プレイヤー”
GREEのゲーム事業は、
かつての「プラットフォーム戦争の主役」ではなくなりました。
しかし、これは“縮小した”というより、
役割が変化し、企業の中で安定キャッシュ装置へと転生した と見るべきです。
現在の主軸は、
アプリゲームの長期運用モデル(長寿タイトルのLTV回収)
外部IPコラボによる回転率の確保
海外スタジオ(特にWFS)による高品質RPGの企画
という “固定費最適化 × 既存IP・既存ファンの維持” が中心。
特に WFSの運用タイトル(アナザーエデン、ヘブバンなど)は、初速こそ波があるものの、一定層のコアファンによる安定課金があり、“中規模だが、長く収益を生む事業”という位置づけになっています。
また、GREEは自社のゲーム開発を
「完全新規の大型投資」ではなく、
外部IP
ミドルリスク帯の開発
既存基盤の再利用
に寄せているため、
リスク管理として非常に固い形に収斂している。
つまり今のゲーム事業は、事業の主役ではないが、企業の財務を支える確実なサブエンジンとして機能しており、GREEの“投資 × インキュベーション構造”を下支えする役割を担っているのです。
🟦 GREEの本質
結果としていまのGREEは、
ゲーム(安定キャッシュ)
投資(中長期の跳ね)
Web3/メタバース(未来の主力)
という “異なる時間軸の三本柱” で次の数年を狙う企業になっている。
コアにモノづくりを起きつつも、堅実に新規領域を開拓し育て続ける、
「テクノロジー投資×インキュベーター企業」
と言えるのではないでしょうか。
✅ まとめ:ソシャゲ黎明期からの“真逆の進化”
2社について、まとめてみましょう。
DeNAは、「AI × データ × スポーツ × 医療」を統合する“社会を支えるOS企業”へ。
ポケポケはその象徴
スポーツ・医療の“社会領域”へ進出
行動データを軸に事業がシナジー化
OSとして組み換え続ける構造
対してGREEは、「ゲーム×投資 × Web3」を軸とした、“新技術のインキュベーター企業”へ。
ゲームは粘り強く注力
投資が利益の安定装置
VTuber・メタバースが新たな攻撃力
同じ出発点でも、企業は“OSの選択”で全く別の未来へ進む。
歴史が重なる2社だからこそ、進化の違いが際立って見えてきた分析となりました。
今回は以上です!
読んでいただきありがとうございました。
気に入っていただけたら、スキ・コメント・フォロー、お待ちしています!
またね。
ASANOTE|ケイ
🔗関連記事はこちら
🔗オススメマガジン
👉 ASARECO!『ケイのオススメnote』|気づきをシェアする無料マガジン
いいなと思ったら応援しよう!
チップ、とても励みになります。
気に入ってもらえらたら、是非応援お願いします!
