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【現場論】「マニュアル読め!」を辞めた40代部長。分厚い航空マニュアルをAI(NotebookLM)に丸投げしたら、若手との壁が消えた話

どうも、航空整備の現場で部長をしている40代のケイです。

前回の記事では、私が海外とのタフな交渉で使っている「Geminiのプロンプトと自分専用AI(Gem)の作成レシピ」を有料で公開しました。

「こんな泥臭いおじさんの英語術、誰か買ってくれるんだろうか…」と、公開ボタンを押す手が震えましたが、想像以上に多くの「戦友」の皆さんからご購入いただき、本当に胸が熱くなりました。

皆さまからいただいた缶コーヒーの差し入れのおかげで、仕事帰りの夜風はいつもより美味しく感じます。本当にありがとうございます。

さて、今日は少し視点を変えて、私のもう一つの強力な武器である「NotebookLM」を活用した、現場の若手マネジメントについてお話ししたいと思います。

航空整備マニュアルという「絶望の塔」

私が働く航空業界には、機体や部品ごとに何千ページにも及ぶ分厚いマニュアルが存在します。そして当然ながら、そのすべてが「専門用語だらけの英語」で書かれています。

私が20代の頃、これらのマニュアルはまだ紙のバインダーに綴じられていました。

先輩から「マニュアルの隅から隅まで目を通しておけ!」「わからなかったら辞書を引いて徹夜で探せ!」と怒鳴られながら、文字通り汗と脂でページを黒く汚して技術を覚えてきました。

先輩の背中を見て、理不尽な精神論に耐えながら技術を盗む。それが当たり前の時代だったのです。

時代は令和になり、マニュアルは分厚いバインダーからPDFデータへと変わりました。 しかし、本質的な苦労は何も変わっていません。何千ページもある英語のPDFデータの中から、「あの部品のトルク値、どこだっけ?」「このマイナーなエラーコードの対処法は?」と検索機能を使って探し出すのは、砂漠から針を探すような途方もない作業です。

見栄っ張りなおじさん部長の「裏の顔」

現場に入ってくる20代の若手(いわゆるZ世代)は、デジタルネイティブでありタイパ(タイムパフォーマンス)を重視します。彼らに「とりあえず英語のマニュアルを全部読んでおけ」と言っても、全く響きません。


「なぜそんな非効率な探し方をしなければならないのか」と純粋な疑問を持ちます。


若手から「部長、この手順ってマニュアルのどこに書いてありますか?」と聞かれる瞬間。 それは、私にとって恐怖の時間でした。

なぜなら、前の記事でメッキを剥がした通り、私はTOEIC450点しかありません。英語の分厚いマニュアルを読むのは、若手と同じくらい、場合によっては私の方が圧倒的に苦痛なのです。即答などできるはずがありません。

しかし、40代の中間管理職には「部下より物知りでなければならない」「頼りがいのある上司でなければならない」という謎の呪いがかかっています。

若手の前で「第4章のトラブルシューティングのあたりだ。ちゃんと自分で探したのか?」と渋い顔で説教を垂れて突き放すか。あるいは「ちょっと確認するから待ってろ」と言って自分のデスクに戻り、こっそりPDFの文章をコピーしてGoogle翻訳に貼り付け、脂汗をかきながら必死に該当箇所を探すか。

「マニュアル読め!」と偉そうに言っておきながら、実は裏で一番AI翻訳に頼ってコソコソやっていたのは、他でもない私自身でした。

NotebookLMで「絶望の塔」を飼い慣らす

そんな見栄っ張りの自分に疲れ果て、なんとかこの非効率なマニュアル検索から逃れられないかと模索していた私がたどり着いたのが、Googleが提供している「NotebookLM」という生成AIツールでした。

NotebookLMは、自分が持っているPDFなどの資料を読み込ませると、その資料の内容だけに特化して答えてくれる「自分専用のAIアシスタント」を作れるサービスです。一般的な生成AIのようにネット上の不確かな情報を拾ってくるのではなく、読み込ませた資料の範囲内だけで正確に回答してくれるのが最大の特徴です。

私は藁にもすがる思いで、現場で使う何千ページという英語の機体マニュアルや過去のトラブル事例のPDFを、片っ端からNotebookLMにアップロードしました。

試しに、チャット欄に日本語でこう入力してみました。 「〇〇というエラーコードが出た場合の、初期対応の手順を日本語で箇条書きにして。また、それが書かれているマニュアルのページ数も教えて」

数秒後。 画面には、完璧な日本語の要約手順とともに、「参照元:メンテナンスマニュアル Chapter 4, P.452」と、ピンポイントで答えが弾き出されました。しかも、その参照元のリンクをクリックすると、該当するPDFのページがパッと開くのです。

私はデスクで一人、感動で震えました。 「絶望の塔」だった分厚い英語マニュアルが、私の意図を完璧に理解してくれる「超優秀な専属アシスタント」に変わった瞬間でした。

「俺もわからんから、一緒にAIに聞こうぜ」

ある日の午後、現場の若手社員(仮に鈴木くんとします)が、少し申し訳なさそうな顔で私のデスクにやってきました。 「部長、お忙しいところすみません。この海外メーカーの部品なんですけど、特殊なエラーが出ていて、処理手順がマニュアルのどこに書いてあるか見つけられなくて…」

昔の私なら、ここで威厳を保つために「検索の仕方が甘いんじゃないか?」と小言を言いつつ、裏でこっそり翻訳ツールを回して冷や汗をかいていた場面です。

でも、NotebookLMという最強の武器を手に入れた今の私は違いました。

私はデスクの上のiPad Proを彼の方に向け、隣に鈴木くんを呼び寄せました。

「よし。実は俺もパッと出てこないから、一緒にAIに聞いてみようぜ」

私はNotebookLMを開き、鈴木くんの目の前で「部品名とエラーコードの対処法」を日本語で入力しました。 数秒後、AIは完璧な日本語の要約と、該当するマニュアルのページ数を提示しました。

それを見た鈴木くんの目が、これ以上ないほど丸くなりました。 「うわ…! 部長、これヤバいっすね! 英語のマニュアルを一瞬で日本語にして、しかもページまで教えてくれるんですか!? これなら僕らも自分で調べられます!」

AIは、威張るのをやめるための道具

この日を境に、私と現場の若手たちとのコミュニケーションは劇的に変わりました。

彼らが質問に来た時、私は知ったかぶりをして上から目線で指導するのを完全にやめました。 「わからないから、一緒にAIに聞こう」と、iPadを真ん中に置いて、肩を並べて画面を覗き込むようにしたのです。

すると不思議なことに、若手たちの方から「部長、AIがマニュアルの規定はこうだと言ってるんですけど、実際の現場の感覚だとどう対応するのが安全だと思いますか?」と、私の「アナログな経験則」を頼りにしてくれるようになりました。

マニュアルの検索や英語の翻訳という「作業」は、すべてAIに任せる。

そして、AIが弾き出した答えに対して、私の20年の現場経験と、若手の新しい視点を掛け合わせて「どう現場を回すか」を人間同士で議論する。

「マニュアルを読め!」と怒鳴って見栄を張っていた頃よりも、はるかに健全で、お互いにリスペクトがあり、心理的安全性の高いチームができあがりつつあります。

おわりに:見栄を捨てる勇気

私たち40代の管理職は、つい「部下より優れていなければならない」と肩肘を張ってしまいがちです。 でも、情報処理のスピードや語学力で、私たちがAIに勝てるわけがありませんし、デジタルを使いこなすスピードで若手に勝てるわけもありません。

だったら、おじさんのちっぽけなプライドなんて、さっさと捨ててしまえばいいのです。


「ごめん、俺もよくわからんから一緒にAIに聞こう!」


そう言って笑える上司の方が、結果的に若手にとっては風通しが良く、いざという時に相談しやすいのだと思います。

最新のAIツールは、単に業務を効率化するだけのものではありません。 不器用な中間管理職が、見栄を張るのをやめて、若手と同じ目線に立つための「最高のコミュニケーションツール」になってくれます。

明日も私は、現場の若手たちと一緒にiPadを覗き込みながら、「AIってすげーな!」と無邪気に笑い合うポンコツ部長でいようと思います。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

皆さんは、若手部下とのコミュニケーションで「自分の弱みを見せてよかった」と思った経験、あるいは「見栄を張って失敗してしまった」という経験はありますか? ぜひコメント欄で、皆さんの現場のリアルな声を聞かせてください!

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ケイ|品質保証部長のAI実務 現場の試行錯誤を書き続けるための燃料にします。40代部長の泥くさい挑戦に共感していただけたら、ぜひ。