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なぜ投資は分散したほうがよいのか?ポートフォリオ理論(数式あり)

将来のために資産を増やしたいと考える方は多いでしょう。

しかし、投資には常にリスクが伴います。

そのリスクを最小限に抑え、安定したリターンを得るためには「リスク分散」と「ポートフォリオ構成」が重要です。

今回は、ハリー・マーコヴィッツのモダンポートフォリオ理論に基づき、リスク分散の必要性とポートフォリオ構成の重要性をわかりやすく解説します。


ファイナンスにおけるポートフォリオ

投資の世界では、投資家や企業は複数の資産に分散投資を行っています。

なぜ、多様な資産に資金を分散するかというと、全体のリスクを抑えるためです。


ポートフォリオについて

一つの資産に集中投資すると、その資産の価格変動がダイレクトにポートフォリオ全体に影響します。

ポートフォリオとは、複数の投資対象を組み合わせた資産の集まりです。

例えば、株式や債券、不動産、預金など、さまざまな資産に分散投資することで、全体のリスクを低減し、安定したリターンを目指します。

一つの投資先に集中せず、異なる動きをする資産を組み合わせることで、ある資産が値下がりしても、別の資産が値上がりすることで損失を抑えられる効果を期待します。

ポートフォリオを適切に構成すれば、リスクとリターンのバランスを最適化できます。

複数の資産に分散することで、個々の資産の変動が相殺され、全体のリスクが低減されるというわけです。


ポートフォリオに影響を与える要因

ただ、注意しないといけないのはポートフォリオ自体にもリスクがあるということです。

ポートフォリオに影響を与える主な要因は、資産のリスクと各資産間の相関関係です。

例えば、株式と債券は一般的に逆の動きをすることが多く、一方が下がるときにもう一方が上がる傾向があります。

株式は企業の利益成長が期待されるときに価値が上がりやすく、経済が好調なときに魅力的です。

一方、債券は安定した利息収入が得られるため、経済が不安定なときに安全資産として人気が高まります。

また、金利の変動も影響し、金利が上がれば債券価格は下がりやすく、逆に金利が下がれば債券価格は上昇します。

こうした仕組みを理解すれば、株式と債券を組み合わせた分散投資によってリスクを抑える効果的な投資戦略などが立てられます。


ハリー・マーコヴィッツとポートフォリオ理論

ハリー・マーコヴィッツは、1952年に「モダンポートフォリオ理論」を提唱し、投資の世界に革命をもたらしました。

彼の理論は、リスクとリターンのバランスを数学的に分析し、最適な資産配分を導き出すものです。

この理論により、「卵を一つのカゴに盛るな」という格言が科学的に裏付けられました。


リスクとリターンの関係を理解する

投資の基本は、リスクとリターンのバランスです。

一般的に、リスクが高い投資ほど期待できるリターンも大きくなります。
いわゆる「ハイリスク・ハイリターン」です。

投資の世界には「ローリスク・ハイリターン」「ゼロリスク・ハイリターン」は存在しません。

高い収益性には、高いリスク(変動性)が伴います。

そのため、高いリターンを追求するあまりリスクを無視すると、大きな損失を被る可能性があります。

モダンポートフォリオ理論では、ポートフォリオ全体の期待リターン E(R) は、各資産の期待リターン E(R_i) と投資比率 w_i の加重平均で表されます。

【計算式】

筆者作成(Word数式)

おそらく多くの人は、数式を見ても何のことだか分からないかもしれませんので、以下できるかぎり分かりやすく説明します。


ポートフォリオ全体の期待リターン

ポートフォリオの期待リターンとは、「持っている資産それぞれの期待リターン」と「その資産に投資した割合」を掛け合わせたものです。

それを全部足し合わせることで、総合的なリターンを求めます。


例えば、あなたが100万円を投資するとします。

• 資産Aに60万円(全体の60%)を投資
• 資産Bに40万円(全体の40%)を投資
• 資産Aの期待リターンは5%、資産Bの期待リターンは10%

この場合、ポートフォリオ全体の期待リターンは、以下の計算になります。

E(R) = 60% × 5% + 40% × 10%

E(R) = 3% + 4% = 7%

つまり、このポートフォリオ全体の期待リターンは7%です。


ポートフォリオのリスク計算

一方、ポートフォリオのリスク(標準偏差) σ_p は、各資産のリスク σ_i と資産間の相関係数ρ_ijを考慮して計算します。

【計算式】

筆者作成(Word数式)

【2つの資産で運用する場合の簡略式】

筆者作成(Word数式)

こちらもワケが分からないかもしれませんので、具体的な数値で計算してみます。


例えば、先ほどの100万円を2つに分けて投資する場合で考えてみます。

以下の条件で設定します。

• 資産Aのリスク (σ_A):5%
• 資産Bのリスク (σ_B):10%
• 資産Aへの投資割合 (w_A):60%
• 資産Bへの投資割合 (w_B):40%

まずリスク(標準偏差)の「単純平均」を計算します。

資産Aと資産Bのリスクをそのまま足して2で割ります。
(5% + 10%)  2 = 7.5%

この7.5%は、リスクを単純に平均した値です。

では、このポートフォリオの実際のリスクは7.5%よりも高いでしょうか、低いでしょうか。


1.個別のリスクを計算する

では、資産AとB、個別のリスクを計算します。

まず資産Aからいきます。
以下、計算式の青字の部分です。

筆者作成

 (0.6^2)×(0.05^2) = 0.36 × 0.0025 = 0.0009


次に資産Bを計算します。
以下、計算式の赤字の部分です。

筆者作成

(0.4^2) × (0.10^2) = 0.16 × 0.01 = 0.0016


2.資産の相関を考慮する

個別の資産リスクを計算したら、次に2つの資産の相関を考慮します。

株式と債券が、よく逆の動きをすると述べましたが、このように2つの資産の間に相関があるかどうかを確認します。

ここでは相関についての説明は省略しますが、いずれ記事にしたいと思います。

仮の条件として、資産Aと資産Bの相関係数 (p_AB)を0.2としましょう。

相関係数が0.2とは「資産Aと資産Bは少し似た動きをする」という感じです。

想定としては、以下のイメージです。
・資産Aが値上がりする場合、資産Bも値上がりする傾向が少しある。
・ただし、その動きは完全には一致せず、Bが必ず上がるとは限らない。

筆者作成

相関係数が0.2の場合、資産Aと資産Bはやや似た動きをするものの、完全に連動しているわけではないというイメージで考えてください。


では計算してみましょう。
相関を考慮する計算は緑の箇所になります。

筆者作成

= 2 × 0.6 × 0.4 × 0.05 × 0.10 × 0.2 = 0.00096


3.最後にリスクの標準偏差を求める

適切にリスクを把握するためには「標準偏差」を求めます。

標準偏差については以下の記事を参照ください。
基本的には中学校で習ったルート(√  )で計算します。

まず数値を合計します。
= 0.0009 + 0.0016 + 0.00096 = 0.00346

次にルート(平方根)を計算します
= √0.00346 ≒ 0.0588

ポートフォリオ全体のリスク(標準偏差)は約 5.88% です。


ポートフォリオの実際のリスク

計算結果から、ポートフォリオ全体のリスク(5.88%)は、資産Aと資産Bのリスクを単純平均した場合の値(7.5%)よりも低いことがわかります。

これは、資産Aと資産Bの値動きが完全に同じではないため(相関係数0.2)、それぞれのリスクが一部相殺される「分散効果」によるものです。

これがポートフォリオ理論で言う「分散投資の効果」です。

期待リターン(加重平均):7%

リスクの単純平均:7.5%
ポートフォリオリスク:5.88%


まとめ

単純平均で計算した場合、資産AとBのリスクは7.5%で、期待リターン7%を上回るように見えます。

しかし、資産間の相関を考慮すると、ポートフォリオ全体のリスクは5.88%に低下し、期待リターンを下回る結果となります。

これは、異なる資産同士を組み合わせることでそれぞれの値動きが相殺される「分散効果」によるものです。

分散投資を行えば、リターンを維持しながらリスクを抑えられることが、なんとなく分かっていただけたのではないでしょうか。

リスクとリターンの関係を、頭の中で整理できるようになると、運用に限らず合理的に物事が判断できるようになります。

ぜひ、学習してみてください。

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Kei | MBA| 元銀行員 よろしければサポートお願いします。 いただいたサポートは小児がんの娘の治療費に使わせていただきます。

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