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Netflix 「新幹線大爆破」

ドゥドゥーン

ということで、Netflixの映画「新幹線大爆破」を鑑賞。

メガホンを取られたのは、「日本沈没」や「シン・ゴジラ」「シン・ウルトラマン」の樋口真嗣監督とのことで、特撮ファンとしても否が応でも期待が高まる。

いやー、これが期待以上のおもしろさだった。

ストーリーは、いろんなところでいろんな人が述べられると思うので詳細やネタバレは避けるけれど、ざっくり書くとこんな感じ。

舞台は主演の草なぎ剛さん演じる車掌・高市が乗車した新青森駅発、東京駅行きの東北新幹線。
その「はやぶさ60号」に爆弾を仕掛けられ、時速100kmを下回ると爆発すると犯人からのメッセージが届く。爆弾を解除する条件として、身代金1000億円を国民から集めるようにと犯人は要求をする。

多少荒唐無稽な気はするけれど、あくまでもフィクションだし、この設定だけでもおもしろい。

登場人物も個性的な人ばかり。
偶然同じ新幹線の乗客となったのは、胡散臭い起業家YouTuber(要潤さん)やママ活のスキャンダルを抱えた衆議院議員(尾野真千子さん)、事故を起こし世間から糾弾されている社長(松尾諭さん)など、絵に描いたようなダメな大人たちが乗り合わせる。
一方で、未曽有の危機に遭いながらも命懸けで乗客を守ろうと奮闘する車掌の高市(草なぎ剛さん)や運転士(のんさん)、新幹線総合指令所から指示を出す総括指令長(斎藤工さん)をはじめとするJR東日本の職員たち。
物語後半には、重要な役として「Netflixといえば」な、あの人も登場する。

それにしてもこの絶妙でお見事なキャスティングもNetflixならではな気がするけれど、中でも草なぎさんの真面目で誠実そうな雰囲気や彼のスーパーヒーロー然としていないところが、まさに適役だったと思う。

ぼく自身、この16年間仕事で新幹線を利用する機会が頻繁にあったけれど、当たり前のように思い、見えていなかったJR職員さんたちのプロフェッショナルとしての矜持を、映画で描かれたものを通し垣間見れた気がする。
JRは映画やドラマの撮影に協力的でないイメージがあるけれど、そりゃあこれなら「JR東日本特別協力」というのも頷ける。

この作品の原作は、1975年に高倉健さん主演で東映映画として公開された同名映画だけれど、当時は国鉄だったためか撮影協力を得られなかったらしい。そう思うと、これも民営化の賜物なんだろうな。

VFXやミニチュア模型、爆破シーンが素晴らしいクオリティなのは技術的な進歩はもちろん、樋口監督の妙技に他ならない。けれど撮影のためにまるごと1編成を貸し切り、東京~新青森間を7往復したという新幹線のシーンや細部まで作り込まれたリアリティある描写、JR職員さんたちの所作や空撮などの映像美は、JR東日本の特別協力があってのものに違いない。

本作は、樋口監督ご自身が1975年版のファンなのでオマージュ的なシーンも多数あるけれど、前作が50年も前の作品のため時代背景の違いから少し設定が変わっている。
前作の東海道新幹線「ひかり109号」が東北新幹線「はやぶさ60号」に、爆発する時速も80kmから100km以下に、犯人の要求も500万ドル(当時約15億円)から1000億円となったけれど、「乗客を乗せたまま停まるに停まれない新幹線」というところまでは前作に忠実というほどなぞった展開になっている。そのためここまではリメイク版といえるけれど、中盤からはそうでもない。

前作が犯人と警察との駆け引きや犯行動機の背景を描いた犯人視点だったものに対し、本作では主に新幹線の車掌と総合指令所とのやり取りが中心となって物語は進んでいく。そもそも今回は、中盤まで犯人がまったくわからないんだから。
本作はリメイク的な部分もありながら、正しくは前作と同じ世界線の50年後を描いたもの、つまり「続編」ということになる。そうなると何かしら、前作からの物語として脈絡が必要になってくる。これはネタバレになるので述べないけれど、

あー、そこをそうしましたかぁー、なるほど

って、感じだった。

無論、前作も犯行動機として時代背景などが描かれているけれど、本作も ”現代の病んだ時代背景” を上手く映し出しながら、半世紀も前の作品にリンクさせているのは、お見事。
巧いなぁ、脚本家さん、樋口監督。

前述したように多少荒唐無稽な設定ではあるし、意地悪な見方をして細かいことを突っ込もうと思えばできるのだろうけれど、そんなことは気にもならない。何よりこの作品は単なるリメイクでなければ、エンタメなパニック映画というだけでもない。JR職員さんたちの葛藤や決断、プロフェッショナルな職業人としての姿や、ダメな政治家や大人たちを詰め込んだような現代の日本の縮図といえる人間ドラマになっている。また、映画館で観たかったなと思えるほどの作品だった。

もちろん本作だけを観ても十分に愉しめるけれど、これからご覧になられる方は可能であれば、前作(こちらも現在、配信中)を先に観ておいてほしいなと思う。

「新幹線大爆破」を観た数日後、友人に会いに行くため新幹線に乗った際、爆弾が一瞬頭を過ったけれど、それ以上にJR職員さんや乗務員さんを見る自分の目がこれまでと違ったことに気づいた。

やはり、JR東日本にとってはイメージアップになったと思うなぁ


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