【和陰少女】第零幕:「くろ」|連載|ダークファンタジー|和風
あらすじ
人と妖怪が当たり前に隣り合い、無駄に干渉せず、時に協力し合って暮らしていた時代。
しかしその均衡も新しく神となった黒いヘビの出現をきっかけに、静かに崩れ始める。
そんな時代、ヤクザの組の娘・紫乃は
自身の組を壊滅させた姉を探す旅に出ていた。
旅の途中、山中の廃屋で白い蛇の髪をした傷だらけの少女と出会う。
“元”神を自称する白蛇の妖怪・しろ。
どこか掴みどころのない彼女に興味を持った紫乃は、団子を餌にしろを旅に誘う。
これは、人と人ならざるものの境界で生まれた、
傷を持つ者たちが居場所を見つける物語。
第零幕:「くろ」
初めて話した人が神様がいると教えてくれた。
願いを叶えてくれると。
嘘だと思う。
だって、その人は僕を刺したから。
そばに居てくれなくなかったから。
人に矢で射られた。
妖怪に肉を削がれた。
それでも生きてる。
草を食べた。
泥をすすった。
それでも生きてる。
助けはない。
名前もない。
父も、母も……
一人で育ち、
一人で必死に生き延びた。
混ざってるのは僕だけだから。
この黒い髪が。
金の蛇が。
まだ見ぬ父母の痕跡が。
僕は嫌いだ。
たくさんある傷を
入れ墨で隠した。
傷は異常らしいから。
涙が出た。
なんで?
僕は……
日に日に増える傷を、
入れ墨で隠しながら毎回思う。
なんで?
僕はどちらでもないの?
何かが傷よりも疼く。
これが何かは知らない。
教わってないから。
きっとこの先もどちらでもないまま、
何者でもないまま。
逃げて、隠れて、怯えながら……
なんで?……
変だよ……
だって……こんなの……いやだ!
何かがおかしい。
僕は悪くない……はずだ。
だって……まだ生きてる。
じゃあ、誰が?何が悪い?……
僕じゃない……
じゃあ……僕以外だ。
塗りつぶす。
この入れ墨で真っ黒になった腕のように。
人も神も妖怪もすべてを混ぜて、ドロドロに。
真っ黒に。
でも、まだだ……
まだ力がたりない。
まずは力を貯めよう。
知識も力も。
下から少しずつ。
ゆっくりと。
超えて越えて、上に登る。
……僕の嫌いなヘビや人の足取りみたいだ。
それでも。
変わる。
いや、変える。
僕は……私は黒
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