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【和陰少女】第一幕「出会い」|連載|ダークファンタジー|和風


#創作大賞2026
#エンタメ原作部門

——とある山中
グレーの空の下、鬱蒼とした山道を
黒い着物を纏った黒髪の少女が登っていた。

「はぁ、しんどっ。
 山、舐めてたわ……

 ほんとにこんなとこ通ったのぉ?……
 ここから妖怪の領地でしょぉ……

 さっきのおじさん、嘘ついてるんじゃ……

 あーもう、無理っ!

 きゅうけーい!
 どっかで休もっ!

 んっ?何だろあれ?
 集落の廃墟?……」

山の中腹辺りに自然とほぼ同化しかけた数件の廃屋を見つけた。

「こんな所に昔誰か住んでたのねー。
 ちょうどいいわ、一休みさせてもらおっ。

 このボロ屋でいいか。
 よっこらせと。」

少女は適当なボロ屋の、土間と部屋の段差に腰を下ろした。

「ん?……なにこれ!?
 
 最悪!
 うんち落ちてんじゃん!!

 エイッ!!」

少女は廃材の隙間から顔を出していた白く細い何かを棒で叩いた。

――バシッ。

「いだっ!!
 何をするたわけ!!!」

「え!?何っ!?あっ!……
 ごめっ!
 先っぽだけしか見えなくて、白いうんちかと……」

「失礼なやつじゃ!
 これはわしの髪じゃ!」

廃材の隙間からムクリと声の主が起き上がった。
声の主は色白な端正な顔をした少女だった。
ただ、違うのは白い髪の毛先がヘビのようになっていた。

「それ……あんた妖怪?」

「神じゃ!
 いや。今はもう違うが」

「ん?髪の毛の妖怪?」

「違う違う!髪の毛がヘビなだけじゃ!肩書は神じゃ。
 ……”元”、じゃがな。」

「ふーん。こんなとこで何してるの?」

「まぁ、暇つぶしじゃ。」

「へぇ……暇潰し……神様がねぇ……暇なら何で……
 ……いや、いいや」

「何じゃ?」

「ううん、なんでもない。
 それより、あんたほんとに神様?
 ボロボロじゃない。
 怪我してるし。」

自称神の少女の白い着物は擦り傷であちこち破れ、
肌にも痛々しい傷が残っていた。

「まぁ……色々あってな。
 家を追い出された。」

「怠惰だから?」

「むっ……まぁ、否定はできんな……
 お主こそ、こんなところで何をしておる?」

「私も色々あってね。姉探し。」

「何じゃ?姉は売られでもしたのか?」

「違うよ……
 出て行っちゃったの」

「ほー、そうか。
 まぁこんな馬鹿そうな妹が嫌になったんじゃろうな。」

「なっ!失礼ねあんた!!
 こう見えても組の私若頭なんだから!!」

「ほぉ、こんなのが……可哀想な組員もおったもんじゃ。」

「あんたほんと失礼っ!
 それに、組員は……もうそんなにいない……」

「失礼はお互い様じゃ。
 まぁ、なんか面倒そうじゃの。
 じゃ、わしはそろそろ行くぞ。
 昼寝も終わったからの。
 団子でも食べて、また暇つぶしじゃ。」

「あっ………
 ………
 ねぇ……一緒に………来ない?」

「ん?何じゃ?
 寂しいのか?」

「いや……そうじゃないけど。
 なんとなく……」

「あいにくじゃが、小娘の子守の趣味はないんじゃ。」

「お、お団子!お団子奢ってあげる!!」

「ほんとか!?
 ほれ!行くぞ!!」

「あんたって現金な奴ね……神って嘘でしょ?」

「失敬な!ホントじゃ!見ればわかるじゃろ!
 この隠せぬ気品が!」

「気品ねぇ……
 まぁ、いいわ。
 あっ名前教えてなかったわね。
 私は紫乃(しの)。
 あんたは?」

「わしか?わしは……そうじゃな……
 んー……しろじゃ。」

「ふーん、しろねー。
 似てるね。
 "しろ"と"しの"」

「全然似ておらぬ。一緒にするでない。
 わしのほうがこう……響きがきれいじゃ!」

「何よ。変な名前のくせに!」

「へ、変じゃない!!
 さっきは似てると言っておったくせに!
 このちんちくりん!」

「何よこの白うんち!!」

「なっ!
 と、取り消せ!!」

「やーだ!」

「ぬぅ!!50本じゃ!
 団子50本を要求する!!」

「そんなに食べれるわけ無いでしょ!
 …………神様か」

「ん?なにか言ったか?」

「ううん。なんでもない。さ、行くわよ!
 カ・ミ・サ・マ」

「お主、いまバカにしたじゃろ?
 おい!」

「してませーん」


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