9割できているのに、なぜか完成しない
正直、生地はもうほとんど完成している感覚でした。
発酵の流れも見えている。
焼成後の表情も安定してきた。
「これなら売れる」
そう言ってもいいラインには、来ている。
それでも、
あと1割だけ、何かが足りない。
理由が分からないまま時間だけが過ぎて、
少し焦っていました。
きっかけは、散髪中の何気ない会話
そんな時、
いつも通っている美容室で散髪をしてもらっていました。
そこで、
彼女が何気なく言ったんです。
「これ、“すごい水”なんですけど。」
……ネーミングは、
完全に彼女オリジナルです。
誰かにそう呼ばれているわけでもなく、
本人が勝手に「すごい水」と名付けている。
その時点で、
少し笑ってしまいました。
「すごい水」の正体
彼女はかなりの健康オタク。
実は、
スピリチュアル系のサービスマンから
“水を作る装置”を購入したらしい。
正直、
この手の話は眉に唾をつけたくなります。
でも、彼女は
押し付けてこない。
「信じなくていいんですけど、
よかったら実験してみません?」
その距離感が、
ちょうどよかった。
美容師としての“実証”
さらに話を聞くと、
彼女なりに検証もしていました。
美容室って、
手荒れが本当にひどい職業です。
薬剤、シャンプー、頻繁な手洗い。
それが、
この水を使い始めてから
手荒れがかなり改善したスタッフがいたらしい。
もちろん、
医学的にどうこう言う話ではありません。
でも、
「自分の現場で試して、変化を観察している」
その姿勢には、素直に惹かれました。
なぜ、その美容室に通っているのか
実を言うと、
私はその美容師の
探究心が好きで、その美容室に通っています。
・自分で調べる
・試す
・結果を見る
・押し付けない
その姿勢が、
ピザ生地を探究している
今の自分と、どこか重なった。
だから、
「すごい水」も
否定する前に、受け取ってみようと思いました。
まずは、バジルで
まずはバジルに使って、
成長の変化を見ることにしました。

この記録は、
また後日まとめようと思っています。
その日は、
ただ「水が変わった」という事実だけを
静かに置いておいた感じでした。
夜、ふと気づいてしまった
その日の夜。
なぜか、
その「水」のことが
頭から離れなかった。
そして、
あることに気づいてしまったんです。
粉の次に多い材料が「水」なのに、
水のことを1ミリも調べていなかった。
思わず、
「自分、アホだな」と笑いました。
そこから一気に、水を調べ始めた
気づいてしまった以上、
もう止まりません。
水について、
片っ端から調べました。
すると、水の性質は
大きく分けて以下に整理できました。
・不純物はあるか
・ミネラル量はどうか
・pH
・溶存酸素
不純物については、
普段から浄水を通しているので問題ない。
残ったのは、
ミネラル量でした。
硬水の方が、グルテンはできやすい
調べていく中で、
はっきり書かれている記事に出会いました。
硬水の方が、グルテンは形成されやすい。
もちろん、
硬度が高すぎてもダメ。
目安としては、
100mg/L前後。
なるほど、と思いました。
自分の住んでいる市の水を調べてみた
ここで、
嫌な予感がして調べました。
私が住んでいる市の水道水。
直近年度のデータで、
硬度は 最大14mg/L。
数字を見た瞬間、
正直ショックでした。
「そんなに低いのか…」
でも、不思議と希望が湧いた
ただ、落ち込む気持ちは
あまりありませんでした。
むしろ、
かなり希望が見えた。
粉でもない。
工程でもない。
技術不足でもない。
環境だった。
しかもそれは、
調整できる要素。
再現性を邪魔していた、見えない壁
今まで越えられなかった
「あと1割」。
それは、
自分の感覚や腕の問題じゃなかった。
誰が作っても、
同じ環境なら同じ方向に近づける。
そう考えると、
この発見はとても大きい。
この気づきが、店づくりにつながっていく
私は、
障がいを持った方も
安心して働けるピザ屋をつくりたいと思っています。
だからこそ、
感覚や勘に依存しすぎないことが大事。
「今日は調子がいいからできた」
ではなく、
「この条件なら、誰でもできる」
そう言える状態をつくりたい。
今回の気づきは、
そのための大きな一歩でした。
ピザ生地探究は、まだ終わっていなかった
生地は、9割できていた。
でも、
残りの1割は
ちゃんと理由があった。
水。
たったそれだけで、
世界が少し変わって見えました。
次は、
水を変えた生地で
何が起きるのか。
そして、
バジルはどう育つのか。
探究は、
まだ続きます。
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ダウン症の娘と歩む中で「誰もが自分らしく働ける社会」を目指すようになりました。福祉×AI×ものづくりに挑戦し、ピザ屋開業の夢と福祉現場のDX改善に取り組んでいます。いただいたチップは、福祉に役立つAIツール開発と娘と共に育むピザ屋づくりに大切に使わせていただきます。