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「どうせ無理」をひっくり返す、一人の行動が制度を変えた日。

こんにちは。娘が小学生になる、けんくらです。

前回は、
街づくり会議「いわぬま創生ラボ」で、
妻が「口説ける街」というビジョンを掲げ、
大人の責任についてのお話でした。

「子どもたちに夢を持ちなさいと説教する前に、
まず大人が夢を持って楽しそうに語ること」

その泥臭い背中を見せ続けることが、
未来への一番の種まきなのだと、
ぼく自身もあらためて感じました。

さて、そんな「夢」を語り始めた妻。

しかし、彼女が置かれていた現実は、
決して夢のように
甘いものではありませんでした。

今回は、小さな行動が、
街の制度を動かしてしまった、
嘘のような本当のお話です。

「載せてもらえない」のが当たり前という違和感

2021年12月。
妻は岩沼市の「チャレンジショップ」に、
アトリエ兼ショップを構えていました。

市の施設を格安で借りて、
起業のスタートアップを支援してもらえる。

制度としては非常にありがたいものです。

しかし、そこには一つ、
どうしても納得のいかないルールがあった。

「市の広報誌やホームページには、
出店者の情報は一切載せられません」

という、謎のシステムです。

せっかく街を盛り上げようと
店を出しているのに、
市の公的な冊子では「宣伝」になるからと、
その存在すら紹介してもらえない。

商工会からの
細かな経営指導があるわけでもなく、
ただ「場所を貸しているだけ」
という冷ややかな空気。

「行政の仕事なんて、そんなもんだよ」
「格安で借りてるんだから、我慢しなきゃ」

ぼくを含め、周りの人たちは、
こんな感じで「諦めること」を大人っぽさだと
勘違いしていたのかもしれません。

でも、妻だけは違いました。

なんと、妻はその違和感に
「NO」と言いに行きました。

創生ラボで繋がった「一本の糸」

前回の記事でもお話しした
「創生ラボ」の会場で、
妻は一人の男性と出会いました。

その方は、地元の市議会議員さんでした。

ワークショップの合間に妻は何気なく、
チャレンジショップの現状を話したそうです。

「市の施設として運営しているのに、
市の広報で全く紹介してもらえないんです。
これじゃあ、挑戦を応援していることに
ならないと思いませんか?」

議員さんは、彼女の話を鼻で笑うことなく、
真剣な眼差しで聞いてくれました。

「それはおかしな話ですね。
市の区画として貸し出している以上、
周知して応援するのは市の役目なはずです」

その時は、ただ話を聞いてもらえただけで、
妻の心は少し軽くなったのかもしれません。

しかし、事態はここから、
想像もしなかったスピードで展開し始めました。

ガッツポーズの生配信

数日後。

その日は、
岩沼市議会の一般質問が行われる日でした。

ぼくは仕事をしていて、
知らなかったのですが、
妻は自宅のパソコンの前に陣取り、
市議会のライブ配信を見つめていたんです。

画面の中で、
あの日出会った議員さんが立ち上がりました。

そして、はっきりと質問をぶつけてくれたのです。

「チャレンジショップの出店者情報が、
市の広報やホームページに掲載されないのは、
起業支援の観点から見ていかがなものか」と。

数分のやり取りの後、
市の担当部署からの答弁が返ってきました。

「検討の結果、今後、出店者の情報を
市のホームページや広報誌に
掲載することにいたします」

その瞬間、静まり返ったリビングで、
妻は一人、ガッツポーズを決めたそうです。

「やった……!!」

一人の主婦が、
一人のアーティストが、
現状への不満を
「適切な場所」で「適切な人」に
直接届けた。

そのたった一つのアクションが、
長年「そういうものだから」と放置されていた
行政の壁を、崩した瞬間でした。

翌日からの「手のひら返し」と、皮肉な結末

この答弁があった翌日、
チャレンジショップにも変化が訪れました。

これまで何度も要望を伝えても、
「前例がないので」
「ルールですから」
と渋い顔をしていた担当者たちが、
妻の元へやってきました。

「広報の原稿、いつまでに用意できますか?」
「ホームページの掲載を相談させてください」

あまりの態変わりに、
「政治の力ってすごいな」と
ぼくらは苦笑いしてしまいました。

しかし、それ以上に、
妻が要望が、古い習慣を壊したことへの
喜びが勝っていました。

この物語には、皮肉な続きがあります。

「広報への掲載が決まった」という知らせ。

でも具体的に誌面に反映されるのは、
2月号からでした。

一方で、妻は以前の記事でもお話しましたが、
1月でチャレンジショップを卒業します。

待望の「自分のアトリエ」へと
移転することを決めていたんです。

つまり、彼女が一番苦しい時に欲しかった
「広報への掲載」は、
彼女が店を去った後に、
ようやく本格化することになりました。

結果だけを見れば、
彼女は自分自身が一番恩恵を
受けるタイミングでは、
その権利を手にできなかったんです。

それでも、妻はブログにこう綴っていました。

「私がここで足掻いた結果を、
あとに続くチャレンジャーたちのために、
何かの形で残させてほしい」

その一文に、
妻の一人の人間としての強さを感じます。

愚痴を言うより、環境を動かせ

ぼくはこの一連の出来事から、
大きな教訓を学びました。

世の中には、
不条理や「納得いかないルール」が
溢れています。

それに対して、飲み屋で愚痴を言ったり、
SNSで匿名で文句を言うのは簡単です。

でも、それでは世界は1ミリも変わりません。

妻がやったことは、いたってシンプルでした。

「おかしくないですか?」
と適切な人に伝えただけです。

これが、世界を動かすエネルギーなんだ。

ぼくは一番近くで見せてもらった気がします。

なぜこのような行動ができたのか。

それは妻が、チャレンジショップを
どうやって知ってもらうかを
本気で考えていたからです。

諦めなかった人だけが、
「必然」を引き寄せる。

彼女がチャレンジショップに残した、
あまりにも鮮やかで泥臭い「軌跡」のお話でした。

さて、そんな激動の2021年も、
いよいよ終わりを迎えようとしていました。

次回は、大晦日の夜。
一年を振り返って
「手放したもの」と「手に入れたもの」。

そして、立ち止まることで見えてきた
新しい景色についてお話しします。

おしまい!!!


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