なぜ『俳優思考』というタイトルにしたのか――俳優じゃなくても読んでほしい理由
――俳優思考・第二十回
なぜ「俳優思考」なんて名前を付けたのか。
今回は、その話をさせてください。
このnoteは、俳優を目指す人だけのために書いているわけではありません。最初から、誰にでも読んでもらいたいと思って書いています。
なぜなら、俳優という仕事は、人を観察し、人を考え、人を表現する仕事だからです。演劇の世界で見えてきた「人の考え方」は、舞台の外でも十分すぎるほど役に立つ。私はそう思っています。
「俳優の話なんて、自分には関係ない。」
そう思われる方もいるかもしれません。でも実際は、俳優の話をしているようで、仕事の話だったり、人間関係の話だったり、人生の話だったりします。
俳優は、人を観察する仕事です。いろんな人生を追体験します。
怒る人もいれば、笑う人もいる。強がる人もいれば、我慢する人もいる。
「なんでこの人はこんな行動をするんだろう。」
俳優は、それをずっと考え続けます。演技を学ぶというのは、セリフを覚えることでも、泣く技術を身につけることでもありません。人を知ろうとすることなんです。
だから私は、演技を教えていても、演技だけを教えている感覚があまりありません。
「どうして緊張するんだろう。」
「どうして人は失敗を恐れるんだろう。」
「どうして思い込みを捨てられないんだろう。」
そんな話ばかりしています。
そして、最後にはいつも、同じところへたどり着きます。
「そもそも正解なんてない。自分がそう思ったのなら、それがその人にとっての正解。」
これは、仕事でも、人間関係でも、何かに挑戦するときでも同じです。
結局、人が悩む理由って、案外共通しているんですよね。
私は脚本も書きます。演出もします。舞台にも立ちます。講師として指導もしています。立場は違っても、最後に向き合っているものは、いつも同じでした。
「人はどう考え、どう動くのか。」
それが面白くて、ずっとこの仕事を続けています。だから、この「俳優思考」という名前にしました。俳優になるための話ではありません。俳優という仕事を通して見えてきた、「人の考え方」の話です。
演技をやったことがない人にも届いてほしい。
そんな気持ちで書いています。
もちろん、私の考えが正しいなんて思っていません。百人いれば百通りの考えがあります。「なるほど、そんな見方もあるのか。」そんなふうに読んでもらえたら、それで十分です。
ここまで十九回書いてきました。振り返ると、結局いつも同じようなことを書いています。
思い込み。緊張。受け入れること。面白そうな方へ進むこと。
違うテーマを書いているようで、言いたいことはいつも同じです。
人は、自分で自分を縛っていることが意外と多い。
だったら、そのロープを少しだけ緩められたら、もっと生きやすくなるんじゃないか。
俳優として。脚本家として。演出家として。講師として。
私はそんなことを学んできました。
だから、これからも演劇関係の話をします。
でも、本当は、きっと、あなたの話です。
仕事で悩んだとき、人間関係でつまずいたとき、新しい一歩を踏み出すのが少し怖くなったとき。そんなときに、ふと開いてもらえたら嬉しいです。
次回はこちら→『向き合うこと――その姿勢が、その人の説得力になる』
前回はこちら→『「でも」より先に、「なるほど」――受け入れた人から、世界は面白くなる』
まとめはこちら→【俳優思考】
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