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【美大院日記 #02】学びの密度と「問い」を立てる難しさ

2026年4月。私は京都芸術大学大学院(MFA)に入学し、「学際デザイン領域」での新しいチャレンジを開始しました。入学から早くも1ヶ月。

「私は京都芸術大学院でこの一か月、何を学んだか?」

4月は想像を絶する密度だっただったので、私自身の備忘録を兼ねて、この1ヶ月の学びと成果を振り返ります。


1. 6科目同時進行。カオスを楽しむ「知の筋トレ」

まず驚いたのが、学習の幅広さとスピード感です。4月の1ヶ月だけで、以下の6科目が同時にスタートしました。

  • 学際特論Ⅰ: デザインの定義、歴史、ユーザー中心主義。課題4本。

  • 学際特論Ⅱ: 伝統文化の存続理由の考察。参考図書2冊を読了。

  • 学際演習Ⅰ: デザイナーとして自己理解を深める課題4本。

  • 学際演習Ⅲ: ランドスケープ(風景)デザイン。課題図書1冊を読了。

  • 芸術文化特論: 京都の歴史深掘り。私は「東寺」に関するレポートを執筆。

  • 制作原論: 自らの手で「絵具」を一から作る、身体的な経験。

デザインの理論を論理的に整理したかと思えば、次の瞬間にはパレットを片手に顔料を混ぜて絵具を作っている。これまでのビジネスの文脈にはなかった「思考のスイッチ」を強制的に切り替え続ける日々です。

アートや伝統文化は私にとって未知の領域。それゆえに「知らないことだらけ」の状態が、苦しくも最高に面白いと感じています。

コーヒーやターメリックから作った自作の絵具。身近な素材が『色』に変わる瞬間に、表現の原点を感じました

2. 「学びのOS」を書き換える、怒涛のサイクル

通信制大学院の学習サイクルは非常にタイトです。(事前に覚悟が必要との説明は受けていたものの、体感して初めて実感します。)

  • 月〜水: 講義動画や読書による「インプット」

  • 木〜金: 課題提出やレポート執筆の「アウトプット」

  • 土〜日: Slackを通じ、グループメンバーとのディスカッション

平日・休日を問わず、常に何かの課題が頭の片隅にある状態です。実は4月からこの生活が始まることを見越して、仕事の受注量をコントロールしていました。それでも、「もし新しい仕事をフルで受けていたら、パンクしていただろう」というのが本音です。

それほどまでに、新しい知識と視点が自分の中に流れ込んでくる感覚があります。しかし、この「インプット→アウトプット→対話」のサイクルこそが、大人の学びにおいて最も効果的であることも再認識しています。


研究対象として選んだ神田須田町一帯の変遷を辿るため、図書館での資料調査と街歩きを繰り返しています。戦前の地図を片手に実際に歩いてみると、ネット検索では決して辿り着けない歴史の厚みが、こうした美しい風景(ランドスケープ)を通して立ち上がってくるようです。

3. 「調べて出てくること」は、問いにならない

この1ヶ月、コンサルタントとしての私の価値観を最も揺さぶった気づきがあります。 それは、「問いを立てる」ことの難しさです。

コンサルの仕事は、目の前の課題に対して「答え(解決策)」を出すことです。しかし、この大学院で求められるのは、知識を習得したその先にある「自分だけの問い」を見つけること。

「調べて出てくるようなことは、問いにならない。」

この言葉を、今まさに痛感しています。 Google検索やAIに質問して回答がヒットするレベルの悩みは、まだ問いの入り口に過ぎない。

自分自身の五感で観察し、歴史や伝統、デザインの文脈を深く理解した上で、ようやく自分にしか見えない「本質の問い」が姿を現す。そのプロセスの尊さと苦しさを、今、全力で味わっています。


4. 異質な視点が、バイアスを外してくれる

この過酷ながらも豊かな日々を支えてくれているのは、学友である仲間たちの存在です。 GWには、東京近郊のメンバーで集まって懇親を図ることもできました。

メンバーは、デザイナー、建築士、医師、営業、公務員、コンサルタントなどなど。

全く異なるバックグラウンドを持つ仲間と議論すると、自分がいかに「専門職」という狭いバイアスの中で世界を見ていたかを思い知らされます。

自分一人では絶対に辿り着けない視点に、仲間との対話を通じて触れられる。これこそが、社会人があえて大学院という共同体で学ぶ最大の価値だと実感しています。


5月、さらに深く潜るために

まだ、学んでいることのすべてが繋がったわけではありません。

デザイン、歴史、伝統、制作。これらが私の本業である「組織開発」や「経営支援」にどう結びついていくのか。

今はまだ、バラバラな「点」の状態です。しかし、将来的にこれらが大きな「線」として繋がっていく強い予感があります。

5月もこの圧倒的な情報の波を楽しみながら、一歩ずつ深く潜っていきたいと思います。


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