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マイケル・ジャクソンの苦悩④:「普通」を知ると、場を乱さず「参入」できる

「もし人生で一つだけ変えられるとしたら、何を変えたいですか?」
その問いに、マイケル・ジャクソンはこう答えています。

Michael: I would like to be able to go out in public and just be normal sometime, without people recognizing who I am, and to get a little bit of a feeling of what it’s like to, you know, be of the regular norm.
To see how things are done, to learn what people speak about when they’re just casually talking. Cause soon as they see it’s Michael Jackson, the conversation changes. …… I would learn a lot from that. … it’s a difficult thing to pull off.

Interviewed by Anthony DeCurtis Online Chat (2001)

(意訳)
誰にも気づかれずに、ただ普通に公共の場で過ごしてみたい。
ほんの少しでいいから、「普通」とはどんなものなのかを感じてみたい。
普段、みんながどんなふうに振る舞い、どんなことを話しているのかを知りたい。
でも、「マイケル・ジャクソンだ」と気づかれた瞬間、そこでの会話が変わってしまう。
——もしそれができたら、きっと多くのことを学び取れると思う
だけど、それはなかなか難しいことなんだ。

読んでみて、どう感じましたか。

「なんでそんなに“普通”を知りたいのだろう。」
「普通なんて、大したことないよ。」
「マイケルは、“普通”なんて知らなくてもいいでしょ。」

——そんなふうに、私たちは思ってしまいがちです。

では、マイケルはなぜ「普通を知ろう」としたのでしょうか。

私たちの普段の何気ない行動を振り返りながら、一緒に考えてみましょう。


1. 私たちは「2つの普通」をつかみたい

初めての友達の輪に入る時、
初めて部活動に参加した時、
新しい職場に移った時、
——そのとき、あなたはまず何をしていましたか?


おそらく、みんなの様子を見て、観察していたはずです。

では、どんな観察をしていたのか、見ていきましょう。

Step 1:全体の雰囲気を知りたい

まずは「普通の雰囲気」を捉えようとします。

  • みんなはどんな振る舞いをしているのだろう

Step 2:流れを知りたい

そのうえで、

  • 話題がどの方向に動いているのだろう

  • 誰の発言が会話の流れを動かしているのだろう

  • どんな反応・やり取りが、生まれているのだろう

といったことを、会話のリズムや響きから感じ取りながら、その場が作り出す「普通の流れ」を掴もうとします。

Step 3:それぞれの立ち位置が見えてくる

この「雰囲気」と「流れ」の普通が揃うと、

  • その場にいる人たちが、それぞれどんな役割を担っているのか

が見え始めます。
まるで、スポーツ観戦さながらです。

Step 4:生存戦略を考え始める

ただし、あなたもここではプレイヤーです。
これらを踏まえて、考え始めます。

  • どのタイミングなら、会話に入れるのか

  • どんな温度感で入れば、場の空気を壊さないのか

  • 自分はどんな立ち位置で振る舞えば、場に馴染めるのか

これは、輪に入るための「入口」と「入り方」を見つけ、その場にどう溶け込むかという“生存戦略”を、私たちは自然と考えている、ということです。

私たちは子どもの頃から、「のけ者」にならないように、しっかりと場を観察してきました。新しい輪に入ろうとするたびに「普通」を学び、自分がどう振る舞うかを決め、場を乱さないようにして、自分の居場所を見つけてきたのです。

2.あなたの「心の輪」に入るためには…

では、今度は、私たちが場を作っている側だと考えてみましょう。

マイケルが新しい曲をリリースしたとき、それは、私たちのどんな「輪」に入ってくるのでしょうか。

私たちは、場を乱すものを、無意識のうちに内側に入れたがりません。
むしろ、距離を置こうとする傾向があります。

そしてそれは、音楽に対しても同じです。

私たちは、好きなアーティストだからといって、無条件にどの曲も等しく好きになるわけではありません。

「今はこの曲を聴きたい」と感じるときもあれば、
「今日はちょっと違うな」と感じるときもあります。

あなたの生活や、あなたの心という「輪」の中に、自然と入り、溶け込むために、
——マイケルは、みんなの「普通の生活」に流れているリズムを、知りたかったのかもしれません。

(つづく)

おまけ:「Privacy」で“場の乱れ”を体感しよう

「場の乱れ」を感じると、私たちはどんな反応をしてしまうのでしょうか。

例えば、神妙な雰囲気の中で、場を壊しそうな発言が飛び出すと、場が凍り付いたり、思わず引いてしまうことがあります。
これは、「普通」とのズレが大きすぎる場合です。

一方で、微妙にズレていると、なぜか少し笑ってしまうことがあります。
——そんな「場の乱れ」を感じさせてくれるのが、「Privacy」という曲です。

次の2パターンで聴いてみてください。
① マイケルの歌声を追いながら聴く
② カメラのシャッター音を追いながら聴く

①で曲の流れを感じたあと、②で聴くと、シャッター音の「割り込み感」がよりはっきりと浮かび上がってきます。

では、こんな場面を想像しながら聴いてみてください。

LAのホテルから外に出ようとした、その瞬間、
目の前には、大勢のマスコミが待ち構えています。
一斉にカメラが向けられ、フラッシュとシャッター音が鳴り続け…

シャッター音が、カシャッと鋭く終わらず、どこか間の抜けた響きで終わっているところにも、意識を向けてみてください。

——「シャッター音のないバージョンが聞いてみたい。」と感じたのは、私だけでしょうか。


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