マイケル・ジャクソンの苦悩①~③まとめ:創造も意思決定も「観察」から始まっている
第1回~第3回の記事では、
会社の意思決定の論理
創造性という「不確実なもの」の正体
について見てきました。
今回は、ここまでの内容をざっくり整理してみたいと思います。
第1回 会社の価値の源泉は「創造性」
このシリーズは、次のマイケルの言葉をきっかけに始まりました。
レコード会社の人たちは、「会社を作っているのはアーティストであって、会社がアーティストを作っているわけではない」ということを忘れてしまっているんだ。
この言葉からは、
「なんだか納得がいかない」
——そんな心の声が漏れ聞こえてきそうです。
マイケルは、レコード会社の価値の根本にあるのは、アーティストの創造性だと見ています。
しかし、マイケルから見ると、レコード会社はそう捉えていない——そう感じていたようです。
では、この認識のズレはどこから生まれるのでしょうか。
それを紐解いていくのが、このシリーズのテーマです。
そのためには、まず最初に、会社の意思決定の論理を知っておく必要があります。
会社という組織には、利害関係者への説明責任が伴います。
そのため、意思決定には合理的に説明できるだけの理屈が必要です。
レコード会社にとって、アーティストとの契約は「創造性」への先行投資です。しかし、創造性というものは、必ずヒット曲を確約してくれるものではありません。理屈だけでは説明がつかない「不確実なもの」なのです。
そもそも、創造性やひらめきといったものは、何なのでしょうか。
第2回 創造は観察から始まる
何かを創るための「ひらめき」がやってくる前には、次のような流れがあるようです。
問題について試行錯誤を続ける。
長く分からない状態が続く。
考えることから少し離れ、心がゆるむような時間が訪れる。
ある瞬間、突然——問題の全体が見える瞬間が訪れる。
ひらめいたものは、正しさを疑う必要のないものだと分かる。
その「ひらめき」を形にしていく。
そして、この流れの、更に前にあるのが「観察」です。
つまり、創造のプロセスは、次のような流れで進みます。
観察 → 課題発見 → ひらめき → 創作
「創造性の発揮」というと、大発見や偉業のように考えがちですが、私たちは無意識のうちに、この創造のプロセスを日常的に使っているのです。
——創造性とは、いったいどういうものなのでしょうか?
第3回 観察から「ビジョン/課題」が生まれる
創造性とは、
すでにあるモノや知識、自分の経験などを組み合わせ、
目的に沿った形へとそれらを統合し、
自分または他者の役に立つものを生み出すこと、と言えるでしょう。
私たちの知識や経験というのは、日々世界を観察して、感じ取ったものの蓄積です。観察の積み重ねがパターンを形成し、次のような流れが自然と生まれます。そして次第に、「ビジョン/課題」が見え始めます。
観察~課題発見までの「探索ループ」
① 観察の積み重ね:例)お米を炊く
↓
② パターン認識:「お水の量は、いつもこのくらい」
↓
③ ズレの発見:「あれ?いつもよりお米が硬い」
↓
④ 問い:「水の量を間違えた?浸水時間が短かった?」
↓
①〜④の繰り返し:「明日は水の量と浸水時間に注意してみておこう」
↓
⑤ ビジョン/課題:『昨日の炊き加減』で、いつも炊けるようになりたい!
このように、私たち個人レベルでは、日常のあらゆる場面で観察を行い、この探索ループを回しています。
ただ、私たちは、「創造のプロセスの上をいつも歩いている」という事実に気づきづらいのです。
そして、会社という組織もまた、観察から始まる探索ループによって、経営課題を見つけています。
しかし会社では、
観察する人、問いを立てる人、情報を整理する人、意思決定をする人——
それぞれの役割が分かれています。
この分業構造こそが、会社の意思決定を時に難しくさせます。
あなたの会社では、「観察されたもの」が、どのように統合され、経営課題へと変換されているのでしょうか。
そして、いったい誰がビジョンを描いているのでしょうか。
(つづく)
