僕の本棚 #09|『キャリア教育のウソ』
この本を読んだのは、教職大学院に通っていた頃です。
当時の私は、教員になって10年ほど経っていました。
数学を教えることには、少しずつ自信を持てるようになっていました。
担任の仕事も経験しました。
進路指導部、教務部、生徒指導部、特別活動指導部と、さまざまな分掌も経験させてもらっていました。
でも、どこか違和感がありました。
自分は、本当に成長しているのだろうか。
そんなことを考えていました。
今振り返ると、自分の成長は、前年のやり方を繰り返しながら、少しずつ経験を積み重ねていくようなものだった気がします。
私は教育学部の出身ではありません。
大学院で数学を学び、そのまま教員になりました。
だから、「教育とは何か」という軸を十分に持たないまま、教師になったのかもしれません。
数学を教えることはできる。
でも、それだけでいいのだろうか。
そんな疑問が生まれました。
そこで、私は教職大学院に進学しました。
管理職から勧められたことも理由の一つですが、それ以上に、教育学をもっと学びたいと思ったのです。
教育学に関する本をたくさん読みたいと思っていた頃、この本のタイトルに出会いました。
当時、「キャリア教育」という言葉に、どこか違和感を覚えていた私は、タイトルだけで購入を決めてしまいました。
この本の中には、「職場体験には本当に意味があるのか」という問いが出てきます。
この問いは、とても印象に残っています。
私は、地方の高校と都市部の高校の両方を経験しました。
すると、同じ「職場体験」でも、その意味がまったく違うことに気づきました。
地方の高校の職場体験は、本当に仕事を体験する機会でした。
場合によっては、卒業後の就職に直接つながることもあります。
一方で、都市部では、「見学」や「講義」に近い形で実施されることもありました。
もちろん、どちらが正しいという話ではありません。
でも、私は考えてしまいました。
キャリア教育とは何なのだろう。
同じ教育活動でも、地域によって大きな差があっていいのだろうか。
教育の世界に存在する格差を、そのまま受け入れていいのだろうか。
そんなことを、ずいぶん真剣に考えていたように思います。
もう12年ほど前に読んだ本です。
内容を細かく覚えているわけではありません。
でも、表紙を見ると、教職大学院で教育学にどっぷり浸かっていた頃の自分を思い出します。
本の内容よりも、その頃の自分の悩みの方が、今では鮮明に残っているのかもしれません。
