世界一のラグビーコーチの指導方針
ロトルアボーイズハイスクールは、今年のサニックスワールドラグビーユース大会で優勝し、世界一になった強豪高校だ。
この学校には、ラグビーアカデミーという「授業」がある。授業なのでもちろん成績もつくし、単位取得もできる。
今、ロトルアボーイズハイスクールのラグビーアカデミーを担当しているのは、ヒカ・エリオット氏だ。
ヒカ・エリオット氏は、元オールブラックスで、チーフスでも活躍し、現在もチーフスのジュニアレベルのコーチ陣にも名前を連ねている。
先日エリオット氏とコーチングについて話をしたとき、彼はこんなことを言っていた。
「コーチとしての私の役目は、生徒たち選手たちにラグビースキルを教えて、試合に勝つことだ。」とまず彼はそう言った。
そして
「でも高校生の彼らに対しては、ラグビーのスキルを教えるだけではなく、人として成長してもらうことも、私の役目の一つだ」
と続けた。
「ラグビーのコーチは、ラグビースキルだけを教えていればいいとは思わない。特に若い選手たちには、将来きちんとした大人になるための手助けをすることもとても大切だ。だから、毎日この授業で、ラグビースキルだけを教えるのではなく、いかにきちんとした大人になってもらうかにも注意をして、指導をしている」
彼のラグビーアカデミーでの指導を何度も見ているけれど、言葉だけではなく彼はそれを実践している。
たとえば先日、ストレングスのトレーニングを数人でやっていたとき、一人の若い生徒が、みんなのペースからかなり遅れて腹筋をしていて、なかなか終わらなかった。そのとき、授業終了のベルが鳴った。
ストレングスのメニューの途中でやめて帰ろうとしたその生徒に、エリオットコーチはこう言った。
「途中でやめるな。今日のメニューの中で、この10回の腹筋はとても小さなことのように思うかもしれない。でも、今ここでやるべきことを途中でやめたら、グラウンドに出たときも、やるべきプレーを途中でやめてしまうだろう」
「今日のこのストレングスのトレーニングは、まったく外からのプレッシャーもないだろう。そんなときに、続けようを思えば続けられる環境で、もしそれを途中でやめたら、たとえば試合で大きなプレッシャーがかかったときに、自分のプレーを続けることはできないだろう」
それを聞いてその生徒は、最後までメニューをこなした。
もちろんエリオットコーチは、最後までそばにいて、声をかけて、励まして、最後には思い切り褒めていた。
ラグビーコーチはラグビースキルだけを教えるのではない。人としての成長を支える存在だ。
それを実践している、世界一の学校のラグビーコーチがここにいる。
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