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兄と妹と、ひな様のこと|1920(大正9)年3月29日(月)|3月30日(火)|

📙1920年。旧制中学校を卒業したばかりの17歳の祖父が書いた日記を、
孫である私が、2026年の同じ日に紹介しています。
卒業はしましたが、師範学校の入学試験は不合格でした。
翌年の再受験を見据え、母の実家近くの小学校で非正規の代用教員となることを決意します。
郡役所に履歴書と健康診断書を提出しましたが、まだ採用の返事はなく、落ち着かない日々が続いています。


🧭 この日のあらすじ

英語や数学の勉強、そして薪割り。
妹のためにひな様を飾り、ひな様遊びの相手もした。
昨日井戸に落ちた桶を引き上げ、午後は図書館へ。
雑誌『中学世界』を読み、夜は障子紙を継ぐ。
外では白酒売りの声がする。


📅 日記本文

3月29日(月)
朝、英語を調べる。
はるきを割る。
ひな様を飾る。
数学をなす。
湯に行き、
夜、数学をなす。

3月30日(火)
朝、英語を調べる。
薪を割る。
石松の人と妹と来る。
雛様にて妹と遊ぶ。
昨日、落ちたる井戸の桶を上げる。
4時ごろ図書館に行く。
中学世界を見る。
夜、障子紙を継ぐ。
外に白酒売りの声あり。

📌 背景メモ

飛騨のひな祭り
寒い飛騨では1ヶ月遅れの旧暦に合わせて、4月3日に雛祭りを行います。

中学世界

明治末から続く中等学生向け雑誌。文学、科学、受験記事などを掲載。
受験生だった祖父にはちょうどよい読み物だったのかもしれません。

『中学世界』大正9年11月号

💭 孫のつぶやき

祖父の家のお雛さま、子どもの頃に見たことがあります。
繊細な冠、古風なお顔立ち。十二単も束帯も、どこか時代の色をまとっていました。

母に確認したところ、この日に祖父が妹のために飾ったお雛さまと同じものだということが分かりました。
そしてそのお雛さまは、今も母の姉の家にあるそうです。
それを知って嬉しくなり、久しぶりに会ってみたくなりました。
今回、写真を見てみたいと思ったのですが、伯母も高齢で、お雛さまを出すのが大変とのことで叶いませんでした。

二年前の日記にも、祖父は妹のひな様遊びの相手をしていました。
ひなまつりは、兄妹の小さな恒例行事だったのかもしれません。

祖父と妹(推定年齢)
左:妹3歳、祖父11歳
(祖父の小学校卒業頃)
右:妹16歳、祖父24歳
(妹の女学校卒業頃)
※モノクロ写真を
アプリでカラー化しています。
奈良一刀彫りのお雛様