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「運動会の準備の日、私はザ・ファントムギフトに取り憑かれた」第3回:幽霊からの贈り物(エッセイ)

「世界」の続きは「奇跡」だった

ファントムギフトの欠片を探す日々を過ごすうち、2003年の年末に大事件が起きる。仕事中に立ち寄ったCDショップの棚に、『ザ・ファントムギフトの奇跡』を発見したのだ。

うかつであった。ファントムギフト周辺はチェックをしていたつもりだが、まさか本丸に動きがあるとは…。そして、再結成ライブも行われていたとは…。
この頃は仕事の関係で、また静岡県にいた時期だったので…と、これは言い訳だ。ファンを名乗るのが恥ずかしい。

そんなわけで、またもやライブのチャンスは逃してしまった…が、それでもCDショップに行った際には「邦楽 は行」を日々無意識にチェックし、「奇跡」の存在に気がついた自分を褒めた。そして、奇跡を仕入れてくれていたショップに感謝した。

『ザ・ファントムギフトの奇跡』には、幻のセカンドアルバムに収録されるはずだった曲も、自主制作で過去に出された曲も、ライブ音源も収録されていた。小西康陽、草野マサムネも熱烈推薦である。ファントムギフトに魅せられて16年、こんなアルバムを手にするとは、まさに”奇跡”だった。そして、これこそがファントム・ギフト=幽霊からの贈り物だった。

この贈り物は、私の心の穴を一気に埋めて余りあるものだった。もちろん、毎日のように聴いた。内容を語りはじめると長くなるので、ここでは語らないが、こちらも1曲もハズレは無い。この感動を分かち合えるような知り合いは周辺にはいなかったが、もう慣れっこである。

奇跡の先に

「奇跡」の発売以降は、喪失感に襲われた。
再結成ライブの模様をリポートした2004年1月のクイック・ジャパンにはこう書かれている。

ファントムギフトはこのライブを持って完結した。もう二度と再結成はしないだろう。残念だが仕方ない。(中略)伝説や過去に見事なオトシマエをつけた夜だった。

「Quick Japan」vol.52 文・キングジョー


正直、セカンドアルバムを聴くことなど、とっくにあきらめていた。それなのに「奇跡」は、その他の音源まで引き連れて私に前に現れた。そして、「これで、本当におしまい」と念押しをして去っていった。そんな気分だった。
ファントムギフトは、終焉を迎えたのだ。

しかし、サリー久保田による「サリー・ソウル・シチュー」の活動や、映画「GSワンダーランド」のサウンドトラックなどはチェックしてしまい、そこにファントムの幻影を探してしまう自分がいた。

まさかのファントムギフト復活

2003年に「ザ・ファントムギフトの奇跡」の発売と再結成ライブをいち早くキャッチすることができなかった私は、その反省を生かし、いくら終焉を迎えたとはいえ、ファントムギフト情報のチェックを怠らなかった。すると、2022年には「一色萌とザ・ファントムギフト」名義のシングルが発売されるというニュースが飛び込んできた。さらに同じ年、ピンキー青木以外のオリジナル・メンバー3人に杉村ルイを加えて「from ザ・ファントムギフト」名義でのライブを開催。そして、翌2023年4月には「ザ・ファントムギフト」名義で正式なバンドとしての活動を再開するという。また、同年7月には、7インチ・シングル「真夏の夜の動物園 /テル・ミー・モア」もリリースされた。何と、ザ・ファントムギフトは復活を果たしたのだ。

これは、うれしくもあったが、「ピンキーの危うい歌声があってこそのザ・ファントムギフト」と思っていた私にとっては、やや残念なものであった。正直、2003年の「ザ・ファントムギフトの奇跡」の発売時のような感動は無かった。

しかし、2024年には、再び私の心を揺さぶるような大事件が発生するのである。

(第4回・最終回へつづく)
次回は、復活したファントムギフトに起きた出来事と、その後の私の思いについて綴ります。


第4回(最終回)はこちらです↓

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五十嵐雉虎(イガラシ・キジトラ)|準文筆家|掌編小説・ショートショート作家 よろしければ、ぜひ応援をお願いします!

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