連載「菌活ボーイがゆく」【58】マドンナ現る①
発酵の世界にハマるきっかけは、いつも小さなひと匙から🥄✨
こうじの魅力にはまった猫サラリーミャンの菌活実践記です。
育て上げた醤油こうじを食べてしまうのが心苦しくて」の心境で菌との触れ合いの日々を送る。
さっちー師匠ににゃんだかんだ巻き込まれながら菌友づくりに励む。
文/菌活ボーイ
イラスト/ちぐ

総本山を去ったトラさんと入れ替わり、高矢駅前のユキちゃんが現れた。
「いま表で、見かけない方に会ったわ。どなた?」
「あれはね」。さっちー師匠が言いかけて、「わっ!」。みんな一斉に驚いた。
トラさんが、入り口にぬっと立っていた。
「旅に出たんじゃないの?」
「この方、どなた」
トラさんは放心したように、師匠に問いかけた。
「覚えてないの? 子どもの頃、お兄ちゃんがいつも泣かせていたユキちゃんよ」
「えッ。あのユキっぺ? きれいになったなぁ」
「トラちゃんも立派になって。昔は、よくからかわれたわ」
「ぼ、ぼかぁ、そんなことしたかな…」
ユキちゃんに腕をつねられ、トラさんはうれしそうに体をくねらせた。
「お兄ちゃんは旅に出るとこなの」
「まあ。残念」
トラさんは師匠に顔をしかめてから、急におなかを抱えた。
痛てて…。
「どうしたの」
「大丈夫ですか」。のぼにゃん師範も慌てて駆け寄った。
「腹が…。昼の煮干しが原因かな」
「横になって」。ユキちゃんはトラさんを優しく支えて座らせた。「きょうは出かけちゃいけないわ」
「そうですよ、アニキ。泊まってください」
「う、うん。そうだな。そうさせてもらおうかな」
トラさんは素直にうなずいた。
(続く)
