連載「菌活ボーイがゆく」㉟春らんまん
こうじの魅力にはまった猫サラリーミャンの菌活実践記です。
「育て上げた醤油こうじを食べてしまうのが心苦しくて」の心境で菌との触れ合いの日々を送る。
さっちー師匠ににゃんだかんだ巻き込まれながら“菌友”づくりに励む。
文/菌活ボーイ
イラスト/ちぐ

朝の台所。桜が満開になった。
紙袋の中のお弁当は、桜の花びら模様の飾り紙で彩られていた。
割り箸、爪楊枝、お手拭き。
どれも桜模様の包み紙だった。
ピンク色の輪ゴムをとると、えびが踊るちらし寿司。
お米も薄紅色。僕は二度目の花見を楽しんだ。
前日の夜、菌友のHさんから花見に誘われた。
彼女は桜の下、ランプを灯し、仲間たちとおでんを炊いていた。
ふきのとう味噌のおにぎり。桜餅。肉…。
食べきれず、お土産にもらったお弁当だった。
少し前、彼女は畑で動脈剝離になった。
最後の力を振り絞り、開いたスマホにIさんの着信履歴があった。
彼は畑の場所を知っていた。
消防署が近くにあり、幸い救急車がすぐ駆け付けた。
運ばれた病院は、会議のため専門医や麻酔科医が集まっていた。
いくつもの奇跡がつながった花の宴だった。
(続く)
