嵐の予感 ①―湯飲みの底に映る未来― (菌活ボーイがゆく #72)
前回のおはなし
― 菌茶占い ―
「嵐が来そうだねえ」
空は、からりと晴れていた。
3丁目のおばばがやってきた。
僕の湯飲みをのぞき込んで、
「菌色の光の中を進む、か。ふむ」
と、ひとりごちた。
道場のみんなは、
一斉に湯飲みを差し出した。
「お願い。私も占って」
おばばは、湯飲みの菌跡から未来を読み解く。
菌道占いの大家なのだ。
「一生、食べ物に困らない」
さっちー師匠は言われて大喜び。
ラオにゃんとの縁談が持ち上がる前から、
破談もピタリと言い当てたという。
「恋愛運はどう?」
「運命を感じる出会いの予感。
思いがけない人に告白される」
師匠はガッツポーズで小躍りした。
おばばの占いは、
必ず当たると評判だ。
「掃除で運気アップ。
玄関を磨けば運が開く」
「あんたは、
廊下で臨時収入があるかも」
「菌茶で開運。
ケーキを添えて
高齢者に振る舞うと吉」
みんないそいそと腰を上げた。
おばばは僕を見上げて言った。
「あんたには、
肩をもんでもらおうかね」
肩もみしながら聞いてみる。
「本当に占ってる?」
おばばは、
口元で笑って菌茶をすすり、
湯飲みを見つめた。
「嵐が来そうだねえ」
空は、からりと晴れていた。
(次回に続く)
