連載「菌活ボーイがゆく」【60】マドンナ現る③
発酵の世界にハマるきっかけは、いつも小さなひと匙から🥄✨
こうじの魅力にはまった猫サラリーミャンの菌活実践記です。
育て上げた醤油こうじを食べてしまうのが心苦しくて」の心境で菌との触れ合いの日々を送る。
さっちー師匠ににゃんだかんだ巻き込まれながら菌友づくりに励む。
文/菌活ボーイ
イラスト/ちぐ

道場にいた門下生も呼び集め、出来たてのヨーグルトを取り囲んだ。
のぼにゃん師範が、慎重に、均等に器に取り分けた。
「いただきましょ」
さっちー師匠の声で、一斉にスプーンですくった。
「おいしい」「粘りがすごい」「大成功」
みんな大喜び。
その時、鼻声を歌いながら、トラさんが現れた。
「あ!」
のぼにゃん師範がばつの悪い顔をした。
「アニキの分を忘れてた」
みんな慌ててテーブルの下に隠そうとした。が、間に合わなかった。
「おっ、できたのか」。ニコニコほほ笑むトラさん。「ユキっぺも来てたのか」。僕の横に座って、「うまいか?」と聞いてきた。うなずくと、「よかったなあ。のぼ、俺ももらおうか」
沈黙。
「ん? どうしたお前ら」
さっちー師匠が自分の器を差し出した。
「わたし、ひと口しか食べてない」
「アニキ、私のを食べてください」
「どうぞ」。僕も器を差し出した。
トラさんはみんなを見回して、静かに口を開いた。
「なんで俺が、お前らのつばがついたやつを食べなきゃならねえんだ?」
僕らは全員うつむいた。
(続く)
