連載「菌活ボーイがゆく」【59】マドンナ現る②
発酵の世界にハマるきっかけは、いつも小さなひと匙から🥄✨
こうじの魅力にはまった猫サラリーミャンの菌活実践記です。
育て上げた醤油こうじを食べてしまうのが心苦しくて」の心境で菌との触れ合いの日々を送る。
さっちー師匠ににゃんだかんだ巻き込まれながら菌友づくりに励む。
文/菌活ボーイ
イラスト/ちぐ

トラさんの幸せな日々が始まった。
頰づえついてにやけているか、近くの婿いらず観音院に参拝してはスキップしながら帰ってきた。
ある日、ユキちゃんが風呂敷包みを持ってやってきた。
トラさんは、しっぽをぶんぶん振り回した。
「さっちー、お茶もってこい。のぼは、お菓子だ、お菓子」
師匠たちに慌ただしく命じた。
「まあ、家元や師範にさせちゃいけないわ」
「なあに。家元や師範つったって、たいしたことないんです。まったく気が利かねえやつらで。ぼかぁ困ってるんです」
ユキちゃんはクスクス笑った。トラさんもニコニコ笑った。
「それより、それはなんです? お菓子かな」
トラさんが指さすと、ユキちゃんは笑いながら包みを開いた。
現れたのは、家電の発酵器だった。
「トラちゃんはおなかが弱いから。ヨーグルトでもどうかと思って。牛乳と菌種を入れてセットするだけ。7時間でできあがるのよ」
「ぼ、ぼくのために?」
「私、ほしかったんだ」
さっちー師匠が触ろうとした。
「ばっちい手で触るんじゃないッ」
トラさんは素早く横から奪い取り、発酵器をフーフーして清めた。
師匠にしかめっ面して、ユキちゃんにニコニコした。
師匠はあきれながらも、気を取り直して提案した。
「さっそく作ろうよ。いいでしょ、お兄ちゃん。冷やして食べたいから10時間後に全員集合ね。ユキちゃんもきてね」
「はいッ」
トラさんが返事をした。
(続く)
