連載「菌活ボーイがゆく」㊼「こうじよ、こうじ」
発酵の世界にハマるきっかけは、いつも小さなひと匙から🥄✨
こうじの魅力にはまった猫サラリーミャンの菌活実践記です。
「育て上げた醤油こうじを食べてしまうのが心苦しくて」の心境で菌との触れ合いの日々を送る。
さっちー師匠ににゃんだかんだ巻き込まれながら“菌友”(菌活友だち)づくりに励む。
文/菌活ボーイ
イラスト/ちぐ

「口に含んだ瞬間の香りが違う。カカオのような風味も感じる」
「こっちは醬油味が濃いな。でも後から甘みが追いかけてくる」
キジトラ総本山の第三道場。
「利きこうじ」の練習試合をしていたら、さっちー師匠が通りかかった。
しばらく黙って見ていたが、ひとさじすくうと香りを嗅いで口に含んだ。
「ふむ…」
師匠は目を閉じ、笑みを浮かべた。「1丁目の佐藤さんの畑のタマネギと三宅さんちのニンニクだにゃ。こっちは先月仕込んだ塩こうじ。これは自家製醬油を使ってる」
道場内がどよめいた。
「お~ほっほ。朝飯前だにゃ」
ほほに手の甲を当てて高笑い。
「キジトラ流を極めたら、菌の言葉もわかるにゃ。菌の言葉こそ金言なり」
「金」の文字を空中に描きながら、チラリと僕に鋭い視線。
泥酔した師匠の言葉を「翻訳」したら、根に持っているらしい。
「どんな金言か知りた~い」
ねだる門下生たち。
師匠は唇に指を立てて静めると、こうじに顔を寄せた。
「ええっ…そんなこと。いや~ん」
顔を赤らめる師匠。
かたずをのんで見守る門下生。
「世界で一番…」
漏れ出たつぶやきを、思わずみんなで唱和した。
「世界で一番…美しいのはさっちー姫♡」
(続く)
