「森のようちえんのルポ」に対する投稿を見て、ドイツの森の幼稚園で働いている自分が思ったこと
インスタの投稿(https://www.instagram.com/p/CXK-AXhl6ZE/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==)で「森のようちえんのルポ」をあげられている方がいて、内容を少し見てみた。
表紙☟
(赤線は個人的に気になった部分です☟)

①SDGsに絡める時って、なんか「自然環境に配慮できる大人になりまっせ~」みたいな文脈になることが多いと思うので、個人的にはあんまし乗り気ではない。
ていうか、そもそも論、自分は子ども達に自然体験をさせようと思って森の幼稚園をやっているわけではない。
幼児期の子どもというのは身体的・精神的成長が著しく、その発達を促すのは「遊び」である。で、子ども達に対して無限の遊びの可能性を与えるのは自然だと、個人的には思っている。だから、自然の中で子ども達を遊ばせることが出来る森の幼稚園が素晴らしいなと思い、関わっているのである。
自分が日本にいた時に、合計で20園以上の日本の森のようちえんを訪ねた。その際に、色んな人から話を伺ったけど、一番多い内容だったのが、
「自分が幼少期に自然体験をしていた。その体験を子ども達にもさせたい!」
というものである。
自分と同じような考えをしている人には会わなかった!!!
別に自分は自然体験への思いを否定はしないけれども、その思いが強すぎると、例えば、「サッカーがしたい!」と言う子どもに対して、
「サッカーはしちゃダメ!サッカーボールは自然の物じゃないから!」
みたいな、”自然体験主義”に陥ってしまうので、注意が必要だなと思う。
ただでさえ、公園とかでボール遊びが禁止されている昨今において、自然という場所だったら、子ども達は思いっきりボール遊びが出来る。それにもかかわらず、自然の中で遊ぶことを大事にする森の幼稚園がボール遊びを禁止にするなんて、あべこべ話も甚だしい。
自分は子どもの成長を第一に願っていて、その手段として「森の幼稚園」が一番優れていると考えている。「自分が幼少期に自然体験をしたから、子ども達にも同じことをさせたい」という己のエゴに固執して、子ども達に自然体験を強制させるような奴らとは、根本が違うということを主張したい。
あと、「幼少期に自然で遊んでたら、自然環境に配慮できる大人になる」ってのも浅はかな論理である。ならば、自然で遊んでいた昔の子ども達は、今では自然環境にやさしい大人へと育っているハズであると言えるが、実際はそうではない。
環境意識を育てるのはその子自身だし、子どもの時の考えをそのまま大人になっても持ち続けることは稀である。だからこそ、子ども達に環境意識を刷り込むよりも、その子のこれからの人生の基盤となる身体的・精神的発達に対して取り組むべきなんじゃないかなと思う。
②「爆上がり」と帯に書かれているけれども、ペーターヘフナーの研究結果からしてみれば、そう言うことも可能だと思う。
ただ、この研究って2002年のものなので、いい加減、新しい研究結果が出て欲しいなと個人的には思っている。もう20年以上経ってるんだから、さすがにここれを使いまわすのはダサすぎる。
PiA-Ausbildungで卒業試験の一部として論文を書かないといけないらしいので、自分がそこで書いても良いかなとは思っている。
③「新しくて懐かしい」ってのは、なんかうまいキャッチコピーだなと単純に思った…笑
表紙の裏面☟

①日本では「森のようちえん」って書かれていて、森の”幼稚園”というように表記しない。これは、日本の森のようちえん協会のホームページによると、
2.「森のようちえん」という名称について
【森】は森だけでなく、海や川や野山、里山、畑、都市公園など、広義にとらえた自然体験をするフィールドを指す。
【ようちえん】は幼稚園だけでなく、保育園、託児所、学童保育、自主保育、自然学校、育児サークル、子育てサロン・ひろば等が含まれ、そこに通う0歳から概ね7歳ぐらいまでの乳児・幼少期の子ども達を対象とした自然体験活動を指す。
と書いてある。これを初めて見た時は大学生の頃で、その時は「日本で自分の森のようちえんを作りたい!」なんて意気込んでいてから、協会がそう言うなら自分も「森のようちえん」と平仮名表記を使っていた。つまり、自分の意見を持たずに、ただただ上の言うことに従っていただけの甘ちゃんである。
だけど、日本の森のようちえんを結構見て回って、前述した考え方の違いに気付いたし、ドイツと日本の森の幼稚園の環境の差に愕然として、自分としては「森の幼稚園」と漢字表記にしていきたいと思うようになった。
ドイツだったら、森の幼稚園はちゃんと”幼稚園”として認められているので、わざわざ”ようちえん”みたいに平仮名にしてぼやかす必要性は無い。というか、自主保育グループとして誕生したとしても「森の幼稚園」と名乗っているし、基準を満たせば認可してくれるのがドイツである。
その状況を考えると、時代遅れの基準によって認可されることが難しい日本において、「ようちえん」表記にすることは、個人的には、”逃げてる”という印象を覚える。裾野を広げるという目的は理解できるけども、それだといつまで経ってもドイツのようにならないし、客観的な判断として「森のようちえんはそういう志向の人が通うところ」みたいな捉え方が強まってしまう。
森の幼稚園は幼稚園としての形態の1つであり、決して「自然体験をする為に通う”塾”」みたいなものではない。
森の幼稚園は幼稚園なので、どんな考えの人でも迎え入れることが出来る。そこのプライドというか、幼稚園としての品格を落としたくないので、自分としては「森の幼稚園」と表記することにしている。
「森のようちえん」と書き続けることで、保育士の教科書に、シュタイナーやモンテッソーリと同等のページ数を用いて、森の幼稚園が紹介されるドイツのような状況が、日本に訪れることは無いだろうと思っている。
②「いま最も注目すべき幼児教育活動」ってのも煽りが上手いなって思う。自分はそれを本場の国ドイツで学べているので、とても有難いなと思う。
はじめに☟

目次☟


本文☟

・1㎞歩くのか…
例えば、実習先のデュッセルドルフ森の幼稚園には15個の遊び場がある。「04 Bauwagenplatz(赤丸)」がバウバーゲンのある場所で拠点。
「06 Frauenstein(黒丸)」は700mくらい離れている。「11 Berge(緑丸)」は800mくらい。ほとんどの遊び場所は近くに密集している☟


”環境危機の解決に必要なのは、SDGsではなくて「森のようちえん」かもしれない”は言い過ぎと思う…笑(理由は記事の最初に書いた通り。)
