【サッカー選手の骨盤機能の秘密】 −メッシは剛性・ネイマールは流動性−
「みなさんは片脚立位できますか?」
手を挙げながらの片脚立位。
— 續池均(kintsuzuike)@MTR Method Lab®︎ (@kintsuzuike) November 17, 2023
手は指先まで真っ直ぐ伸ばし足は地面を強く押して半身で軸を作る。
逆の半身は脱力。肩を落とし脚は股関節屈曲で持ち上げる。この時に太腿に力が入っていたら骨盤コントロールが不十分。
見た目以上に難しいはず。アップとダウンにおすすめ。pic.twitter.com/h4DcXIaevk
これができないサッカー選手はとても多いです。こんなの簡単だよって人は、壁に後頭部、背中、骨盤(仙骨)をつけて同じようにやってみてください。
脚が上がらない選手が増えると思います。
もし脚を上げることができても、その動作時に體が左右に傾く人は大腿四頭筋や外側広筋、腸脛靭帯に頼った代償行為の結果でしょうし、そもそも股関節が上手く働いていないようです。
片脚立位のポイントは、支持脚(軸足)でしっかり地面を踏む力と、遊脚側の股関節の動きに対して骨盤機能が適切に発揮されてされているかどうかです。
私は常々「足の再生」を口にしてきました。
それは多くの怪我の原因が土台の崩れに起因していると考えているからです。
接触プレーでもないのに頻繁に怪我をする選手は、九分九厘の割合で體が崩れています。
こうした簡単な動作で骨格基準(アライメント)の不整合が確認できるのですが、この不整合がパフォーマンスの低下を生み、ひいては代償行為の積み重ねによる歪なフォルムや複合的な怪我につながっていきます。
「足、足うるさいから足は意識するようになったぞ。」
最近は、そんな声が聞こえてきそうな気配ですが(笑)、じゃあそれだけでよくなのるか?と言えば、まだまだ五合目付近ですと言わざるを得ないのが骨格構造というものでしょうか。
長い間、崩れた土台に乗っかっていた體は骨盤を中心に歪み、骨と筋肉の天賦のバランスを失っています。
特に下半身を酷使するサッカー選手の骨盤が前か後のいずれかに傾いてがっちり固定されていれば上半身はどうなると思いますか?
骨盤の基本構造と機能
骨盤は、上半身(体幹)と下半身(股関節・脚)をつなぐ中心的な構造です。ここが適切に機能することで、スムーズな動作や素早い方向転換が可能になります。
■ 骨盤の役割とは?
体幹と下半身をつなぐ“動作のハブ”
骨盤が適切に機能していれば、片足立ちやターン時にバランスを崩しません。
軸足の安定性が向上しシュートやパスの精度も上がります。キックでは骨盤が回旋しパワーを増幅させます。
ダッシュ時の骨盤の前傾が適切でなければスピードが出にくい選手になります。ストップ動作では、骨盤が後傾できないと膝への負担が増大し怪我の原因になります。
骨盤の柔軟性がなければ股関節の動きが制限されてしまい、スプリントやターンのキレの低下につながります。
逆に、剛性(安定性)がないと、パワーが適切に伝わらず軸がブレることになります。
サッカーにおける「骨盤の柔軟性と剛性」のバランス
サッカーにおいて重要なのは、「骨盤の柔軟性」と「剛性」のバランス です。
柔軟すぎると安定性が失われ、剛性が高すぎると可動域が制限されます。この絶妙なバランスこそがパフォーマンスの鍵になります。
骨盤の柔軟性は股関節の動きをスムーズにするために必要になります。
骨盤の動きを利用して、ドリブル・ターン・フェイントの自由度を高めます。
ネイマールのような「サンバリズム」のプレーは、骨盤の柔軟性が鍵になります。
骨盤の剛性は体幹と下半身の連動を支える安定性を生みます。
メッシのようにコンタクトを受けても軸がブレないプレーの重要な要素です。
キック時やストップ動作時に骨盤がブレると力が逃げてしまいます。
■ 股関節との連動
骨盤と股関節が連動することでプレーの質が変わる
骨盤の動きが制限されると股関節の可動域も制限されてしまいます。
例えば、骨盤が前傾しすぎるとハムストリングが常に緊張状態になり可動域が狭くなります。
逆に骨盤が後傾しすぎるとスプリント時の伸びがなくなります。
骨盤の可動性が高まるとプレーの幅が広がります。
低い姿勢でのターンや、狭いスペースでのボールキープの技術が高まります。
骨盤を柔軟に動かせると、急激な方向転換時の負担が減り怪我のリスクが下がります。
「動かせる骨盤」と「固定できる骨盤」の両立が鍵
サッカーでは、状況によって「骨盤を動かす場面」と「固定する場面」 を使い分ける必要があります。
動かせる骨盤(可動性)とはターンやフェイントで相手をかわす時に機能を発揮します。
骨盤を柔軟に動かせるとフェイントのバリエーションが増えます。
ネイマールのように、骨盤を揺らしながらリズムを変えることでDFのタイミングを狂わせることが可能になります。
また、スプリント時の股関節の伸展に影響があります。骨盤が適切に動くことでストライドが大きくなり、スプリント速度が向上します。
固定できる骨盤(剛性)とはコンタクトプレー(ボールキープ・競り合い)で機能を発揮します。
骨盤がブレないことで相手の当たりを受けても姿勢を崩しません。
メッシはこの剛性が非常に高く当たり負けしないプレーが可能です。
また、キック時の安定性にもつながります。
骨盤が安定しているとキック時に体がブレず、ミート精度が向上します。
骨盤が不安定な選手はキックモーションでバランスを崩しやすくなります。
骨盤機能の違いによるプレースタイルの違い
サッカー選手のプレースタイルには、骨盤の機能性が大きく影響を与えています。
特に、「骨盤の剛性(安定性)」と「骨盤の流動性(可動性)」のバランスによって選手の特徴が変わります。
ここではメッシ選手とネイマール選手の違いを例に挙げながら骨盤機能とプレースタイルの関係を詳細に解説します。
■ 「骨盤の剛性」が高いメッシ
胸骨に重心を残し、倒れない・狭いスペースでの強さ
メッシのプレースタイルの最大の特徴は、胸骨(胸の中心)に重心を残しながら、股関節を軸に自由に動けることです。これは単なる「低重心」ではなく、骨盤の剛性を高く保ちつつ、股関節の可動域を最大限に活かすスタイル です。
骨盤の剛性が高いと軸がブレずに倒れにくくなります。
骨盤が安定しているため、相手のコンタクトにも耐えられます。
重心を胸骨に残すことで、スプリント・ターン・フェイントをスムーズに実行可能です。
細かいステップでも体勢が崩れず次の動作への移行が速いのが最大の特徴です。
メッシは狭いスペースでもスムーズにプレーができます。
骨盤の剛性が高いため相手に寄せられてもバランスを維持します。
小さいモーションでプレーできるため、シュート・パス・ドリブルの精度が極めて高いです。
重心が胸部にあるため上体を起こしやすく視野を広く確保しながらプレーできます。
リオネル・メッシ選手のトレーニング風景。
— 續池均(kintsuzuike)@MTR Method Lab®︎ (@kintsuzuike) November 1, 2024
①ジャンプ:骨盤後傾が両側とも整っている。
②ターン:仙骨を軸にした回旋も早くデスマルケの上手さにつながる。
③サイドステップ:胸郭から動きを作っているので脚が常に進行方向に向く。… pic.twitter.com/0cOUFn7yOI
360度の可動域を持つ股関節の使い方
メッシは、骨盤を強固に固定しながらも股関節の可動域をフルに活かしてプレーするタイプ です。
これは骨盤の剛性と股関節の柔軟性が両立していることを意味します。
股関節の可動域を最大限に活用しています。
骨盤を動かさず股関節だけで方向転換(重心移動の最適化)しています。
骨盤が固定されているため、シュート時に体幹がブレないため極めて高いキック精度を誇ります。
そして、狭いスペースでも股関節の自由度を活かして小刻みなターンで相手を翻弄します。
メッシ選手はセットプレーでボールをセットする時はいつも綺麗な股関節の屈曲。
— 續池均(kintsuzuike)@MTR Method Lab®︎ (@kintsuzuike) January 20, 2024
日頃の所作から股関節の機能性を意識している証。
腰を曲げずに股関節を折り畳む。#リアクティベーション https://t.co/0llV9AYg64 pic.twitter.com/bRjMbO3YOR
胸骨・胸椎ー腰椎ー骨盤を活用する
メッシのプレースタイルは胸郭のコントロールと脊柱全体の機能的な使い方によって支えられています。
特に、胸骨・胸椎・腰椎を連動させながら骨盤を安定させることで、重心移動の精度を極限まで高めています。
胸郭は可動範囲が狭いが、重量としてのパワーを生み出します。胸郭を適切にコントロールすることで、身体の重さを最大限に利用し、ボールコントロールや相手との駆け引きを有利に進められるます。
メッシは胸椎後弯を含めた脊柱の利用やコントロールが異次元のレベルです。
胸椎後弯を適切に使い重心を低く保ちつつ姿勢の安定性としなやかさを両立させています。
相手のコンタクトを受けても、胸郭のコントロールによって「押し負けない」「倒れない」プレーが可能になっています。
メッシのプレー
①胸骨を支点にしたドリブル突破 → 体勢を崩さず相手をかわす
②コンタクトを受けても倒れない → 体幹が安定し、フィジカル負けしない
③ボールを持ったまま360度の視野を確保 → 空間認識能力が高くプレースピードが落ちない
④ワンタッチでの方向転換 → 骨盤が安定しているからこそ可能
⑤細かいステップで相手をかわす → 最小限の動きで最大限の効果
■ 「骨盤の流動性」が高いネイマールとラミン・ヤマル
サンバリズムのような骨盤操作
ネイマールのプレースタイルの特徴は、流動的な骨盤の動きを利用して相手を抜くことです。
特に、サンバのリズムに似た独特のステップと骨盤操作は、相手DFにとってとても対応が難しいものとなっています。
骨盤の流動性が高いと動きに「遊び」が生まれます。
骨盤の動きを細かくコントロールすることで相手の重心をズラすフェイントが可能です。
そして、上半身と下半身の連動を崩し相手DFを欺きます。
フリーな骨盤の動きでプレースタイルが柔軟になるのが特徴です。
ネイマールのドリブルフェイントはリズムの変化を自在に操ります。
骨盤を揺らすことで緩急のギャップを作り相手を引きつけて抜き去ります。
リズムを変えることで相手を抜く
ネイマールのフェイントは、単なる「速さ」ではなく骨盤の流動性を活かしたリズムチェンジ によるものです。
リズムを変えることでDFの対応を難しくさせています。
わずかに骨盤を揺らしながら相手の動きを誘導します。
そして、一気に加速して相手を置き去りにする
フェイント時の骨盤の動きは、骨盤を前後・左右に揺らすことで視覚的に相手を迷わせます。
骨盤をロックせず、動きを連続的に繰り出しています。
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