PMがつらくなる会社、伸びる会社──会議の数より重い組織の差
朝から会議が3本。
昼をまたいで進捗確認。
夕方は関係者調整。
その合間にチャットが飛び、資料を直し、遅れている論点を拾い、誰かの不安を受け止める。
一日中動いていたのに、なぜか何も前に進んでいない気がする。
PMをやっていると、こういう日が増えます。
予定表は埋まっている。責任も重い。関係者も多い。なのに、終わったあとに残るのは達成感より消耗感だけ。
この状態が続くと、多くの人はこう考え始めます。
自分はPMに向いていないのかもしれない。
進め方が下手なんじゃないか。
会議をさばく力が足りないんじゃないか。
でも、僕はここで一度立ち止まって見たほうがいいと思っています。
PMがつらくなる理由を、会議の数だけで説明すると浅いです。
もっと重いのは、その会議がどんな組織の中で開かれているかです。
同じPMでも、会社が違うだけで疲れ方はかなり変わります。
同じように忙しく見えても、伸びる会社のPMと、削られる会社のPMでは、背負っているものの質が違うのです。
会議が多いこと自体が問題ではない
まず整理したいのは、会議が多いこと自体が悪ではない、ということです。
本当に前に進む会社にも会議はあります。
むしろ、複雑な案件ほど関係者が多いので、打ち合わせは必要です。
問題は、会議が何のために存在しているかです。
伸びる会社の会議は、決めるためにあります。
論点を揃え、責任者を明確にし、次の動きを決めるために開かれる。
だから、終わったあとに仕事が軽くなる。
迷いが減る。
戻り作業が減る。
PMは収束に集中できます。
一方で、PMがつらくなりやすい会社の会議は、安心するために開かれます。
誰も責任を取りたくない。
後から責められたくない。
そのために、とりあえず関係者を増やす。
確認を重ねる。
言質を残す。
でも、決める人が曖昧なままなので、終わっても次が曖昧です。
その結果、PMはどうなるか。
前に進める役ではなく、空気を整える役、責任を吸う役、曖昧さを抱える役になっていきます。
これが、じわじわ効きます。
PMを疲れさせる組織の差は、3つの場所に出る
僕が見てきた中で、PMを削る会社と、PMを伸ばす会社の差は、主に3つの場所に出ます。
ひとつ目は、意思決定者が本当に存在しているかです。
肩書き上の決裁者がいることと、実際に決める人がいることは別です。
会議の場では強いことを言わない。
あとで個別にひっくり返る。
そのくせ責任の所在は曖昧。
こういう会社では、PMは何度も同じ説明をすることになります。
逆に、伸びる会社は決める人が見えています。
誰がYesと言えば進むのか。
誰がNoと言えば止まるのか。
その線がはっきりしている。
するとPMは、全員を納得させることより、必要な人に必要な材料を渡すことへ集中できます。
ふたつ目は、責任境界が明確かどうかです。
仕様の責任は誰か。
業務判断は誰か。
優先順位を決めるのは誰か。
品質基準を握るのは誰か。
この境界が曖昧だと、PMは全部の間に立たされます。
本来は業務側が決めるべきことまで持ち帰る。
本来は部門長が引き取るべき衝突まで調整する。
本来はスポンサーが負うべき期待値管理まで、現場PMが何とかしようとする。
ここで怖いのは、真面目な人ほど回してしまうことです。
回せてしまうから、構造が温存される。
でも、その代わりに本人が削られる。
三つ目は、会議が確認の場なのか、責任回避の場なのかです。
確認のための会議は悪くありません。
ただ、責任回避のための会議は、量が増えるほどPMを壊します。
この違いは、議事録を見れば分かります。
確認の会議は、論点と次の一手が残ります。
責任回避の会議は、出席者だけが増えます。
決まらないのに、人だけ多い。
論点があるようで、誰も引き取らない。
この状態では、会議時間そのものより、会議後に残る曖昧さのほうが重いのです。
PMが伸びる会社では、仕事の重心が違う
PMが伸びる会社では、PMの仕事の重心が違います。
交通整理より、判断支援。
火消しより、前提整理。
空気読みより、論点の収束。
つまり、PMが本来価値を出すべき場所に、ちゃんと力を使えるのです。
案件が荒れない会社という意味ではありません。
衝突もあるし、難しい判断もあります。
でも、難しさの質が違う。
人の曖昧さを抱える難しさではなく、事業やプロジェクトを前に進める難しさになっている。
この違いは大きいです。
前者では、疲れても成長実感が残りにくい。
今日も何とか場を持たせた、で終わる。
後者では、疲れても手応えが残る。
この論点を詰めた、この判断を前に出せた、この案件の芯を守れた、が積み上がる。
PMとして伸びる人は、能力だけで決まるわけではありません。
どんな組織で、どんな重さの仕事をしているかが、かなり効きます。
つらさを自分の適性だけで判断しない
ここで伝えたいのは、会社が悪い、転職しろ、という単純な話ではありません。
大事なのは、今感じているつらさを、自分の適性だけで判断しないことです。
会議が多い。
調整が多い。
説明が多い。
それ自体はPMの仕事です。
でも、その中身が
誰も決めない状態を埋める仕事
曖昧な責任を引き受ける仕事
あとで揉めないための予防線を大量に張る仕事
に寄っているなら、それはPMとして鍛えられているというより、組織の穴を人で埋めている可能性があります。
この違いを見誤ると危ないです。
本人は頑張っているのに、力の使いどころがずれていく。
疲れるのに、残るものが少ない。
そしてある日、PMは向いていない、で片づけてしまう。
でも実際には、向いていないのではなく、組織設計の悪さを個人技で支えすぎていただけ、ということは珍しくありません。
いま見るべきサイン
もし今、PMとしてしんどさを感じているなら、会議時間の長さより先に、次を見たほうがいいです。
会議のあと、誰が何を決めるかが明確になっているか。
曖昧な論点が、その場で言葉にされているか。
責任の境界が、案件のたびにPMへ流れ込んでいないか。
PMが本来やるべき収束より、関係者の不安処理に時間を使っていないか。
ここが崩れているなら、問題はあなたの処理能力だけではありません。
組織の設計そのものが、PMを疲れやすくしている可能性があります。
逆に、この差が見えるようになると、自分の課題も切り分けやすくなります。
自分が鍛えるべき論点整理力なのか。
判断を前に出す力なのか。
それとも、組織の曖昧さを全部背負わない線引きなのか。
この切り分けができるだけで、消耗はかなり変わります。
PMは、会議をこなす人ではありません。
前に進めるために、何を決め、誰に引き取らせ、どこを揃えるかを設計する人です。
だからこそ、PMが伸びるか潰れるかは、本人の努力量だけでなく、その役割がちゃんと機能する組織にいるかどうかでも大きく変わります。
会議が多いからつらい。
それは半分だけ正しい。
本当に重いのは、その会議が、前に進めるための会議なのか、それとも誰かが安心するためだけの会議なのかです。
あなたの会議は、前に進めるための会議ですか。
それとも、安心のための会議になっていませんか。
次に読む:
はじめての方へ:
マガジンの紹介:
IT業界の「技術×キャリア×整える」を束ねるマガジンを公開中です!
ビジネスや心と体を整える良記事が集まってきていますので、
是非、覗いてみてくださいね。
記事は全て無料記事のみです。
気に入って頂けたらマガジンのフォローもよろしくお願いします!
共同マガジンに参加希望の方も募集中です!
<PR>
次のキャリアを考えたい方へ。
求人サイトGreenを応援しています。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます! 