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チョコレート(最終話)【#シロクマ文芸部】

チョコレートとお替りのコーヒーを淹れて、台所から母が戻ってきた。

和彰は大学受験の頃を思い出していた。受験勉強で疲れた脳にはチョコレートの糖分とコーヒーのカフェインが必要なのよと母はよく言っていた。実の息子のように何不自由もなく育ててもらったことに感謝しないといけないなとぼんやり思いながらも、大事な話とは何であろうかと妙な胸騒ぎがしていた。

「本当は守秘義務があるから調査内容は他人に漏らしちゃいけないんだけど。もしかするとって思ったらしくて、弁護士の先生が教えてくれたの」

母は弁護士の先生から聞いた話を始めた。それは和彰と付き合っている優衣が借金取りのタクヤに困って相談したときの話だった。


タクヤには強要に対する警告書を見せただけで効果があったからよかったものの、もしかすると父親の借用書を持ってしつこく迫ってくるかもしれない。念のため、優衣の両親についても調べておこうと思ったのだ。

結果は、タクヤの言っていた通り、父親は借金を抱えて蒸発していた。その後、母親は借金を苦に自殺してしまい、残された優衣は児童養護施設に預けられていた。

優衣は母親の苗字を名乗っていたのだが、父親の苗字の方に妙に引っかかるものを感じていた。それが何だかわからずモヤモヤする日々が続いていた。

タクヤの件が落ち着き、和彰と優衣がお礼を伝えに事務所に来てくれた。そのとき和彰の顔を見てハッとした。その場では、なんとか動揺を悟られないように対応できたが、和彰と優衣が帰ると慌てて和彰の実の母親が借金問題で相談したときの資料を取り出した。

深呼吸をしてから資料をめくり、和彰の実の父親について調べた。実の父親は再婚だった。つまり以前、他の女性と結婚して離婚していたのだ。それから、父親の名前を確認した。優衣の父親と同じ名前だった。念のため、調べてみると生年月日も本籍も全く同じであった…


「えっ?えっ?ちょっと、母さん、なに言ってんの?」
「私も初めて聞いたときは話を疑ったわ」

「まさか。そんな。信じられない。俺と優衣さんが…」
「そうなの。血のつながった姉弟だったのよ」

(エピローグにつづく)



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