雷は_01💉【でこぼこ】【シロクマ文芸部】
雷は苦手だ。
幼い頃、雷が鳴ると耳をふさいで怖がっていた。そんな様子を見ていた祖母がおまじないを教えてくれた。
「おへそを両手で隠して『悪いことが起きませんように』と3回唱えてごらん」
半信半疑で試してみると不思議と心が落ち着いた。以来、50歳になったいまでも、雷が鳴るとおまじないを唱えている。
昨晩降った雪は朝方には雨に変わっていたが、突如、雷鳴が響いた。しかし、夜勤明けで疲れていたせいか、おまじないを唱えずに眠ってしまった…
「お疲れ様」
「お疲れ様です、優子さん」
優子が看護師として勤務している病院は2交代制で、夜勤の勤務時間は16時半から翌日の8時半までとなる。いつものように日勤の看護師からの申し送りをチェックして、夜勤のスケジュールを確認していた。
「そういえば、緊急地震速報が鳴っていたわね」
「ええ。でも誤報だったみたいです」
「誤報?」
「正確にいうと震源地の近くで2つの地震が同時に発生して、大地震と誤認したみたいなんです」
「そうだったんだ。地震がくると大変だからね」
「ええ、誤報でよかったです」
「それはそうと、来週の金曜日、シフトを替わってくれてありがとね」
「いいんですよ。お互い様ですから」
息子の佳雄は高校1年生になり、中学校から続けてきた吹奏楽部に所属している。来週金曜日の定期演奏会に向けて、遅くまで練習をしているようだ。というのも、看護師は変則的な勤務体系のため、佳雄と顔をあわせる時間が少ない。だから、演奏会にはなんとか都合をあわせて行くようにしている。
夫とは3年前に離婚した。原因は夫の浮気だ。結婚して同じ家のなかで生活していると、お互い嫌なところばかりが気になるようになっていた。それが徐々に積み重なり、もう後戻りができないところまできてしまっていた。
「優子さん、お電話です」
「誰かしら?」
「それが、警察の方みたいです…」
「警察?」
なんだか嫌な胸騒ぎがした。
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ショートストーリー?をつなげて連載中です。毎週金曜日頃投稿予定です。目次に各話のリンクを貼っていますので振り返りにどうぞ。
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