ブランコに_06🥁_【でこぼこ】【シロクマ文芸部】
ブランコに座っている男の子の靴だった。
来週から高校の中間テストが始まるため、今日から部活動は休止になった。佳雄はこっそりとクラリネットを持ち出して、果歩先輩と一緒に学校から出て行ってしまった。きっと河川敷で練習するのだろう。
パーカッション担当の凌太は打楽器を持ち出すわけにもいかず、諦めて家に帰って勉強することにした。
いつも夜まで部活動を行っているので、明るいうちに家へ帰るのは久しぶりだった。角にある公園を横切るとショートカットになるので、公園に入ったところ、靴が飛んできたのだ。
ブランコから降りた男の子がケンケンをしながら、凌太の方に近づいてきた。凌太は靴を拾うと男の子に手渡した。
「お兄さん。ありがとう」
「靴飛ばしか。けっこう飛んだね」
小学校の頃、この公園で佳雄と一緒に靴飛ばしをやっていたことを思い出していた。公園を出るといわゆる帰宅部のクラスメイトにばったり出会った。
「おう、凌太。こんなところで珍しいな」
「来週からテストだから」
「そうか。今日から部活は休止だったな」
「そういうこと」
「そうだ。凌太、これ知ってるか?」
クラスメイトからスマホの画面を向けられた。そこには顔にモザイクが入った女性の裸姿の画像があった。まったく、昼間から何を検索しているんだ。これだから盛りの付いた男子高校生って奴はと思っていたら、思いがけないことを耳にした。
「これ、佳雄の母親らしいぜ」
え?何を言っているんだ。
「ほら、夜は家にいないって言ってたじゃないか」
佳雄の母親は看護師だから夜勤があってもおかしくないじゃないか。
「なんか、いらやしいことして稼いでいるって噂だぞ」
「やめろ!」
「なんだよ急に」
「おまえ、AVの見過ぎなんだよ」
「うるせー」
「噂話を信じるなんて、馬鹿じゃないの」
普段出さない大きな声を出して、心臓がドキドキしていた。いったい誰がSNS上で根も葉もないことを投稿しているんだ?拡散されないことを祈ったが、一旦SNS上に掲載されると消えることはなく、瞬く間に拡散されてしまった。
翌日、高校へ行くと、佳雄は気にしていない風を装っていたが、明らかに周囲から好奇の目でさらされるようになっていた。
ショートストーリー?をつなげて連載中です。毎週金曜日頃投稿予定です。目次に各話のリンクを貼っていますので振り返りにどうぞ。
小牧幸助さんの企画に参加しています。
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