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キューティーセラミー①(なんのはなしですかVer.)【変身磁器 編】

#なんのはなしですか

この話はフィクションです。
実在のあれこれとは一切関係ありません。
毎週ショートショートnote(お題:変身磁器)に投稿した、
「キューティーセラミー」を元にしています。

ある朝、きのころが不安な夢から目を覚ますと、
これまでとは別の世界に転生していることに気がついた。

正確には、すぐに気がついたわけではない。

新聞のテレビ欄を見たとき、違和感を覚えたのだ。

日曜日だというのに、
ちびまる子ちゃんもサザエさんもない。

まるちゃんや波平さんの声を聞かずに、
どうやって、憂鬱な日曜日を終えるというのか。

他にも、なんとなくアニメが少ないように感じる。
放送しているアニメも、知らないものばかりだ。

そして、noteを開く。
——自分が書いた記事がない。

全部ない、というのではなく、マンガやアニメなど、
サブカル関連の記事だけが消えているようだ。

書いた記事が消えているのか。
新たに書いても消えてしまうのか。

それを確かめるためには、書いてみるしかなかった。

試しに書いたのは、
「キューティーセラミー」というショートショート。

ただし、この世界のルールがまだわかっていないので、
いったん、設定の部分を書いて投稿してみたのである。


「キューティーセラミー」

変身ヒロインは、変身しない。

彼女の名前は如月聖良美(きさらぎセラミ)
正体は少女型アンドロイド「キューティーセラミー」だ。

「セラミーフラッシュ!」と呪文を唱えると、
彼女の手にした磁器の形だけが変わる。

磁器工学研究者・如月博士の発明した「地中元素固定かま
土の中の元素を瞬間高熱焼成で自在に結合させ、
ありとあらゆる磁器を作り出すことができるのだ。

「あるときは花瓶、またあるときは壺、しかしてその実体は…!」

彼女は愛用の磁器であるコーヒーカップを片手に、
今日も、世界中の磁器の破壊を企む犯罪組織
「セラミッククラッシャー」と戦っている。

決め台詞は「変わるわよう

(投稿、ここまで)


この投稿は、ウケにウケた。

noteの「注目記事」に選出されたのはもちろん、
Xやインスタグラムでも、ひっきりなしにリポストされ、
YouTubeでは考察動画が大量にアップロードされた。

きのころは気がついた。

この作品は、パロディとして創作したものである。
しかし、この世界では、
往年の名作アニメ「キューティーハニー」が存在しないのだ。

その結果、この作品は、世間から、
とんでもなく独創的な作品として受け止められた。

そして、何週間か過ぎた。

きのころが、怪しいアニメ制作会社から連絡を受けたのは、
「キューティーセラミー」のブームが完全に終わった頃だった。

タイミングも、めぐり合わせも悪いのが、
きのころの標準仕様なのである。


自作がテレビアニメ化されるとの連絡を受けたきのころが、
聞いたこともないアニメ制作会社に到着したのは、
ある冬の寒い日だった。

アニメ制作会社の企画担当者は「ヤバ井」と名乗った。

お互いに挨拶を交わした後、
ヤバ井がグッと身を乗り出す。

「きのころさん、このアニメ、大ヒット間違いないですよ!
 これを見てください。」

コンセプト・アートだった。

なるほど。
いかにも、会社の給湯室でコーヒーを作っていたOLが、
コーヒーを片手に呼び出されました、といった感じだ。

きのころは、不安を隠せず、こう言った。

「これ、今さらウケるんですかね?
 バズってたのは、少し前なんですが」

「いけますよ!
 こういうのは、アイデアが大事なんです。
 そして、いかに関連商品を売りまくれるか」

ヤバ井はゲスい顔に下卑た笑みを浮かべて続ける。

「この作品は、毎週のように変身磁器を売り出せる。
 大成功、間違いなしだ」

「変身磁器」というのは、この作品の中で、
セラミーが作り出す「磁器」のことである。

コーヒーカップや花瓶、壺…など、
登場するあらゆる「磁器」を、
おもちゃにして売りまくろうという作戦である。

「それだけではありません。
 すでに、セラミーのキャラクターグッズの展開も考えています」

「そ、それは気が早いのでは…」

慌てるきのころを片手で制し、
ヤバ井は、次のイラストを、きのころに見せた。

「ななな、なんですか、これは?」

「あ、間違えました。それは失敗した画像でした。
 こっちです」

「…これも、ちゃんと座れていませんが?」

「そう!さすが、よくぞ気がつきました!!
 AIで思い通りの作画をするのは、なかなか難しくて…」

——どこの世界でも、画像生成AIはポンコツのようだ。

「でね。カップの向こう側に座らせるのはあきらめました」

「ほら!これなら、ちゃんと座れているでしょう?」

「は、はぁ。」

「次のも見てください!」

「こうしたら、コップの向こう側に座っているのを、
 反対方向から見た、と言えなくもない」

「なるほど…」
(それより、なんで、コップに座ってコーヒー飲んでんだ?)

ヤバ井は、得意満面のゲス顔でこう言った。

「これぞ、アイデア商品!
 コップに腰かけるフィギュア、
 コップのフチです」

「え、なんて?」

コップのフチに座るキューティーセラー、
 略して、コップのフチミ、です」

——略し方が雑すぎる…。

「ていうか、それ、コップのフチ子ですよね?」

「なんすか、それ?」

なんと、この世界には、
「コップのフチ子」がいないらしい。

「こんな画期的な商品は、今までなかったですから!
 大ヒット間違いなしです!!」

ヤバ井は一人盛り上がり、他の画像を見せてきた。

「フチに立っているバージョンです。
 これも苦労しました」

「足を上げたり…」

「躍動感のあるポーズ!」

「躍動しすぎてるポーズ!」

「いや、チア部の勧誘ですか!?」

「せっかく作ったので、いろいろ見せちゃいました。
 最終的には、こういう商品として展開する予定です」

——「ガシヤルレス!」ってなんだ?

ガシをやるのか、やらないのか。
それが問題だ。

なんか、「BANDAI」とか書いてあるけど、
いいのか、「BANDAI」?

BANDALバンダルさんには、許可を取ってあります」

「あ、なんだ。バンダルさんだったんですね…
 ——え?バンダルって何!?

「またまたー!
 バンダルを知らない日本人はいませんよー」

どうやら、この世界では、
バンダイではなく、バンダルが幅をきかせているらしい。


そんなこんなで、半信半疑のうちに、
どうにかこうにか、アニメ放送が始まった。

放送は1年続く予定である。

ヤバ井の目論見どおり、
毎週のように、新しい「変身磁器」が発売され、
番組が話題を集めるにつれ、飛ぶように売れた。

キューティーセラミーファンのご家庭では、
専用の収納棚に、おもちゃの磁器が並んだ。

コーヒーカップ、花瓶、壺、皿、香炉——

これが、何週か続いたある日。

ひとりの視聴者がSNSでつぶやいた投稿がバズった。
そして、風向きが変わった。
——悪い方に。


<Xの投稿>

なに、このディアゴスティーニ?


番組が1年間続くとして、
集め続けると――全50種

これは壮観なコレクションだ。

「創刊!世界の磁器コレクション。
 初回のみ300円」

♪  ディアゴスティーニ!


のんきに歌っている場合ではない、

完成予想図として見せられた画像に熱が冷め、
これ以上集める気がしなくなった視聴者が続出。

商品の売上高。⏬️
番組の視聴率。⏬️

どちらが先かはわからないが、
両方が競うように、急斜面を転がり落ち始めた。

グッズ棚は売れ残り、たちまちワゴン行き。

しかし、そんな中、
唯一、売れ続けている商品があった。

それは、 何の変哲もない、
ただの白いコーヒーカップ。

創刊号は、安い。
そして、飽きが来ない。

普通に使える、白いコーヒーカップ。

やはり、きのころにとって、信じるに値するのは、
白いコーヒーカップの存在なのだった。

to be continued…?

 


本日は以上です。
お読みいただきまして、ありがとうございました。

<2026年2月4日追記>
柴犬あんさんが、この記事を見て、
バトルシーンMV動画を作ってくれました。
「キューティーセラミー」のテーマ曲に乗って、
セラミーが歌い、走り、戦います!

すっごいです。
皆さま、ぜひご覧くださいね。


<続編はこちら>


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