『信じて待つ』だけでは育たない信頼!?~不登校のこどもの心に届く関わりとは?~
こんにちは。臨床心理士のかちゆみこです。
4人のこどもを育てながら、オンライン専門のセラピールームを開いています。
上の子二人に不登校だった時期があります。
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ちょっと待って!!!『信じて待つ』だけでほんとにいいの!?
「信じて待つことが大切ですよ」
不登校のお子さんを持つ親御さんなら、一度は言われたことがある言葉かもしれません。
たしかに、焦って登校を促したり、説得したりするよりも、子どものペースを尊重して「待つ」ことはとても大切です。
けれども、その“待つ”がいつの間にか「何もしない」「そっとしておく」に変わってしまうことがあります。
それは見た目にはやさしさのようでいて、実は“放っておく”に近いこともあるのです。
「待つ」だけでは伝わらない安心
子どもが部屋にこもり、ゲームばかりしている。声をかけても反応がない。
そんな日々が続くと、親の心はだんだんと疲れていきます。
「何を言っても無駄かもしれない」「見守るしかないのかな」――そう思うのは、自然な気持ちです。
でも、心理学の観点から見ると、“ただ待つ”だけでは、子どもの心の回復は進みにくいことがあります。
心理学者のボウルビィは、愛着理論の中で「子どもには“安全基地”が必要だ」と言いました。
安全基地とは、子どもが安心して世界に出ていき、また安心して帰ってこられる場所のこと。
もし、その基地が冷たく静まり返っていたら、子どもは「戻っても安心できない」と感じてしまうかもしれません。
だからこそ、「信じて待つ」だけでなく、“ここにいるよ”という温度を伝えることが大切なのです。
「おはよう」「おかえり」「ごはんできたよ」――そんな短い言葉でも、“あなたの存在を大切に思っている”というメッセージになります。
それが、子どもにとっての「安全基地」の灯になるです。

「聴く」ことの目的を見つめなおす
親御さんからよく聞くのが、「ちゃんと話を聴いてあげているつもりなんです」という言葉。
けれども、“どんな気持ちで聴くか”によって、子どもに伝わるものはまったく違ってきます。
「どうして行きたくないの?」「いつになったら行けそう?」
そんな問いかけは、実は“親が安心したい”気持ちから出ていることも少なくありません。
子どもにとっては、「自分の気持ちをわかってもらう前に、結論を急がれている」と感じられてしまうのです。
心理学者ロジャーズは、「共感的理解」という言葉を使って、人の心が回復するための大切な姿勢を示しました。
それは、「相手を変えようとするのではなく、相手の感じていることをそのまま理解しようとする」こと。
「学校に行きたくない」
「そうなんだね、つらい気持ちがあるんだね」
たったそれだけでも、子どもは“自分の気持ちが否定されなかった”と感じます。
聴く目的は、子どもを動かすことではなく、「あなたの気持ちはここに受け止められている」という安心を伝えること。
それが、心の回復を支える第一歩になるのです。
ゲームの中にいる子どもへできる関わり

不登校の子どもがゲームばかりしている姿を見ると、親として不安になります。
「このままで大丈夫?」「現実から逃げているのでは?」と心配になるのは当然です。
けれども、ゲームの世界は、子どもにとって“安心してコントロールできる場所”であることが多いのです。
学校では思うようにいかなくても、ゲームの中では「できた」「認められた」という体験ができます。
しかし、だからこそ、注意が必要です。
「ゲームの世界が今のこの子にとっては必要だということ」を理解しつつ、ゲームの世界だけに子どもを放置しておくのはやめましょう。
じゃあ、どうすればいいのか?というと・・・・
無理にやめさせようとするよりも、「どんなゲームしてるの?」「今どんなところ?」と、ほんの少し関心を向けてみてください。
それは、子どもの世界をのぞきこむ“やわらかな関わり”です。
子どもの心は、「自分の世界を理解しようとしてくれる人がいる」と感じたとき、少しずつ開いていきます。
その小さな関心の積み重ねが、やがて「この人なら話しても大丈夫」という信頼につながっていくのです。
※ゲーム大好きっ子だった我が家の長男との関わりのプロセスはこちらをご覧ください。
どう関わればいいかわからないときは、「揺れながら関わる」
不登校の子どもに関わるとき、親はよく揺れます。
「話しかけたら嫌がられる」「でも、何もしないのも違う気がする」――
どちらが正しいのか、わからなくなることもあります。
でも、関わりに“正解”はありません。
大切なのは、完璧にできなくても、「関係を切らさない」こと。
たとえ拒まれても、「それでもあなたのことを見ているよ」という姿勢が、
子どもの心に“見捨てられなかった安心”を残します。
愛着理論の視点でいえば、それが「安全基地」としての応答です。
基地は立派である必要はありません。
ただ、「いつでも帰ってこられる場所」として、静かに灯りをともしておく。
それだけで、子どもは少しずつ回復へと向かっていけるのです。

おわりに:「待つ」から「つながる」へ
“信じて待つ”ことはやさしさのひとつの形。
でも、それだけでは信頼は育ちません。
信頼は、“関わり続ける勇気”から生まれます。
たとえ短い言葉でも、うまくいかなくても、
「おはよう」「おかえり」「おやすみ」――
そんな一言の積み重ねが、子どもに「あなたは大切な存在だよ」と伝えていくのです。
不登校の回復は、時間がかかります。
でも、親が「待ちながらつながる」姿勢でいるとき、子どもの心には、確かに安心の根が育っています。
「こどもが安心できるつながりの灯り」を絶やさずにいること――
それこそが、子どもの心を少しずつ、再び歩き出せる場所へと導いていくのです。

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