AIでISMS事務局を作り直して分かった、「AIだけでは解決できないこと」
私は、KiteRaで社内の情報セキュリティ運用を担当している、管理本部総務グループ シニアマネージャーの井上です。
当社では、「KiteRa Biz」「KiteRa Pro」「ヨクスル」を提供しています。
先日、ISMSのサーベイランス審査に向けて、約3年間運用してきたGoogle Drive中心のISMS運用を、Claude Code × Notionを活用した仕組みに作り直しました。
期間はおよそ2週間。
結果として、監査やレビューの準備工数は大幅に削減され、記録と実態の整合性も以前より保ちやすくなりました。
ただ、今回の取り組みで得た学びは「AIは便利だった」という話だけではありません。
むしろ印象に残ったのは、
AIが得意なことと、人間が担うべきことは何か。
そして、
AI時代にKiteRaが提供する価値とは何か。
という問いでした。
今回は、その話を書いてみたいと思います。
「運用できている」と「回っている」は違う
KiteRaがISMSを取得したのは2022年です。
当時から運用の中心はGoogle Driveでした。
情報資産管理台帳、リスク管理表、委託先管理台帳、監査記録、教育記録―。
個々のファイルとして見れば、どれも機能していました。
問題は、それぞれが独立して存在していたことです。
例えば新しいSaaSを導入した場合、本来であれば、
情報資産に登録する
リスクを評価する
委託先として管理する
監査対象へ反映する
といった複数の更新が必要になります。
しかし実際には、
「台帳には登録したが、リスク管理表は更新されていない」
「監査の直前に更新漏れが見つかる」
そんなことが少なくありませんでした。
ISMS事務局は実質1人体制。
日々の業務と並行しながら、複数の台帳を人力で維持するには限界があります。
あるとき私は気づきました。
これは運用できているだけで、仕組みとして回っているわけではない。
そこで、運用そのものを見直すことにしました。
Claude Code × NotionでISMSを再設計する
選択肢はいくつかありました。
専用SaaSを導入する
内製システムを作る
Notionを基盤に再構築する
最終的に選んだのは、Notionをデータ基盤として整備し、その上でClaude Codeを活用する方法でした。

Notionには情報資産、リスク、監査、教育などのデータを構造化して保存します。
Claude Codeは、それらの情報を横断して読み取り、集計し、必要なドキュメントや記録を生成します。
イメージとしては、
「ISMS事務局のもう一人の担当者」
です。
例えば、
監査チェックリストの生成
監査報告書の作成
指摘事項の登録
マネジメントレビュー資料の作成
情報資産候補の抽出
リスク候補の洗い出し
といった業務をスキル化しました。
これまで人が何時間もかけて行っていた定型作業の多くが、数分で終わるようになります。
特に驚いたのは、監査チェックリスト作成です。
以前は各部門向けに個別調整しながら準備していましたが、今では監査計画を登録してスキルを実行するだけで、各部門向けのチェックリストが自動生成されます。
初めて動いたときは、
「ここまでできるのか」
と素直に驚きました。

AIは万能ではない。でも強力だった
順調に進んでいるように見えた一方で、当然ながら失敗もありました。
サーベイランス審査当日、AIが前年の日付を参照していたことに気づいた場面があります。
幸い大きな問題にはなりませんでしたが、そのとき改めて理解しました。
AIの出力品質は、AIそのものではなく、土台データの品質で決まる。
AIは正しそうな文章を作ることができます。
しかし、
日付が古い
版数が違う
前提情報が誤っている
そんな状態であれば、もっともらしい誤りを生成します。
これは規程やガバナンスの領域では特に重要です。
だからこそ、
最新のデータを維持すること
人が最終確認すること
は不可欠でした。
AIが得意なのは「検知」、人が担うのは「判断」
もう一つ学んだことがあります。
AIはリスク候補を見つけることができます。
新しいSaaSを検知したり、想定されるリスクを提案したりすることもできます。
しかし、
そのリスクを受容するのか。
どのレベルまで対策するのか。
これは人間の仕事です。
つまり、
検知はAI
判断は人
という役割分担です。
AIが進化するほど、人間の仕事がなくなるのではありません。
むしろ、
何をAIに任せ、何を人が判断するか
を設計することが重要になります。

AI時代に、KiteRaが提供する価値
今回の取り組みを通じて、私は改めて考えました。
AIが普及したとき、KiteRaはどんな価値を提供できるのだろうか。
AIは規程を作れます。
就業規則も、社内ルールも、それらしい文章なら数秒で生成できます。
でも、その規程が本当に会社の実態を反映しているかは別問題です。
実際の企業運営では、
法改正への対応
組織変更への追従
責任範囲の整理
運用との整合性確保
が必要になります。
そして、ここには専門知識と判断が求められます。
AIが生成する規程の価値は、その土台となるデータや知見の質に依存します。
これは今回のISMS運用でも同じでした。
AIの出力品質は土台データで決まる。
だからこそAI時代には、
信頼できる規程データ、整合性の取れたレギュレーション情報
の重要性が高まります。
私はこれこそが、KiteRaが目指している世界だと思っています。
AIと競争するのではなく、
AIが正しく活用されるための土台を作る。
それがKiteRaの役割です。

だからこそ、KiteRaはAIを使い倒す
今回のISMS再構築も、その実践のひとつでした。
私自身はエンジニアではありません。
それでもClaude Codeを使いながら、自分の業務を仕組み化し、改善することができました。

KiteRaには、「AIをどう活用するか」
を議論するだけでなく、
実際に自分たちの業務で使い倒している文化があります。
規程やコンプライアンスを扱う会社でありながら、同時にAI活用の最前線にも立っている。
その両方を経験できる環境は、決して多くないと思います。
こんな人と働きたい
今回の取り組みを通じて改めて感じたのは、KiteRaは「規程」「プロダクト」「AI」が同時に交差する場所だということです。
コンプライアンスを形式論で終わらせたくない
AIを業務の武器として使いこなしたい
繰り返し作業を仕組みに変えることが好き
本質的な課題解決に時間を使いたい
そんな想いがあるなら、きっと面白い環境だと思います。
私たちは今も、自分たちの業務そのものをアップデートし続けています。
この記事を読んで少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ採用ページを覗いてみてください。
一緒に、「AIを当たり前に使い倒しながら、その土台となる仕組みや規程も進化させていくKiteRa」を作っていける仲間をお待ちしています。
