展覧会 #45 上村松園と麗しき女性たち@山種美術館
大阪中之島美術館の「生誕150年 上村松園」(2025年3月29日~6月1日)に行きたかったのですが、諸々の事情で都合がつかなくなり断念しました。他の美術館に巡回しない展覧会なので残念。。。
その代わりと言っては何ですが、東京で開催される上村松園の展覧会は観ておきたいと思い、山種美術館を訪れました。
個人的には、山種美術館は展示の規模がちょうど良くて好きです。
ちょうど良いというのは、集中力が保てるくらいの作品数を展示する規模という意味で、疲れることなく最後までしっかり観られるという安心感があります。
規模の大きい展覧会は集中力を保つのが大変で、観に行くときはそれなりに気合を入れておく必要がありますが、山種美術館の場合はその点リラックスして臨めるのがいいところです。
【特別展】生誕150年記念 上村松園と麗しき女性たち
会期:2025年5月17日(土)~7月27日(日)
山種美術館
東京都渋谷区広尾3-12-36
「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願」と語った日本画家・上村松園。この言葉どおり清らかで気品に満ちた松園の作品は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。2025年に、松園が誕生して150年を迎えることを記念し、山種美術館では数々の名品を取り揃えてその画業をたどるとともに、松園と同時代の画家から現在活躍中の若手作家にいたるまで、女性の姿を描いた作品をご紹介する特別展を開催します。1875年、京都で生まれた松園は、幼い頃より絵を描くことを好みました。外形の美しさだけではなく、精神性を伴った自身の理想とする女性像の表現を、生涯をかけて追求します。やがて美人画の名手として高く評価され、73歳の時、女性として初めて文化勲章を受章するにいたりました。当館創立者の山﨑種二は、松園と親しく交流を重ねて作品を蒐集し、代表作である《新蛍》や《砧》、松園芸術の粋を極めた《庭の雪》などを含む日本有数の松園コレクションを築きました。本展では、画業の初期から晩年までの22点の優品を通じて、近代日本を代表する女性画家・上村松園の魅力にせまります。あわせて、同じく2025年に生誕130年を迎える小倉遊亀、生誕120年の片岡球子など、さまざまな画家による麗しき女性たちの姿を描いた、粒選りの作品をご紹介します。
展覧会は3つの章で構成されています。
第1章「上村松園の世界」では初期から晩年までの22点を展示。
第2章「美人画の時代」では松園と同時代に活躍した東京画壇・京都画壇の画家たちによる美人画が紹介されています。
「西の松園、東の清方」と並び称された鏑木清方の作品も出品されています。
第2章の後半では小倉遊亀、片岡球子が紹介され、最後の章にかけて昭和から現代に至る日本画による女性表現の変遷を観ることができました。
写真撮影が許可されていたのはこちらの1点のみ。

どの作品も共通しているのが、ふわっとした上品な表情。それだけで見惚れてしまいます。最初はどの作品も表情に変化がないなと思っていましたが、身体の仕草の一部として表情を観ていると、ある一瞬にふと内面から滲み出た心情を捉えて表現しているように感じました。
松園は髷に興味があったようで、様々な形の髷を結った女性が描かれていました。今まで髷を気にしたことがなかったので、こんなにバリエーションがあるのだなぁと関心しながら観ていました。
同時代の画家が描く美人画も展覧会の見どころで、その中でも東の巨匠 鏑木清方と松園を対比して感じたことがあります。
それは一言で言うと女性と男性の視点の違い。
松園の描く女性を観ていると、女性を内側から見つめる画家の視点を感じます。描かれた女性に画家自身を投影している部分があるのかもしれない。
清方の描く女性はある物語性のなかに存在している感じで、ストーリーの一部として登場する女性にクローズアップしている、あくまで対象を外から見る視点を感じました。
二人の作品を一緒に観られたことで、それぞれに気づきがあってとても良かった。どちらが優れているとかいうことではなくて、それぞれの魅力を自分なりに深堀りできたという感じです。
その他出品数が多かった伊東深水の描く女性は和装にショートカットやパーマヘアという和洋折衷のモダンな装いで、時代の流れを感じました。
片岡珠子は先月神奈川県立近代美術館を訪れた時に特集展示で初めて知った画家。
インパクト大の面白い画風で他の作品も観てみたいと思っていたところで、間を置かずにまた作品を観られて嬉しい。
ここまでの美人画の流れで片岡珠子の作品をみるとめちゃくちゃ前衛的で改めて面白い画家だなぁと思いました。
↓神奈川県立近代美術館の展覧会記事はこちら。
この展覧会でいいなと思ったのは、描かれた女性という視点だけではなく、描く側としての女性にも光を当てているところ。
いままで松園の作品を観る機会が少なかったので、今回22点というまとまった数の作品を観て初めてその魅力に触れることができました。
