見出し画像

反田恭平や藤田真央が習得したロシア奏法(ロシアピアニズム)を学んでみませんか?


はじめに


クラビアーノです。
本日はクラビアーノ音楽教室で習えるロシア奏法について説明したいと思います。

ロシア奏法というのは日本語での音楽用語でして、英語表現ではrussian piano schoolと呼びます。つまり直訳すればロシアピアノ楽派です。

さてロシアのピアノ奏法に興味がある方はまずロシアの音楽の歴史を知りたいと思います。ロシア音楽については詳説はしませんが、作曲家グリンカが始祖とされることもあるみたいです。他にもロシアの土着の音楽を大事にするムソルグスキーなどの5人組とそれに対立するように西洋音楽の方法論に基づいたチャイコフスキーなど、スター作曲家がたくさんいます。

ところで、ロシアのピアノ教育はというと、私の師エーデルシュタインやベクテレフなどの母校であるモスクワ音楽院が特に秀でています。
チャイコフスキーが教えていたことでも有名です。
他にもモスクワより前に設立されたサンクトペテルブルク音楽院や、幼少からの英才教育を担当するグネーシン特別音楽学校(大学以降の教育機関も併設されており、こちらはグネーシン音楽院)などが代表的な教育研究機関となります。

ロシア奏法と言ってもまずはロシアの音楽史とその流れでできた教育機関を踏まえなければなかなかその細かな芸術的「ニュアンス」を理解できないです。

また、ロシア奏法とは言えど広義にはソヴィエト連邦で活躍した音楽家の奏法も含みますから、ウクライナのキエフ音楽院をはじめとする旧ソヴィエト圏の音楽院の歴史も大事になります。
例えばホロヴィッツはキエフ音楽院の出身です。

また、スラヴ文化圏の奏法のことを指し示す場合もありますので、その場合はソヴィエト連邦ではなかったスラヴ文化圏もロシア奏法の文脈として議論の射程範囲に入ります。

ではロシア奏法の特色とは何でしょう。
クラビアーノはロシア奏法マニアであり、ドイツやイギリス、オーストリア、イタリアなどで時間があればロシアやソヴィエト、スラヴに関わる演奏を聴いていますし、特に「ロシア奏法」の演奏主体をピックアップしてきました。もちろん指揮者やヴァイオリニストですらロシア的な演奏様式を引き継いでいるのですから、そういう意味ではロシアのメソッドには何か共通している点があります。

抒情性

一つ目はその抒情性です。いわば歌い方です。ボリス・ベクテレフのスクリャービンを聴けばすぐにわかりますが、人間の声の延長としての楽器という枠組みで、歌いまくります。メロディラインをこれでもかと強調して、ルバートやアッチャレランドを用いて、生きたフレージングをする。
ただ機械的にブラブラブラと弾いていては自然ではありません。リズム感や速度感ですら伸び縮みします。それは歌うということが持っている自然の特性ゆえなのです。

リンクとして貼ったのはシューベルトの最後のソナタ。煌びやかに歌う姿はまさに歌曲の延長です。よければ第一楽章だけでも聴いてください。

音色

次に音色です。また別の機会にピアノという楽器の中でも多彩な音色の効果が可能なことが音響学的に示されているということをある総説論文を用いて解説しようと思っていますが、そのような話は置いておいて、ロシア奏法の演奏者の音色はとりわけ豊かです。
音色に変化が生まれるには主に二つの要因があります。その一つはペダリング。ペダルを踏むと、倍音が放出される様を皆さんでも実感できます。ただやりすぎると濁りになるという点で、実はとてもテクニックが必要です。
もう一つの要因はアーティキュレーション。
実は短音でさえもアーティキュレーションを変えたら音色が変わる(ただし音量の変化も伴うから独立して音色が変化するわけではない点に注意)ということが音響学では知られています。
言葉で説明していても仕方ありません。実例を見てみましょう。
ペダリングに関しては、我が恩師イリーナエーデルシュタインのモーツァルトを聴いてください。エコーのかかりやすい教会での収録ですので特に音響的な条件がいいです。

うねるような音響効果がありますよね。うねりの中でも中低音などを深く鳴らす。彼女はレッスンでよく「深く」「鳴らす」と言っておりました。これに絶妙なペダリング技術が揃えば、迫力満点で充実した響きが顕現するのです。
ペダリングによる音色の変化で特に主役を演じるのは倍音なのですが、残念ながら倍音は高周波数の音で、よほどの機器でない限りほとんど収録されません。ただなんとなくうねりがあったりしてその効果の断片は認められるかと思います。

そして次はアーティキュレーション。
ここでヨーロッパで大活躍する巨匠ピアニスト、グレゴリーソコロフ に登場してもらいましょう。

アーティキュレーションといって音をどこで区切るかやどのような長さで弾くかをかめる技術があるのですが、ソコロフの手にかかると一つのパッセージの中にも左右と様々な音があるように聴こえます。
実はクラビアーノは昔から古楽演奏に興味があり、いつかグラビコードを入手して古楽を習いたいとまで考えていますが、とにかく、バッハではこのアーティキュレーションがあるかないかで音色の美学すらも変わってしまうのです。
エーデルシュタインとオルガニストでもありチェンバリストそしてピアニストでもある楽典の師ヴィトマン前橋亮子からも、バッハについてはこだわりを持ってしつけてもらいましたので、興味のある方はぜひクラビアーノ音楽教室にお越しください。


音量

次に音量です。
ロシア奏法ではダイナミックレンジに幅がある。微細な弱音で聴衆の注意を引いたかと思えば、体の芯まで揺さぶるような大迫力のフォルティッシモでエネルギッシュに鳴らす、こんなことはロシア奏法の世界では日常茶飯事です。
そう、ロシア奏法の鳴り具合は迫力があるという意味でオーケストラ的でもあり、そして繊細であるという意味でオルゴール的もあります。
そんなロシア奏法の強弱が示されているのはこれまた私の恩師エーデルシュタインのベートーヴェンの最後のソナタになります。第一楽章冒頭のフォルテと第二楽章の最後の方のピアニッシモを比べてみてください。

このホールはフランクフルト音大の大ホールでとても音響がいいです。少しいいスピーカーやヘッドフォンで聴くとその音量的演奏効果の多彩さがより際立つと思います。

コンクールで強い

お次はロシア奏法が如何に国際的に認められているかを、コンクールという観点で説明します。

まず、前回のショパンコンクールを思い出しましょう。一位はリウ、二位は反田とガジェヴです。

また、2019年のチャイコフスキーコンクールを思い出してください。一位はカントロフ、二位は藤田とシシキンでした。

この名前の並びには全て共通点があります。それは彼らがロシア奏法の演奏者に師事した経験があるということです。
まずブルース・リウはダン・タイソン(モスクワ音楽院に留学、ドミトリー・バシュキロフなどに師事)に師事、反田恭平はミハイル・ヴォスクレセンスキー(今は米国に亡命したものの長期間モスクワ音楽院で教授をしていた。ショパンコンクールの初回優勝者レフ・オボーリンとヤコフ・ミルシュタインに師事。チャイコフスキーコンクールの審査にも従事)、アレクサンダー・ガジェヴはパーヴェル・ギリロフ(サンクトペテルブルク音楽院を卒業)に師事したという音楽経歴があります。
そしてアレクサンドル・カントロフはレナ・シェレシェフスカヤに師事(モスクワ音楽院出身、ヴラセンコの弟子)、藤田真央は野島稔(モスクワ音楽院に留学。オボーリンに師事)に師事、ドミトリー・シシキンはエリソ・ヴィルサラーゼ(ゲインリヒ・ネイガウスに師事。モスクワ音楽院教授)に師事しました。

今をときめくスターたちでさえ多くはロシア奏法を叩き込まれていたわけです。ですから、国際的な舞台を目指す方、あるいは日本で習ってきた演奏に「限界」を感じている方などにはぜひ一度ロシア奏法を習っていただきたいです。ちなみに野島稔など、東京音大の流派も確かにロシア奏法が影響を及ぼしていますが、東京芸大の上原彩子特任教授もネイガウス派のピアニストであり、また同じく有森博教授もイグムノフ派の奏者です。

彼らは日本の有名なコンクールでもしばしば審査をしますから、安心してください。日本でも「受かり」あるいは「通り」ます。
もちろん趣味で始めるとしても、あるいは久しぶりに再開するとしても、本格的なロシア奏法を学ぶことで作品との向き合い方もだいぶ変わってきます。それは誰にとっても良い変化となるでしょう。
クラビアーノ音楽教室ではどんな方にも懇切丁寧にロシア奏法を伝授します。なかなか日本でロシア奏法を教えられる教師は珍しいです。この機会にぜひ。


最後に


そんな私も27歳にして来年ピティナのプレ特級を受け、再来年日本音楽コンクール(あるいは特級)にチャレンジし、その後はマリアカナルスやエリザベート王妃国際コンクールなどの晴れの舞台に立ってみたいと準備を進めております。
ですので、国際的にも国内的にも、さまざまなコンクール準備や音高受験、音大受験、趣味、大人のピアノ、導入教育などに対応しておりますので、安心して通ってくださいね。

では皆さんも良き音楽ライフを!

(連絡先: klaviano.gakugeiあっとgmail.com

参考文献

いいなと思ったら応援しよう!