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20年で5,000人以上を見てきた人事のプロだけが知っている、"いい人を採ってしまう会社"が陥る共通の落とし穴

「いい人なんですよ。真面目そうだし、現場のメンバーも、彼ならうまくやっていけると言っています」

採用面接の振り返りで、この言葉が出るたびに、私の背中には「すっと冷たいもの」が走ります。

担当者が安堵の顔を見せ、経営者が「じゃあ、内定を出そうか」とハンコに手をかけるその瞬間。実はそこが、組織の「停滞」が静かに始まる瞬間かもしれないのです。


少し、正直な話をさせてください。

「いい人採用」って、やってしまいがちなんです。悪気は一切ない。むしろ、みんな真剣に考えた結果、その判断にたどり着きます。

でも20年間、大手広告代理店からエンジニア業界まで、人事責任者として累計5,000人超の合否に立ち会ってきた私には、その「安心感」の正体が見えてしまうのです。

それは——

  • 「この人なら、自分たちを脅かさない」

  • 「今のやり方を、否定しない」

という、現場の無意識な「防衛本能」です。

変革なんて求めていない。波風さえ立たなければいい。そういう空気の中で選ばれた「いい人」は、確かに職場に馴染みます。でも、組織は少しずつ、静かに止まっていく。

不満は出ない。でも、成果も出ない。 ただ穏やかに沈んでいく——。

そんな「静かなる死」を迎えている組織を、私はいくつも見てきました。



「善人採用」が生まれる、組織の深層心理

もう少し、この話を掘り下げさせてください。

採用面接で「いい人だった」という評価が出る瞬間、現場では実際に何が起きているのか。

ズバリ言います。

現場が「いい人」と感じる候補者のほとんどは、「脅威を感じない人」です。

これは「悪意のある話」じゃありません。人間って、自分の安全地帯を脅かさない相手を「心地よい」と感じるのは、ごく自然な本能です。でも採用の場では、それが「致命的なミス」につながります。

「優秀なリーダー」「変革者」というのは、往々にして「場の空気を変える人」です。会議に入った瞬間に雰囲気が引き締まる。耳の痛い正論を臆せず言える。

「本当にそのやり方でいいですか?」と問い続けられる。そういう人は、現場の「居心地の良さ」を壊します。

だから現場は、「無意識に排除」しようとする。

  • 「なんか、合わない気がする」

  • 「うちのチームの雰囲気と違う」

そういった曖昧な言葉で、「組織が最も必要としている人材」を弾いてしまうのです。



【実録】「いい人ばかり」で沈んでいった組織の末路

これは、私が支援したある製造業の中堅企業での話です。

その企業様は、業界内での評判も悪くないですし、給与水準も平均以上。採用条件は決して悪くありませんでした。でも経営者からのご相談は「なぜか組織に活気がない、変革が全然進まない」というものでした。

ヒアリングを進めると、原因はすぐに見えました。

過去5年間のリーダー層の採用を振り返ると、選ばれてきたのは全員「現場に受け入れられた人」ばかりだったんです。

  • 反論しない

  • 波風を立てない

  • チームの空気を読める。

そういう「特性を持った人」が、ずっと選ばれ続けていた。

結果、どうなったか。

  • 会議では誰も意見を言わない。

  • 課題を指摘しても「前向きに検討します」で終わる。

  • 新しいアイデアは出るけど、誰も責任を取って動かない。

そんな「ぬるま湯」組織が、気づいたら完成していたわけです。

経営者は「採用には問題ない、むしろ良い人ばかり採れている」と思っていた。でも実態は、採用そのものが「停滞」の原因になっていた。

これが「善人採用」の末路です。

怖いのは、誰も悪意を持っていないこと。みんな一生懸命やっている。でも、気づいた時には組織がすっかり「動けない体」になっているという状態です。



なぜ「ハングリー精神」こそが、最強のスペックなのか

では、何を見て「採用」すればいいのか。

20年間、数千人の採用に立ち会った結果、私がたどり着いたのはとてもシンプルな答えでした。

「スペックではなく、ハングリー精神を見るべき」

こういう話をすると「なんだよ!精神論かよっ!」と誤解されやすいのですが、本質が全く違います。

「滝に打たれて、社訓を唱えろ」なんて言うわけがありません。

また、何か自己中心的で、イケイケな感じで、よくわからない横文字が多くて、自己啓発セミナーでの学びを永遠に話す、俗にいう「意識高い系って言われがちな人」でも全くありません。

ここでいう「ハングリー精神」を持っている人とは、

  • 何かを達成したい

  • 証明したい

  • 取り戻したい

そういった、向上心や上昇志向を持つ「内側から湧き出るエネルギー」のある人のことです。学歴でも職歴でも資格でもない、よくわからない横文字も使わない、その人の根底にある「熱量」です。

ハングリー精神」を持っている人は、環境がどれだけ整っていなくても、情報が少なくても、「自ら動き、自ら学び、自ら道」を作っていきます。

「周囲と良好な関係」を保ちつつも、その熱量で周囲を巻き込みながら、学習し、困難にも立ち向かい、試行錯誤を繰り返し、「道を作っていける人」なんですよね。

気づけば、その人の周りに自然と人が集まっていて、いつの間にか「その熱量が伝染」している。そんな感じです。

逆に「ハングリー精神」を失った人は、どれだけスペックが高くても、整った環境と明確な指示がないと動けない、動かない。

妙に「割り切る」ことが得意で、自分の手の届く範囲でしか仕事をしない。特に向上心があるわけではないので、新しく何かを学ばない、「道は様子を見て、整備されてから進む」という人です。

どちらが、良い悪いの話になると「業務内容が全て」となるので、ここでは置いておきます。

ただ、「ハングリー精神」を持った人が一人いるだけで、組織の空気は変わります。それくらい、このエネルギーは伝染するんです。

職場に「嫌味のないキラッキラのヒーロー・ヒロイン」みたいなエネルギーの塊みたいな人が一人くらい思い浮かびませんか?そういう人です。



【実録】スペックの「空白」に宿る「執念」を見抜く

一方で、履歴書の輝かしい経歴の中ではなく、むしろその「空白」「挫折」の中に宿ることがあります。

私が忘れられない一人の候補者がいます。履歴書を見れば、難関大学を中退、その後は「短期離職」をしていて「離職期間も長い」候補者がいました。

周囲の採用担当者たちは「粘り強さがない」と一蹴し、会う価値すらないと断じました。

しかし、私は彼の職務経歴書の行間から漏れ出す、ある種の「執念」のようなものを感じ、面接に呼びました。

現れた彼は、決して「口が上手いタイプ」ではありませんでした。絞り出すような声で、彼はこう言いました。

「中退したのは、自分が甘かったと思います。正直、逃げたと思っています。でも、この後悔を取り戻すために、この1年間、独学でここまで技術を磨きました。ですのでチャンスをいただきたいと思っています。」

私は彼の中に、順風満帆なキャリアを歩んできた人間には決して備わっていない、「痛みを経験した人間だけが持つ貪欲さ」を見ました。彼は自分の失敗を他人のせいにせず、それを自らの「栄養」に変えていました。

周囲の反対を押し切って採用した彼は、その後、プロジェクトが「絶望的な炎上」を見せた際に真価を発揮しました。

かつて「逃げた自分」と決別するかのように、コードを書き続け、誰よりも先に現場に立ち、自主トレの一環で休日もコードを書き続けているという話を本人から聞きました。

最後にはクライアントや周囲から「彼がいなければこのプロジェクトは成功しなかった」と言わしめたのです。

私が見ていたのは「過去のスペック」ではなく、今この瞬間に燃えている「熱量」でした。スペックに惑わされず、その人の根底にあるエネルギーを見極める。これこそが、採用を「博打」から「戦略」に変える「プロの視点」です。

やがて、彼は最速で「リーダー職」に就きました。この話には続きがあります。

彼が通っていた学校の講師と説明会でお会いした際に「ある事」が判明します。

「長い教員生活の中で、これまでの生徒の中で『先生、ゴミ箱に捨てられたパーツを持って帰っていいですか?』と聞かれたのは、彼がはじめてです。何のため?と聞くと『もっと自主開発を行いたからです』と。彼は1,000人に1人の逸材でした」とお話されていました。



採用を狂わせる「経営者の主語」問題

RPOや人事コンサルの依頼をいただく経営者と向き合う時、私はその方の「主語」を徹底的に観察しています。

よく聞くのは、こういう言葉です。

  • 「いい人を連れてきてよ」

  • 「今の若い人たちには何が響くの?」

  • 「うちの会社の何がダメなのか教えてほしい」

全部、主語が「他の誰か」なんですよね。「自分は変わる気はないけど、外側だけ整えてほしい」という、美容整形的な発想です。

「外見」を整えても、「中身」が変わらなければ必ず見透かされます。求職者は実に賢いです。ホームページをきれいにして、求人票の言葉を磨いても、実際に面接で会う人間の「空気」が全てを物語ってしまう。

一方で、本気で会社を変える経営者は、主語が常に「自分たち(私)」です。

「今の採用が停滞しているのは、私のせいです。この状況から一脱し、未来を創るために、変革をしたい。そのために私は何を変えればいいですか?」

まっすぐ私の目を見て、「自らの痛みを伴う改善」を厭わない。そんな経営者の姿勢そのものが、「最高の採用メッセージ」になります。

採用代行の本当の役割は、求人票を書くことではありません。こうした経営者の「覚悟」を言語化し、組織全体の意識を変え、優秀な人材が「ここなら人生を預けられる」と感じられるフィールドを、一緒に作ることにあるのです。

この記事でお伝えするのは、よくある採用ノウハウ本に書かれているような「母集団形成の方法」「面接のテクニック」ではありません。

もっと生々しくて、もっと残酷で、でも確実に組織を強くするための「血の通った採用哲学」です。

「なぜ、いい人を採ったはずなのに、組織に活気が出ないのか」

この問いに「本気で向き合う覚悟がある方」だけ、続きをお楽しみください。


【本質】「いい人採用」を脱し、組織に「変革の種」を植える唯一の方法


ここから先は、有料とさせていただきます。

数千社の事例を見てきた私が、最後に行き着いた「履歴書のスペックを超え、組織の未来を創る"飢えた才能"を見抜く具体的な手法」について。

ここから語る内容は、単なるテクニックではありません。 企業の体質を根本から作り変え、表面的な「いい人」ではなく、組織に化学反応を起こす「劇薬」としての優秀層を惹きつけるための、具体的なステップです。

【この有料エリアで公開する内容】

  • 「いい人」の皮を被った「現状維持派」を一瞬で見抜くための、3つのキラークエスチョン

  • 履歴書の「空白」を「武器」に変える。スペック不足の逸材を救世主に変える見極め術

  • 「丸投げ経営」から卒業する。現場の意識を180度変え、全員を採用担当に変えるワークフロー

  • 経営陣が持つべき「採用の解像度」。候補者の「飢え」に火をつける口説きの構造化

もしあなたが「今の組織の空気感を変えたい」と本気で思っているのなら。 飲み会1回分程度の投資をぜひ添えてください。

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