酒井太郎先生へ、便器株主の公開質問状
酒井太郎様へ
初めまして、野村HDに株主提案をしたものです。
「日本の株主提案権制度の現状と諸問題」拝見しました。
いくつか誤解があるようなので説明させていただきます。
私がくだんの提案をしたのは、
①久保利方式で株主総会を形骸化させていることへの対抗措置
②トマト栽培を始めたことへの疑問
③野村土地建物株式取得により野村不動産HDを関連会社にしたにも関わらず実効性のある動きがなかったことへの疑問
④ある「馬鹿な株主」(株価が二十分の一になって4750万円損した、というおじさん)への同情
⑤三菱に「いざとなったら頼む」と働きかけているという情報リークがあり危機意識が高まった
⑥前年壇上でにやにやしながら私語を続けた古賀会長の迷走経営への不満(リーマン買収の失敗・人材の流出)
インサイダー取引に増資乱発の常習犯
http://www.777money.com/tameru/column/nomura.html
野村証券社員が語る「部下は監禁・罵倒し、顧客に損させてもノルマは死守」
https://biz-journal.jp/2012/08/post_485.html
野村HD トマト栽培
https://www.nikkei.com/article/DGXNASGC1201V_S0A810C1EE1000/
等々がきっかけであり、手段としての提案は「機知とユーモアと皮肉」で経営の問題に衆目を集める意図がありました。悪ふざけ・利益にならないという意見もありましたが、提案の年、古賀会長は壇上で私語をしませんでした。
またこの誤解が一番多いのですが、株主提案は招集通知に掲載しなくても過料は取られません。民事訴訟するしかないのです。提案全体の中で比較的ユーモラスなものがつままれていることをご確認いただければ、それがどういう意味を持つのかご理解いただけると思います。
あれは私個人の遊びではなく、野村の管理部の遊びか、あるいはクーデターです。そもそも株主総会で万歳三唱はありません。つまり誤った認識に基づく提案として、万歳三唱に関する提案は伏せようと思えば伏せられたのです。会社法を書面でしか学んでいらつしゃらないようですが、金融庁に電話したり、株主総会に参加したりして、事実を確認されてはいかがでしょうか。
くれぐれも誤解なきように願います。私は別に怒り心頭で苦情を述べているのではありません。会社法の専門家を自認される方が、会社法の実態をあまりにもご存じないことにあきれているのです。
まずそもそも権利濫用的な株主提案は株主単独では不可能であるという事実をご存知でしょうか?
会社法、株主総会、株主提案に関する理解度は会社によってまちまちです。弁護士の理解もまちまちです。ですから「取引先からの苦情」のような提案が招集通知に掲載される事例もあれば、ごくシンプルに「なかったことにされる」場合もあります。
この事実はあれこれ調べなくても私の提案一例で確認することができます。そこで金融庁が野村HDに対して伏せられた提案の違法性の確認を求めることはないのです。提案の採否は会社側の自由です。社名変更の提案があったことのみ明かされ、付議されなかったという事実は、その宣言そのものでしょう。
しかしながらおそらく私の提案以降、「あの野村が弁護士と協議の上、ここまでは招集通知に掲載しなくてはならないと判断したのだから…」というラインができてしまったので、今までは無視されていた提案が日の目を浴びるようになったのだと思います。
ではそもそもなぜあのようなことになったのか、先生は不思議に思いませんか。
まず「実際に行われない万歳三唱の禁止」の提案が採用されたこと、そして「三菱UFJモルガンスタンレー野村証券」という他社に迷惑をかけそうな提案が採用されたこと。平たくとらえれば、前者は洒落、後者は本音ではないでしょうか。株主が感じていた危機感が、社内にもあったと考えることが自然ではないでしょうか。
実際に株主総会に参加し、株主提案をしてみればいかにこの論評が空疎なものであるのか実感できる筈です。実際に総会でどのようなやりとりがされているか、それが会社ごとにどれほど違うのか、そういう現場の理解なしに法制を論じるのはいかにも無責任です。
私は提案の前年「トマト栽培は儲かっているのか?」「野村不動産HDを関連会社としてどのようにガバナンスしていくのか?」という質問をしました。回答は「あまり儲かっていません」「餅は餅屋なので考えていません」というものでした。
久保利方式ではここで追加質問ができません。ただこれが取締役会だったらどうでしょう。そういう総会の現状を見聞きしたうえで、何がどうあるべきか論じるべきではないでしょうか。
形式的には久保利方式ながら、質問者を圧倒する熱量で語る経営者(アドウェイズ、ガンホー)、夢を語り感極まって涙ぐんでしまう経営者(GMO)に株主提案しようとは思いません。
ただ二度の大型公募で株主価値を60%希薄化し、東証から注意を受け、なお公募に応募し二千万円も野村証券に入金して難平しようとした株主を抽選と称して落とすような会社には、株主提案でもしようと思うはずです。(難平できませんでした)
「上場会社の個人株主が株主提案権を行使することも、さほど困難なことではない。」とありますがその比較ができる程度に国内外で実際に株主提案をされたことがおありでしょうか。困難ではないとは簡易であるという意味でしょうか?
別の議論で1500万円程度で提案できるのは安いみたいな発言をしていた人がいましたが、ちょっと一般人の感覚ではありませんね。富豪以外は発言権なしでいいのでしょうか。
またいくつか根拠の曖昧な指摘はないでしょうか?
「株主が提案議案の内容の適法性および妥当性を確保すべき義務を負うものではないことからも明らかである。」とありますが、株主提案権は会社法に定められているものであり、適法である必要があります。
「株主が提案することのできる議案の内容には基本的に制限がない。」そんなことはありません。
「もっぱら自己顕示欲の誇示または会社を困惑させることを目的として株主提案権を行使するという、制度趣旨から逸脱した行使事案が目につくようになった。」どのような事実を確認してそう判断されたのでしょうか?
そして「荒唐無稽な内容の議案」と直接名指しですが、そもそも伏せられた提案全体を把握しての受け止めなのか、それともネットニュースを拾い読みしての感想なのか、この点はぜひ確認させていただきたい。それらがどのような意味で権利乱用に当たるのか当たらないのか、詳細に確認していただきたい。
もしネットニュースの拾い読みでの発言であれば、匿名のチンピラではなく専門家として発言されている点はいかがなものでしょうか。
株主提案はステークホルダーとしての権利の行使です。その提案に対してステークホルダーでもない部外者が良い悪いと判断する権利はどこから生じるのでしょうか。それが会社法の専門家という立場から認められるという主張であれば、まず事実を詳細に確認してはいかがでしょうか。それが専門家を自認するものの責任ではないでしょうか。
私は自分の主張を公にしています。
(提案は「川奈天吾」名義でアマゾンで本にしています。)
それにしてもあれこれおかしいことはちょっとロジカルに考えてもらえばわかるはずです。
一例でいえば、松下電器という会社を「パナソニック」に変えようと株主提案したらそれは荒唐無稽で権利濫用なのか、という問題です。持ち株会社ながらトマト栽培を始めた該社に対して野菜ホールディングに社名変更するよう提案したものの付議されなかったという事実をどう受け止めていらっしゃるのか、そもそも何かが可笑しいと思わなかったのか、そのあたりが不思議でなりません。
「株主提案権の行使が不当に拒絶された場合の救済手段」に関して述べられている内容はほとんど空疎と感じられます。「取締役等は100万円以下の過料に処せられる」とありますが実例を確認しましたか?
現実的にはこの罰金刑は実行されません。誰もその事実を確認しないからです。実際に私は金融庁他に電話で確認しました。会社法の罰金は本店所在地の変更忘れなどが殆どです。
そもそもここに挙げられた手続きを実際にやりましたか? やらなくともシュミレーションぐらいしないものでしょうか。おそらくご経験はないと思われますが、基本的に民事訴訟ですので、損害の事実証明責任は提案者側にあります。つまり提案採否の前に予防手段として、株主提案を内容証明郵便で送る必要がありますね。しかし内容証明郵便には、個別株主通知(発行手数料数千円)、身分証明書の写しを同封できません。別便で、配達記録で送付する必要があります。これは果たして簡易なことでしょうか?
「荒唐無稽」な提案により、社長副社長は異動となり、野村不動産HDとの関係は解消されたという事実も確認していただきたい。
野村HD 野村不動産HDを連結子会社から外す
https://www.nikkei.com/article/DGXNASGD0100R_R00C13A3EB2000/
ちなみに株主総会では本当に「それはないだろう」という発言があります。グリーの総会ではたまたま私の横にいた山口三尊が田中社長に対して
http://blog.livedoor.jp/advantagehigai/archives/65918346.html
の話を具体的に話し始めて、流石に気まずい思いをしました。
代理で来たという女性セールスが自社商品を宣伝することもあり、「皆さん勘違いされているようですが100株が10株になるということは今までの十分の一の価格で株が購入できるんですよ」みたいな頓珍漢な発言もあります。
私の提案などまだかわいいものです。
コロナ禍で「株主総会は役員のみで行いますので来ないでください」(コロプラ)という招集通知が届くという現実こそ「荒唐無稽」ではないですか。
監督官庁に直接話を聞く、会社の法務部に取材する、株主総会に参加する、株主提案をしてみる、民事訴訟を経験する…そうしたことをしないでも会社法の専門家として教職につけるという現実も荒唐無稽ではないでしょうか。
ラーメンを食べたことのないラーメン評論家はいないでしょう。
繰り返しますが怒りはありません。ただ現実を知って、それから意見を述べていただきたい。毎日のように呟かれる「野菜証券」という用語は私の提案から生まれたものです。
教育者が荒唐無稽とレッテルを貼ることにはそれなりの責任が付きまとうものだとお考えにはならないでしょうか? 学生はそのまま信じますよ。
しかしそれでは何も考えない学生を増やすだけです。野村HDの一方的な説明だけを妄信して、伏せられた提案はもっとひどいんだろうなと先生が思い込み、生徒に「これは荒唐無稽な株主提案見本だ」と教えたら、もう学生は自分でそれが本当かどうか調べないでしょうね。
公開された提案の中にグーグルの採用試験に使われた数字を混ぜておきましたが、気が付いた人も皆無です。
兎に角この件に関してはみな何も調べないで好き勝手なことを書いているなと感じます。
そして「株主提案の著作権」に関して全く配慮されないで、本文より引用の長い記事が拡散された問題もスルーされていますね。
突然の長文失礼しました。連絡いただけるのなら、アメブロのダイレクトメッセージの方が確実です。
便器株主より
野村HDが赤字転落、長期低迷招いたリーマン買収が完全失敗…三菱UFJによる買収観測も
https://biz-journal.jp/2019/05/post_28109.html
「落日」野村が三菱に割譲観測
https://facta.co.jp/article/201907003.html
誰も会社法を理解していない
ネットの情報が正しいとは思わないが、日本経済新聞も法務省も会社法を理解していない上に、ツイッターのリツイートのひどさには呆れる。
どこぞの専門家先生も理解していない。
さて、会社法が改正され株主提案権が制限されるらしいが、その理由として「権利濫用的な提案があったこと」が挙げられている。
前にも書いたが果たしてそんなことが可能だろうか?
つまり権利濫用的な提案が可能だろうか?
勿論そんなものを書いて企業に送り付けることはできる。しかしそんなものを株主総会招集通知に印刷しているのは企業側だ。権利濫用的と判断できさすればそもそも印刷しなければいい。
野村HDのケースでも印刷されたのはわずか18提案のみ。
この事実からまず、「権利濫用的な提案は排除できる」ということくらいは解かる筈。
さて、では会社法に関わる学生さん、大学教授、そして法律家のみなさん、株主提案を株主総会招集通知に掲載しなかったらどうなりますか?
はい?
声が小さいですよ。
会社法976条の19項、「第三百三条第一項又は第二項(これらの規定を第三百二十五条において準用する場合を含む。)の規定による請求があった場合において、その請求に係る事項を株主総会又は種類株主総会の目的としなかったとき」に該当し、百万円以下の過料を支払うことになる?
本当にそうですか?
良く調べましたか?
法務省に訊きましたか?
これ、実は過料に処せられないんですよ。
確認しました。過料には処せられません。基本的にはおとがめなしです。
野村HDのケースで法務省に質問しましたが、答えはそういうことです。相手が上場企業であるので東証にも質問してみました。こちらもおとがめなしだそうです。念の為監督官庁たる金融庁にも質問してみました。答えはおとがめなしです。
つまり実効的には株主提案なんてそもそも無視していいものなのです。
そんなことを調べもせず、株主提案は制限すべきなどと主張している先生方、恥ずかしくないですか?
条文だけを読み、解釈や運用は無視していていいのですか?
そんなことをしていると日本に軍事力が存在しないことになってしまいますが…。
株主総会招集通知に株主提案を掲載しなかったことにより過料に処せられた事例を挙げられますか?
まず会社法で過料に処せられるケースは登記事項不実記載、つまり実態のない場所に会社の住所を登録しているとか、引っ越しした時登記事項を変更するのを忘れたとか、そういう場合に限られるようです。
そして株主総会招集通知に株主提案を掲載しなかったことに対しては役所はどこも処分は下さず、民事事件として損害賠償請求するしかなさそうです。当然損害額を証明する義務は提案株主側にあります。ここがなかなか難しい。株主提案が隠されたことによって「提案が可決した場合の利益を逸した」とは言えないからです。そもそも提案は少数株主権であって、ほぼ否決されるものだからです。常識的に言えば、否決される議案を招集通知に掲載しなかったことで株価が下がることもない。正当な株主の権利を奪ったとして、それを金額に換算するのはほぼ不可能でしょう。
はい。ここまでは解かりましたか?
では次の質問です。野村HDに対する提案の発表にはいくつか奇妙な点がなかったですかね?
公認会計士の上原さんという人が唯一指摘していますが、まず「社名変更の提案は、なぜ上程されなかったか?」、みなさん解かります?
当時野村HDは野村アグリプランニング&アドバイザリー株式会社でトマト栽培をしていました。これは東食が倒産前に自転車会社を買い取ったことくらい迷走状態に見えましたが、もし六次産業に可能性を見出したのなら、野菜ホールディングスでもいいわけです。そもそも野村HDは創業家グループ(野村貿易など)とは手を切り、健康保険組合も別々です。むしろ野村を名乗る資格はないと思っています。その前年野村土地建物を子会社化したのも、創業家グループとの資本関係を清算するのが目的でした。
つまり「要件を満たす提案が存在することを示しつつ、あえて上程しなかった」ことになります。私同様事前に金融庁、東証、法務省に確認済みだったのでしょう。
それからみなさん残りの82個の提案を確認しましたか?
してないてすよね。それが公表されたものと同じようなものだと思います?
結論から言えば違います。
第11号議案 定款の目的の追加
【提案の内容】
目的について定めた定款1章第2条第4項を第12項に改め、第4項に「不動産の所有、賃貸ならびに管理」第5項に「不動産の売買、仲介、コンサルティングならびに鑑定」第6項に「宅地、商業用地、工業用地等の開発、造成および販売」第7項に「不動産の販売代理業務」第8項に「不動産投資に関する調査およびコンサルティング業務」第9項に「損害保険代理業ならびに生命保険の募集に関する業務」第10預に「預金または定期積金の受け入れ、資金の貸付け、または手形の割引ならびに為替取引」第11項に「宝くじの販売および当せん金の支払受託業務」を追加する。
【提案の理由】
「コーポレートガバナンスの強化」のために提案する。
野村土地建物株式会社を完全子会社、野村不動産ホールディング株式会社の連結子会社化した以上、持ち株会社としての貴社にとつて「グループの連携を強化」はガバナンスの強化と同異議である筈である。業務の専門性に鑑みて支配、管理を放棄するならばそれは「ガバナンスの欠如」であり、定款の目的を逸している。
このことから定款の目的を整理し、子会社および連結子会社を直接的に支配し管理する体制を強化するべきであると考える。
これが件の野村土地建物買収を合理化する方向性であろうと私は考えた。みずほ系の不動産会社でマンションを買えば、ローンはみずほ系の銀行で組まされるのが当たり前だろう。せっかく野村不動産HDを連結子会社にしたのだから、グループの総合力を強化するために銀行業務、とくに不動産ローンを強化すべきであるというが私の考えだった。野村HDには野村アセットや東芝と組んだ不動産会社はあるが、そういうものを統合してみずほや三菱のような強固なグループになることが株価にも貢献すると思うがどうなのだろう?宝くじはみずほの特権で、銀行と保険を一緒にやるのは農林中央金庫だけの特権だから隠されたということでもないでしょう。
これ悪ふざけですかね? いやがらせ? 威力営業妨害? 権利濫用? キチガイ?
こういうものは敢えて隠し、比較的ユーモラスなものだけ公表されたというのが事実です。
第16号議案 不採算事業の整理
【提案の内容】
不採算事業を見直し、整理・統合を進める。
【提案の理由】
「収益性の向上」のために提案する。
貴社はアメリカ市場への進出を目論む過渡期でもあつた2010年、子会社野村アグリプランニング&アドバイザリー株式会社を設立したが、2011年の株主総会では該社について「収益はそれほど上げていない」とのみ報告をしている。この報告の意味するところが「収益の上がらない子会社の設立」であつたにせよ、「子会社の業績不振の放置」であったにせよ、いずれも親会社のガバナンスの失敗であり、企業価値を毀損し、ひいては株主共同の利益を損なう行いである。
ステークホルダーとしてはこのような怠慢な経営を認めることができない。
本来このような議案は取締役会に諮られるべきではあるが、取締役会が善管注意義務を放棄し、機能不全を起こしている現状では、株主総会において十分に議論が尽くされるべきである。場合によっては証券業を諦めるということにもなりかねないが、それはそれでしょうがない。
これも当然の主張ですよね。
これ悪ふざけですかね? いやがらせ? 威力営業妨害? 権利濫用? キチガイ?
ただこういう提案ばかりを連ねると読みたくなくなりますよね。書いている方も疲れます。だからユーモアとイロニーを織り交ぜて気分転換しただけのことです。その箸休めばかりをセレクトしたのは野村HD側です。こんな理屈も解からないかな。
しかし会社法には大きな穴があることは間違いありません。私は明確に指摘できますがあなたにはできますか?
それは提案してみて気が付いたことなのですが、今回の改正案には盛り込まれていません。
どうせ改正するなら、ちょっと一言加えた方がいいんですが、条文が長すぎて、法務省の人もへとへとで、なかなか気が付かないんでしょうね。もしかしたら人工知能が分析すればすぱっと答えが出るかもしれませんが…。
法務省の人も識者に訊くふりをして、パブリックコメントを求めたらいいのに。
いやパブリックってリツイート民レベルだから相手にされないのかな。
便器株主の告白
まず三井金属鉱山への株主提案、あれは私が提案したものではありません。
つまり便器株主とは別の人が提案したものです。
推測ですが、該社には2016年頃から継続的に株主提案がなされており、301口保有の法人であることから、今回もその法人だと考えられます。
そしてどうも私が本に書いた提案がパクられています。
しかもかなり下品になっています。
原文はこちらです。
第16号議題 定款の一部変更の件(日常の基本動作について)
【提案の内容】
貴社社員は排便の際、洋式便器の便座の上に跨り、足腰を鍛練し、株価四桁を目指して日々ふんばる旨定款に明記するものとする。
[提案理由]
貴社社員に欠けているのはコスト意識である。大体ね、コスト削減が何よりも重要なこの折に、洋式便器を和式便器に交換工事するのでは十露盤が合わない。便器会社を儲けさせるだけだ。そこで貴社社員は排便の際、洋式便器の便座の上に跨り、下半身の粘りを強化することとする。またこの状態では便所飯も防止できようというものだ。これ以外に株価四桁を実現する方法はないのである。ただし、蝶番を怠ると厠から尻を剥き出しに転がり出でて、心ならずもmooning(おけつポロリン)してしまうので注意が必要である。
※「おけつ」と「おしり」の違いについて、ミセス・ワタナベから繰り返し質問があり、協議の結果「一瞬ちらっと垣間見えた瞬間の定義として」という前提付きで二人の意見が一致した。「おけつ」とは、割れ目、境目がくっきりと確認できた場合であって、臀部そのものがぷりんと突き出されたと印象づけられた場合、あるいはなだらかな曲線が目を引いた場合は「おしり」と呼ぶことにする、というのが二人の間の共通了解である。
第56号議案 株主総会での拍手について
【提案の内容】
株主総会において拍手は禁ずる。
【提案の理由】
貴社の一般株主には高齢者が多く腕の筋肉も弱っており、骨も皮膚ももろくなっているので、拍手では十分に意思表示することができないばかりか、筋違いや肉離れ、骨折や内出血の惧れもあるため。老人は神経も鈍っているため、自らが負傷していても気が付かないこともある。また耳も遠く視力も弱っており、素早い判断力にも欠ける。じっくりと考えじっくりと答えを出すことはできるので、違うタイミングで拍手してしまうこともある。また単なるお祝いやお礼などの礼儀としての拍手と間違えてしまうこともあるが、年寄りだと馬鹿にされたくないので言い出せない。こうした諸々の事情を考え併せると、拍手は禁止すべきである。
三井金属鉱山のものと比較して貰えばちょっと違うのが解かると思います。
しかしこう露骨に著作権も何も無視してやられると不快ですね。言葉のチョイスにセンスもないし。
そもそも違法じゃないんでしょうか。
http://blog.livedoor.jp/takeda_cfo/archives/2141811.html
士業の人もツイッター民と大差なし
それにしても士業の人達にあまりにも知識がないのには呆れます。
まずこうしたネタに飛びつく姿勢は同じで、あまり考えないところが同じですが、そもそも何故こうした提案の一部が公表されたか、その辺りのことが解っていないのは不思議です。
株主提案を招集通知に掲載しなくても罰則はありません。
あるかのように会社法には書いてありますが、そもそも取り締まる仕組みがありません。
嘘を書いてはいけませんが、載せなくて処分を受けることはありません。
金融庁に確認済みです。
対抗するには個別に民事で総会決議の無効などを争うしかありません。
過料は本店住所移転の未届けなどに限定されて施行されています。
ですから株主提案が招集通知に掲載されるにはそれなりの理由があるのです。
提案が来たから載せましたなんて会社はないと思いますよ。
実際に84個の提案は伏せられた訳ですし。
馬鹿な弁護士がアドバイスすれば別ですが、今回の三井金属鉱山に対する提案は全て伏せられるものです。
しかし会社は公表したかったのです。
おそらく社内でもいろいろなトラブルや駆け引きがあり、こういうものが表に出ることになったのです。
野村HDのケースではおそらく古賀院政に対する反発は明確にあったと思います。
リーマンショックの負の遺産を二重に引き受けたこと、特にリーマンの社員が優遇されていたことに不満を持っていた社員は少なくない筈。
だから管理部は株主提案の一部を公表することに決めた訳です。
株主提案には提案者と採用者が必要です。経営者と幹部職の問題意識のずれ、派閥争い、そういうものがなければ株主提案は公表されないでしょう。
そもそもステークホルダーと経営者にコミュニケーションがないから株主提案が出て来るわけですが、そういう会社はガバナンスもできていませんよ。
会社法の改正は久保利方式の見直しと同時に論じるべし
そもそも騒いでくれる多くの人は株主総会に参加した経験がなさそうですね。
久保利方式で多くの総会は形骸化されています。しかしアドウェイズ、あおぞら銀行、GMO、ガンホー、コロプラなどの社長は質問が尽きるまで丁寧に答えてくれて感心します。こういう社長が増えれば無駄な株主提案などなくなるし、むしろ必要ないと思います。
見直されるべきなのは、やはりガバナンスやコンプライアンスで、それを久保利方式で逃げるような会社にはやはり株主提案が必要だと思います。
世界についた大嘘
野村の管理部と私の共通了解事項で、世界についた大嘘があります。
第7号議案 収益対人件費率の制限と万歳三唱について
【提案の内容】
貴社における収益対人件費率は二割以下とし、株主総会における万歳三唱を取りやめる旨を定款に明記する。
【提案の理由】
「報酬と人事評価の適正化」のために提案する。
「ペイ・フォー・パフォーマンス(業績に応じた支払い)」の原則に基づけば、マイナスのパフォーマンスに対してはマイナスの報酬で応えるべきではあるが、さて、業績が落ちているにも関わらず人件費が増加している現在の状況に関しては、とりあえず「内部統制システムが崩壊している」とでも評価せざるを得ない。
収益に対する報酬のコントロールを確実に行うことによって、この奇怪な企業体がまだ息をしており、錯乱の手前で踏みとどまり、市場の信頼を回復することを望んでいるという意思を明らかにすることになろう。そもそも収益対人件費率が4割強では株主への高配当は望むべくもないというものだ。また会場は狭隘で腋臭の株主も多いことから恒例の万歳三唱は止めてもらいたい。
これは英語にも訳され、記録された大嘘です。総会で万歳なんて聞いたことがありません。一人やっているのを見たことがありますが制止されます。野村では有り得ません。
これは野村の人が洒落で採用したのだとしか思えない提案です。
会社は明確にピンチなのにゴルフ焼けで真黒な古賀会長に文句を言いたかった社員がいたということです。
ただ英吉利人などは案外信じそうじゃないですか?
実はこの年の総会で、終了後きょろきょろしている初参加らしき人がけっこういました。
あれ、提案を否決したのに万歳三唱しないの? とまわりをみまわしていました。
私の提案を笑った人の中にもこの点を指摘した士業の人は皆無です。
法律だけ暗記して、現場もみず、役所とも話をしないで成り立つのが士業ということなのでしょう。
ちなみに東証が公募増資に規制を設けたのは、リーマンショック後、野村が年二回の大型公募増資をやったことがきっかけです。随分金融庁とは話をしましたよ。
この時点で海外のホールセールに注力すると言っていた野村は、アベノミクスによって国内のリテールが復活して立ち直りました。
翌々年社長と副社長は退任しました。
第109回野村ホールディングス定時株主総会に対する株主提案原文+α、僕が株主提案した理由
貨幣3.0 : 野村HDに100個の株主提案を突き付けたあの投資家が語る新しいお金のルール
第108回 野村ホールディングス 定時株主総会への提案 全文
株主提案の真実
株主ってそもそも何?
株主とは投資家です。
当たり前ですね。上場会社の株主は投資家です。
最もリスクを負っているのは大抵創業社長ですね。(ガンホーでは孫さんですが)
一般に株主は小さなリスクを負う投資家です。株式を買ったその価額の範囲でリスクと責任を負い、最悪株価がゼロになることもあります。
私は「東食」という会社でそういう経験があります。
その会社では倒産前におかしな動きがありました。
経営不振に陥った自転車会社を買収したのです。
異業種であり、ビジネスモデルが見えません。おそらく経営者の個人的な人間関係が影響したものだと推測されます。
ここでもし、と考えます。
もしあの時、事前にこのストーリーが見えていたら、誰かがストップをかけるべきだったんじゃないかと。
上場企業なのにコンプライアンスとガバナンスが効いていない、そういう場合法律的には監査役が機能すべきですが、監査役が社長と対立したケースはごくわずかしかありません。大抵事件として扱われていますので、簡単にネットで探せるでしょう。
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2011/01/post-14b2-1.html
でも監査役と社長が対立するのが事件であり、珍しいことがそもそも問題ではないでしょうか。
人間が二人いれば大抵意見が異なるものです。
ワンマン経営、私物化では上場企業は本来成立しません。しかし圧倒的な株式を持つ創業社長などはかなり好き勝手なことをします。
それをコントロールすべきなのは法律的には監査役なのですが現実的には殆んど機能していないようです。
たとえばグリーの田中社長が会長になるという総会決議の前に「会長」という役職の印刷されたパンフレットが印刷されて、株主総会の座席に配られていたことがあります。これは駄目だろうと思い、私は監査役に対して、総会決議前に決議事項にあげられている人事が決定していることをどう思うかと質問しました。監査役は答えず、代わりに田中社長が「誤植です」と答えました。誤植なら回収すべきだろうとはもう言えません。久保利方式だからです。監査役はずっとこちらを睨みつけていました。完全に逆切れです。
議決権からしてこの人事が覆ることはないので、揚げ足取りじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、仮にこれが「会長」はなく「相談役」なら誤植でも大事件ですからね。クーデタか放棄かと、株価が暴落しても可笑しくはありません。
ガバナンスが効いていて、コンプライアンスが遵守され、コントロールができていて、株価が右肩上がり、毎年増配であれば株主は経営のことなど心配する必要はありません。
そうではないから株主は経営に口を出そうとするのです。しかし大抵の株主は経営の素人なので馬鹿な事しか言えません。
経営ができるなら自分が起業すればいいのです。
ただ株主には「なにかがおかしいんじゃないか」という権利があります。それが少数株主権であり、株主提案もその一つです。
今回の三井金属鉱山に対する株主提案(私はやっていませんよ)はお下品ですが、会社側の反対意見を読むと「あれ?」と思います。
どうも「わが社はちゃんとやっている」の一点張りじゃないですか。当たり前ですが野村はインサイダーや違法接待が議論された時も、会計には問題がないと説明していました。ガバナンスが効いていて、コンプライアンスが遵守され、コントロールができていて、それでインサイダー取引ができるなら深刻ですよね。
これは良く調べてみないと軽々には書けませんが、三井金属鉱山にも2月に投資有価証券売却損益の計上に関するお知らせがあり、やはり株主には「なにかがおかしいんじゃないか」という権利はあるんだと思います。
士業の人達のおかしな意見
株主提案、株主総会についてあまり詳しくない士業の人達が勝手なことを書いています。
こういう権利濫用的な株主提案を防ぐには、要件を見直せだの、株を統合して300口のハードルを上げろだの…。
本末転倒ですね。悪徳とは言いませんが、グレーな発想です。
これが政治なら、100万円以上納税していないと選挙権を与えないようにすればいい的な方向性ですよね。
ガバナンスが効いていて、コンプライアンスが遵守され、コントロールができていて、株価が右肩上がり、毎年増配であれば経営者は株主提案のことなど心配する必要はありません。
株主提案を防ぐには
① IRの充実
② パブリシティの充実
③ 久保利方式の廃止 廃止しないまでも総会では徹底して質問に答える
④ 業績を確実に上げる
⑤ 配当性向30パーセント以上を維持
…ということが必要だと思います。
そういうことをやらないで300口のハードルを上げて提案を逃れようとするような会社には、そもそも大きな穴があるということではないでしょうか。
前にも書きましたがほとんどの士業の人達は会社法は読んでいるかもしれませんが実務を知りません。
株主提案は提案者だけでは成立しません。
提案を採用する人、チョイスする人が会社側にいることは私が野村HDに対する株主提案で証明した通りです。
このあたりのことを理解できない人が余りにも多いのが不思議で仕方ありません。
また、悪徳とは言いませんが、グレーな発想です、という意味をもう少し足しておきましょうか。
例えば100万円というのが普通の感覚では大金ではないかと思います。
その感覚は人によって違うと思いますが4750万はどうでしょうか?
実は私が野村HDに提案する前年、ある年配男性が「自分は5000万円が20分の一になってしまった。投資は自己責任だが、もう少し何とかしてほしい」と「質問」していました。馬鹿な質問です。
でも「年二回の大型公募増資による一株価値の希薄化は株主軽視ではないか、ライツイシューは考えなかったのか」「公募増資の目論見書ではリーマンの高速取引システムで世界の投資銀行になると宣言し、副社長は税引前利益で5000億円が目標だとほらを吹いていたが、何故、どこが問題でこういう状態になったのか、どこを改めるべきなのか、どう立て直すのか?」と質問しても答えは同じですよ。
「むにゃむにゃむにゃむにゃ……以上ご回答申し上げました」で終わりです。
これが久保利方式です。
5000万円が20分の一か…と私は何度も考えました。
だからこんな提案も混ぜていますよ。
第58号議案 事業計画の分析
【提案の内容】
リーマンショック後の目論見と結果について、正確に評価し、報告書を作成し、報酬委員会および株主総会に提出する。
【提案の理由】
リーマンショックの直撃による赤字は避けられるものであったかどうか不明だが、リーマンの人材を確保しようとして失敗し、さらに傷口を広げたこと、アメリカ市場への進出の失敗、リーマンの人材の流出、年二回目の大型公募増資によって「増資ラッシュ」を引きおこしたこと…等。誰がどの程度責任を取るべきなのか分析し、経営責任を明確にするため。最終的にはマイナスのパフォーマンスを数値化し、報酬に反映させるべく、トータルの損失と個人の責任のピースを組み合わせる。誰も悪くないのに大損こいたね、で済ませられる話ではない。
第109回野村ホールディングス定時株主総会に対する株主提案原文+α、僕が株主提案した理由
第108回 野村ホールディングス 定時株主総会への提案 全文
#会社法
#株主提案
#便器株主
株主提案とは何か①
第108回 野村ホールディングス 定時株主総会への提案 全文
2012年6月、野村HDが発表した株主総会招集通知が国内外でかなりの話題となった。何故か国内の主なテレビ、新聞、週刊誌は無視したが、ロイター、フィナンシャルタイムズ、ウォールストリートジャーナルが報じたことで、国内のインターネットでは個人のニュースサイト、まとめサイト、ブログ等で盛んに転載された。
野村が公表した通知そのものは今でもPDFでその中身が確認できる。
多くの部外者は、ここに記載された株主提案を「ユーモラスなもの」「ふざけたもの」とみなし、「株主の怒りを感じる」という声も少数派であった。
しかし海外のメディアの対応はさておき、国内の反応はほぼ野村のアンダーコントロールにあったと言えようか。
そう判断するためにはかならずしも株主提案全文を読まなくてはならないわけではない。
野村側はあえて謎を仕掛けている。
まず、野村は「商号変更の提案もあった」としながら、その提案は招集通知に掲載していない。文脈からすれば、掲載しなかった提案は要件を満たしていない、という主張ではあるが、果たしてそれは事実だろうか。
野村が伏せた提案はこういうものである。
第1号議案 商号の変更
【提案の内容】
定款第一章第一条に定める商号を「野村ホールディングス株式会社」から「野菜ホールディングス」と改める。英文では「Yasai holding, inc」とする。
【提案の理由】
「社を挙げた意識改革」を求めて提案する。
貴社の株価は最盛期の十分の一以下となり、株価純資産倍率が1以下となってもまだ下げ止まる気配を見せない。これは貴社に対する市場の不信任の表れである。貴社はこの現状をしっかりと受け止め、根本から変わらなくてはならない。
野菜ホールディングス …子供のいない共働きの夫婦が家庭菜園をしているような良い名前だ。
「野村」の名前を捨て、市場に覚悟を示すことは、破綻回避のために避けられない手続きである。ただし看板の付け替え作業等のコストを最低限に抑えるため「村」を「菜」に変更することとする。これで頭文字までが変わるから日本語とは便利なものだ。貴社は今後、否定から肯定へ「NからYへ」の転換をテーマに、市場の信頼を取り戻す努力を始めなくてはならない。
さてさて、この提案は要件を満たさないものであろうか?
野村はその前年、傘下の野村アグリ&アドバイザーズをしてトマト栽培に乗り出している。リーマンショックの傷も癒えぬ中、リーマンの人材を抱え込み、大型公募増資を連発して株価をむりやり引き下げ、野村土地建物を子会社化して、何故かトマト栽培を始めた。
トマト銀行が既に存在することから、「トマトHD」にせよ、という提案ならば、理由を付して反対することは可能だろうが、この提案には違法性はなく、権利濫用的な要素もない。
どうだろう。会社法を少しでもかじった皆さんならば、ここにどんな排除の根拠を見出し得るものだろうか?
仮に野村がこの非常時にトマト栽培にうつつを抜かしていなければ、確かに「野菜」は唐突ではあろうが、野村自身がそちらににシフトしたのだから、この提案をふざけているとみなすことの方か難しいのではないか。
実は深読みすればトマト栽培には肯定的な側面がないではない。
最初は売れない営業マンの吹き溜まりを拵えて、「お前、千葉でトマト作るか?」と朝礼で説教するくらいの目的かと思っていたが、別件でいろいろ調べているうち、「六次産業による農協攻撃」「地銀との連携による再編の目論見」「農林中央金庫との全面戦争」などへの布石ではないかというストーリーが浮かんできた。本当にそういうストーリーがあるのなら、野菜の冠を被ることはけしてマイナスにはならないはずだ。
まあ、勝手な深読みはさておくとして、この商号変更の提案そのものは、要件を満たしているにも関わらず、あえて付議されなかったと考えるべきであろう。
ではその「あえて」の理由だが、そのヒントは公表された提案の中に隠されている。
それはこれである。
第84号議案 定款の一部修正について
【提案の内容】
定款第3条に「当会社は、本店を」とあるを「当会社は、本店を日本国」に改める。
【提案の理由】
「東京中央区」が中国で既に商標登録されてしまっているため。
実はよく調べれば、この提案は排除することが可能だ。仮に中国で「東京都中央区」が商標登録されていようと、国内のあらゆる企業が都道府県から始まる住所や地番で管理されており、この提案理由は意味をなさない。
この点を指摘する法律の専門家が一人も現れなかったことが不思議だが、敢えて言えば野村のレトリックが功を奏したと言えようが。
野村はあえて「これは公表しなくていいのではないか」という提案を掲載することで、提案を精査し、どうしても公表できないものを公表しなかったのだ、という演出をしかけたのだ。
部外者はその野村の演出に見事に騙された。
商号変更と和式便器であれば、商号変更の方を付議するのではないかと提案者自身も考えていた。
ところがそうはならなかった。
もう一つ排除できる提案があったにも関わらず指摘する者が一人として存在しなかった点については、法律家の不勉強だけを指摘するわけにはいかないが、一応説明しておこうか。
それはこの提案である。
第7号議案 収益対人件費率の制限と万歳三唱について
【提案の内容】
貴社における収益対人件費率は二割以下とし、株主総会における万歳三唱を取りやめる旨を定款に明記する。
【提案の理由】
「報酬と人事評価の適正化」のために提案する。
「ペイ・フォー・パフォーマンス(業績に応じた支払い)」の原則に基づけば、マイナスのパフォーマンスに対してはマイナスの報酬で応えるべきではあるが、さて、業績が落ちているにも関わらず人件費が増加している現在の状況に関しては、とりあえず「内部統制システムが崩壊している」とでも評価せざるを得ない。
収益に対する報酬のコントロールを確実に行うことによって、この奇怪な企業体がまだ息をしており、錯乱の手前で踏みとどまり、市場の信頼を回復することを望んでいるという意思を明らかにすることになろう。そもそも収益対人件費率が4割強では株主への高配当は望むべくもないというものだ。また会場は狭隘で腋臭の株主も多いことから恒例の万歳三唱は止めてもらいたい。
この提案は法律家でなくても排除できる。
この提案は二つの提案の組み合わせに対する反応と海外での反応を期待したものだが、それ以上に株主総会に参加したことのない部外者、法律家ばかりが騒いでいたことを明らかにもした。
実際に108回の総会に初めて参加した人たちは、最後にきょろきょろとあたりを見回していた。
はい、その通り、総会のしめに万歳三唱は行われないのだ。
それを野村の社員は知らないわけはない。
弁護士先生も、仮にも会社法を教えているなら、本来はそのくらい知っていてもいいはずだが、あっさり「そういうものなんだろうな」と思い込んでしまっていたわけだ。
実際、野村でなくとも一体どこの株主総会で万歳三唱が行われているというのだろう?
この提案の公表も野村の演出である。戦略的には次回以降の報酬に対する提案を牽制する目的であろうが、文学的に読み取れば、提案者の気ままさ、無軌道さが印象付けられることであろう。
では、そうまでして野村が隠そうとしたものは一体なんだったのか?
Prime Minister Jacinda Ardern tries her hand at Japanese calligraphy.
— Jason Walls (@Jasonwalls92) April 21, 2022
It says Kiwifruit. pic.twitter.com/lQkyfM1N27
