49.趣味の話 読書(15)
はじめに
前回までの5回は伊勢・熊野・京都の旅行の記録でしたね。
まだまだ旅行の記録はありますが、それだけだと味気ないので、久しぶりに本の紹介です。
前回の本の紹介はもう2ヶ月以上前になるそうです。
1.今回紹介する本は…
太宰治『走れメロス・東京八景 他八篇』(岩波書店、2024年)です。
岩波書店で編纂されたのが2024年。
収録作品と括弧内で初出を表すと、
・駆込み訴え(「中央公論」1940(昭和15)年2月)
・走れメロス(「新潮」1940(昭和15)年5月)
・きりぎりす(「新潮」1940(昭和15)年11月)
・東京八景(「文学界」1941(昭和16)年1月)
・清貧譚(「清貧譚」1941(昭和16)年1月)
・千代女(「改造」1941(昭和16)年6月)
・風の便り(「文学界」1941(昭和16)年11月、原題「風の便り」/「文芸」同11月、原題「秋」/「新潮」同12月、原題「旅信」)
(注 安藤宏)
(解説 安藤宏)
前回紹介した「女の決闘」から筆を止めることなく書き続ける、太宰治の真骨頂、やはり最盛期と言わざるを得ないと思います。
「私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ」――誰もが知る〈友情〉の物語「走れメロス」、自伝的小説として名高い「東京八景」ほか、昭和一五(一九四〇)―一六年発表の中期の傑作七篇。〈言文一致体〉の見事な達成である「駈込み訴え」、ユーモアに満ちた翻案小説「清貧譚」など、〈太宰入門〉として最適の一冊。
2.太宰治とは
太宰 治(だざい おさむ)
明治42(1909)―昭和23(1948)年。青森県北津軽郡金木村生まれ。旧制中学時代から習作を始め、昭和11(1936)年、第一創作集『晩年』を刊行。以後、『富嶽百景』『走れメロス』『津軽』『ヴィヨンの妻』『斜陽』等作品多数。
3.安藤宏とは
安藤 宏(あんどう ひろし)
1958年、東京生まれ。東京大学名誉教授。専攻は日本近代文学。著書に『自意識の昭和文学――現象としての「私」』『太宰治 弱さを演じるということ』『近代小説の表現機構』『「私」をつくる――近代小説の試み』『太宰治論』ほか。
4.『走れメロス・東京八景 他五篇』とは
ここで全7篇を紹介すると、所謂ネタバレになってしまう可能性を孕んでしまいますので、私が特に気に入った2作品を紹介します。
駆込み訴え
申し上げます。申し上げます。旦那さま。あの人は、酷い。酷い。はい。厭な奴です。悪い人です。ああ。我慢ならない。生かして置けねぇ。
冒頭のたった2行です。ですが、この勢い、テンポの良さ。引き込まれます。
太宰治のキリスト教の造詣の深さも表れているにも関わらず、何故か下sく感じる。感服するばかりです。
東京八景
何か抽出すべき文言はないです。
上京してからの成り行き、言うなれば太宰なりの東京(とその付近の)「風景」が書き出されているように思います。
東京八景、東京の八つの景色。
原題の私たちが風景を撮ろう、描こうと思うとどうしても(スマートフォンの発達のお陰で)近接なものになりがちではないでしょうか。
太宰は景色を景色らしく、狙っているかなかの「富嶽百景」のようなかたちで遠くから見つめたり、終盤には「自分の今居る場所こそ風景の1つだ」と言わんばかりです(と私は解釈しました)。
曖昧模糊な紹介でした。
おわりに
敢えて「走れメロス」は外しました。
瑞々しい、感動を覚える作品に違いありませんが、あまりにも有名すぎるので。
これも数ヶ月前に読んだものではあります。けれども新潮社が発行した『きりぎりす』(1974年)に収録されている作品との重複も少なくなかったので、思い出すのはそこまで難しくなかったですね。
「風の便り」も読む度に、感じ入りるものがあります。
雑居な紹介になりました。
それではまた次回。
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