七福神シリーズ|弁財天【ジミーなキジの大変身】
森の中で弁財天がキジと出会うお話。
琵琶の音が、森に色を灯す
山々の木漏れ日がスポットライトのように差し込む広場で、
弁財天はふと足を止め、琵琶の弦を優しく爪弾いた。
ポロロン――。
その音色は金の粉のように舞い、
森の空気さえも至福の響きで満たしていく。
そこへ、一羽の茶色いキジが、
おずおずと羽をたたんで近づいてきた。
「弁財天様、あなたの奏でる調べはなんて美しいのでしょう。
それに引き換え、私のこの地味な姿……。
ああ、私は、うらやましい~
私だって、もっと美しくなりたいのです」
キジは、自分の枯れ葉のような羽根を見つめて深く溜息をついた。
弁財天は慈愛に満ちた微笑みを浮かべる。
「あなたも綺麗になれますよ。
さあ、強く、強く願いなさい。
あなたの心にある『愛』を形にするのです」
願いが、音に火をつける
「私は、誰よりも素晴らしい羽根を持ちたい!
愛する人を一目で虜にするような、鮮やかな姿になりたいのです!」
その切実な願いに応えるように、
弁財天の指が激しく、しかし繊細に琵琶をかき鳴らした。
「さあ、音に身を任せて。踊りなさい!」
羽根が光を帯び、星が宿る
弁財天の歌声が森に響き渡ると、
キジは夢中でステップを踏み、羽根を広げて舞い踊った。
するとどうだろう。
茶色かった羽根の一枚一枚に、
弁財天の着物の柄のような鮮やかな青や緑が差し込み、
みるみるうちに光を放ち始めた。
舞えば舞うほど尾羽根は滝のように長く伸び、
そこには「百の目」と呼ばれる不思議な模様が浮かび上がる。
まるで弁財天の音色が宝石となって羽根に宿ったかのようだった。
「ああ、なんてことでしょう!
私の羽根に、天の星が降りてきたみたいだ!」
キジはもう、ただの鳥ではなかった。
扇のように広げた豪華な羽根を纏う、
気高き 「クジャク」 へと生まれ変わったのだ。
「その輝きは、あなたの情熱が作り出したもの。
これからはその自慢の羽根で、愛する人を存分に魅了しなさいな」
弁財天が満足そうに頷くと、
クジャクは誇らしげに胸を張り、森の奥へと消えていった。
かつて恥ずかしがり屋のサギを桃色に変えて「フラミンゴ」にした弁財天は、
今度は地味だったキジに、世界一華やかなドレスを授けた――というお話。
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