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20代後半、未経験の女が左官屋に押しかけ弟子入りしたときの話。前編

私は新卒で6年働いた会社を辞め、縁もゆかりも無い建設業に転職した。
町家の左官職人だ。この世界に入るのに、女は不利だった。

誰も見ていなくても、勝手に書きますね笑


1. 前職の話

私は当時、冷暖房完備のお店で販売員をしていた。
今となっては考えられない好条件だ。

お客さんと話しながら商品を選んでもらうのは、とても楽しかった。
そんなに規模も大きくないし、従業員はみんな仲が良い。

昔は引っ込み思案で、接客業なんてホント無理…
と思っていたけど。

知らない人にも積極的に話しかけられるようになったし、
人との距離感も勉強させてもらった。

シゴデキ店長のあまえんぼ接客にドン引きしたことも、
今では良い思い出だ。

ちなみに、その店長は男だ。

店の開店時間が10時なのも魅力的だった。
朝はめちゃくちゃ苦手だから…


2. 転職のきっかけ

そんな私がなぜ左官屋に転職したかと言うと…

話せば長くなるので結果だけ言えば、
何かを自分で作ってみたくなったから。

ぶっちゃけ、左官屋のさの字も知らなかったが、
ひょんなことからそんな仕事があると知る。

壁を平面だと思っていた私はバカだった。
壁は3Dだ。

そう実感したのは、鏝絵というものを知ったとき。

調べるほどに魅力的だった。
材料によって、何でも作れる。

ジブリみたいな家も、
カッコいい龍の彫刻も、
重厚感のある版築も。

使うのは鏝だけじゃない。
何でもアリのチート感がすごいと思った。

でも、職人の世界は厳しいと聞く。
私に務まるだろうか。

不安は大きかった。


3. 退職を決めたとき

めちゃくちゃ悩んだ末に、
結局 退職することを決めた。

今あるものを手放すのは怖い。
転職の手続きすら、よく分かってなかったし。

暗がりに、手探りで突っ込んでいく怖さがあった。

でも、興味の方が勝った。
やらない後悔より、やる後悔。

上司は残念がってくれたけど、
「お前が決めたなら、止めても無駄なんだよなぁ。
なんかあったら戻ってこいよ。」
と言って、とてもあたたかく送り出してくれた。

このときのことがあったから、
私はへこたれても、理不尽にキレかけても、
左官屋を続けることができたのかもしれない。

感謝してもしきれない。


4. 現実を知る

いきなり職人の世界に飛び込むのは怖かったから、
まずは職業訓練校の門戸を叩いた。

左官メインではなかったけど、
いろんな職種の職人さんが教えに来てくれるところ。

建設業には一切関わりのない世界で生きてきたから、
ワンクッションあって良かったのだろう。

左官屋とひとくちにいっても、
ゼネコンに出入りしているところとか、
外構屋さんに近いところとか、
町家でひたすら数をこなすところとか、
変わった仕事をしている左官屋さんはほんの一握りだと知った。

左官屋の世界、広すぎた…

しかも、求人広告だけでは仕事内容がよくわからん。
これは…早々に詰んだ。


5. 親方との出会い

ちょうど頭を抱えていたその時期に、面白い仕事をしている親方に出会った。

仕事の写真をいろいろ見せてもらって、
いろんな材料で色んなことをしているという話を聞いて。

私は脳内で、ポ〇モンボールを準備し始めた。

君に、決めた☆

とはいえ、そう簡単にはものごと進まない。

年齢が行き過ぎている。
女を雇う気はない。

とまぁ、そんな感じだ。

10代の頃から修行してなんとか一人前の職人になれるんだ、ナメてもらっちゃ困る、みたいな、そんな話だったと思う。

でも、私はうんうん言いながら、だいたい聞き流していた。

時間は巻き戻せない。
性転換もしたくない。

つまり、それは私にはどうにもできない話だ。
どうにもできないことを理由にされても、困る。

だったら、できることを見せるしかない。

「なるほど。じゃあ、やったるわ。」

私は、謎に燃え上がった。


6.小さな前進

食らいつくことしばし、
現場の見学ならバイトという形で来ても良い、
という許可をいただいた。

お邪魔はしません。
お金もいりません。
出張費も自腹で行きます。
ぜひ貴重なお仕事を拝見させてください!!

そう、私は必死だった。
ちなみに、移動距離は600kmくらいだ。
夜行バス、バンザイ。

とても面倒見の良い親方で、
結局お金は出してくれた。
タダ働きさせるのは俺の主義に反する、と。

カッコいい職人さんだ。
…まぁ、その後いろいろあるんだけど笑

でも、そういうところは今でも尊敬できる。

そして、今思えば、
まさかここまでは来るまい、というのもあったと思う。

いやぁ、めんどくさかっただろうなぁ、親方…(   ᷄ᾥ ᷅ )チッ


長くなってきたので、
続きはまた次回。


自分語りはいいから、中身のある記事を読みたい!
って方はこちら笑


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