20代後半、未経験の女が左官屋に押しかけ弟子入りしたときの話。後編
前回は、前職から転職のきっかけについて書きました。
需要は特になさそうだけど、続けます笑
遠路はるばる600km離れた地で、
職場体験という名のアルバイトをさせてもらったところまで書いた。
その後も、連絡を取り続け、
職業訓練校での左官について質問し、
猛アタックの末、
つ い に 言 質 を 取 っ た 。
どうしても地元で良い左官屋が見つからなければ、
弟子にしても良いと。
それはもう、可及的速やかに、迷いなく、
引っ越しの段取りを始めた。
◯日に卒業なので、◯日からお世話になっていいですか?
と。
住むところは用意してくれるということだった。
ありがたや。。
引っ越しの日が近づくにつれ、
それまでの自分の勢いにビビり始め、
行きたくないよーー!!!
とこっそり号泣したのはナイショだ。
そりゃあ、全く見知らぬ土地で、
何すれば良いかわからない仕事で、
言葉や文化すらも違う土地で(国内だけどw)、
歓迎されてないのに突撃するんだ。
ちょっとナーバスにもなる。
でも、それが私のやり方だった。
チャンスは勢いのある時に掴む。
後悔したところで、
もう進むしかないところまで行けば、
後はどうにかなるもんだった。
いや、その時は本気で後悔してたけど。
とにもかくにも、
荷物をまとめて引っ越した。
ボロい一軒家。
汲み取り式トイレ。
なんか白いうごうごした虫さんが次々に湧いて出てくる。
泣く泣く、割り箸を使って
トイレの中にお帰りいただいていたのはいい思い出だ。
格安で住まわせてもらうのに、
文句は言えない。
他所の店では、
倉庫にテント張って住んでるお弟子さんがいた、
なんて話も聞いた。
…職人の世界、おそろしいところよ。。
そんなこんなで、
他の職人さんにもご挨拶する。
みんな口には出さないが、
「女か…」という空気はビシバシ感じる。
でも、根性あるヤツ、
というのは受け入れられやすいらしい。
「ようけこんな田舎まで来たなぁ。」
というようなことを言ってくれた。
※当時、方弁がきつくて何を言われたのか、
ぶっちゃけほとんど分かってなかった。
警戒されているというよりは、
どう扱えばいいかわからない、
といった感じだったのかもしれない。
すぐやめるかもしれないし、
女がいるだけで気を遣うことが増えるから。
こっちは気にしてなくても、
やっぱり男と同じようには扱えない、
という気持ちがどこかにあるようだ。
みんな、紳士な方々だったから。
とにかく早く馴染まなくては、
という一心で、できることは何でもやった。
仕事の段取りを必死で覚え、
手元をするときは常に職人さんが次に何をするのか考えて、
先回りして用意した。
始めのうち、現場には乗り合わせで連れて行ってもらっていたから、
車のなかでは頑張って話しかけた。
会話が成立していたのかも怪しいけど笑
基本のイントネーションが違うだけで、
こんなにもわからないものか…と少し凹みながら。
熊手のことを「ガンジキ」と呼ぶんだ。
コーヒーミルクは「フレッシュ」だし、
ビニールは「ナイロン」。
何ならゴム手袋のことまでナイロンと呼んでいた。
親方、それはラテックスです。。
もはや外国語である。
余談だが、近くのおすすめのスーパーを聞いたら、
「ジャスコ」と言われた。
Googleマップを見たら、
……「イオン」が出てきた。
職人さんは朝が早い。
早すぎる。
田舎の小さな現場に現地集合なのに、
7時30分くらいにはもう、おっちゃんたちは現場にいた。
結局、始業の8時まで談笑してるだけなんだけど。
早起きは早々に諦めた。
いや、そんなに早起きでもないか…笑
日々疲れすぎて起きれなかった、
と言い訳しておこう。
社会人としてどうかとは思うが、
始業前の7時45分くらいで勘弁してもらうことにした。
…心のなかで笑
その代わり、着いたらすぐに段取りを始める。
おっちゃんたちが動き出す8時には、
ちゃんと仕事ができるようにする。
仕事が始まれば、
分からなければ勝手に進めないで、ちゃんと聞く。
重いものでも、工夫して運びまくった。
若かったのもある。
同じことを何度も訊かないように、
帰ったら一日を振り返ってメモを取る。
とにかく、がむしゃらにやってた。
女が不利だと言ったのは、
実は少し語弊がある。
女でよかった、と思うことも少なくない。
①ハードルがめちゃ低い
重いバケツひとつ持っただけで、
「お、やるやねーけ!」
「重くねぇか?無理すなよ!笑」
と、あたたかい声援が飛び交う笑
②何をしても面白がられる
ちょっとした珍獣ポジションだ。
「これやってみ!」
「お、そんなこともできるんけ?!」
「大したおなごじゃのー!」
慣れると、めちゃ構ってもらえる。
③ちゃんと教えてくれる
「これはこうすんだ。」
「ええか、見とけよ!」
「ほれ、やってみぃ!」
横で見ていた兄弟子が、
「おっちゃんたち、ちゃんと言葉で説明できるやんけ!」
「俺のときはすぐ手ぇ出したやんか…」
とハンカチ食いちぎる勢いで悔しがってた。
そう、男性にとっては当たり前なことも、
女がやると面白いらしい笑
とはいえ、それにあぐらをかいて、
いい気になってはいけない。
でも、男の子よりも格段にハードルが低いのは確かだ。
やればやっただけ、認めてもらえる。
最終的には、
「お前が男だったらのぅ、惜しいのー。。」
と呟かれるまでになった。
もちろん、褒め言葉だ。
そんな感じで、
私は左官屋としてのスタートを切った。
ここから先、身体の使い方も、人との距離感も、
少しずつ覚えていくことになる。
たぶん、この頃の私は若いからと少し無理をしていて、
じわじわと腰がやられていった。
それからは、
「現場でラクする方法」を探し始めて今に至る。
👇️最初はこんな感じでした。
でも、今は考え方がわかってラクになりました!

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