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6畳の部屋でプラレール│繋がらなかった線路の続きを息子と作っている‐2026年5月25日(月)


私自身小さい頃、かなりの量のプラレールを持っていたらしい。


自分では、そこまではっきり覚えていない。
ただ、プラレールが家にあった記憶はある。
息子のように新幹線や在来線を集めていたわけではなく、
どちらかというとトーマスを集めていた。
親がレールを作ってくれていた記憶は、ほとんどない。
もしかしたら、やってくれていたのかもしれない。
それか上の兄や姉が作ってくれていたのかもしれないが、親も子どもと遊ぶほうだったと思う。だから、まったく作ってくれていなかったとは思わない。でも、記憶にはあまり残っていない。


微かに覚えているのは、端と端が繋がっていないレールだった。


部屋の中に、青い線路が伸びている。
その上を、トーマスのなかまたちが走っている。
でも、最後は繋がっていない
当然、脱線する。走る。落ちる。止まる。
自分で取りに行く。
またレールに戻す。また走らせる。そして、また落ちる。


子どもだったから、それでも楽しかったのだと思う。
でも、大人になってから思う。

俺はたぶん、あの端と端を繋げたかった。
途中で終わる線路ではなく、ぐるっと回って戻ってくる線路が見たかった。


「あー脱線したー」
という母親の言葉は覚えている。
だっせん、はその時覚えた。


でも、俺がやりたかったのは、たぶんそういう遊び方ではなかった。
トーマスが脱線しないで、また自分の前に戻ってくるところが見たかった。だから息子には、レールの端と端を繋げて走らせてほしかった。

プラレールは、ただ電車を走らせるおもちゃではないと思っている。線路をどう繋げるか。どこで曲げるか。どこで戻すか。どこに駅を置くか。どこを高架にするか。
まっすぐ走らせるだけなら、床でもいい。


逆にトミカならどこでも走れる。畳でも、フローリングでも、テーブルの上でも、どこでも走る。


でもプラレールは、レールがある。
電車が自分の手を離れて、決めた道を走る。

ぐるっと回って、また戻ってくる。
自分で作った道が、ちゃんと機能する。そこが面白い。


長男がまだ半年くらいの頃、
たしか俺はもうドクターイエローをあげていた。
早い。どう考えても早い。まだ線路を繋げられるわけでもない。
電車を理解しているわけでもない。
そもそも、プラレールで遊べる月齢でもない。
でも、あげた。たぶん、一緒にプラレールをやりたかったのだと思う。


一応、言い訳はあった。プラレールは知育玩具らしい。線路を繋げる。形を見る。手を使う。電車を走らせる。
道を考える。なんとなく良さそうではある。
ブロックはまだ積めない。小さいものは食べたら大変。
トミカはどこでも走れるけど、逆にどこまでも行ってしまう。
その点、プラレールはレールがある。
ちゃんと線路を組めなくても、最初は畳のフチを走らせてもいいな、くらいに思っていた。
私がおばあちゃんちの畳のフチ。良く走らせていました。

何かの境目を道にすれば、電車は走るんじゃないかと思っていた。でも今考えると、だいぶ無理がある。
その時から俺は電車そのものより、電車が走る場所のことを考えていたのかもしれない。


長男は、プラレールのおかげで電車がかなり好きになった。
ただ、正確に言うと、実物の電車そのものより、おもちゃの電車が好きな気がする。
駅で本物の電車を見るのも好きだ。
踏切で電車が通るのも見る。新幹線も好きだ。
でも、それ以上に、部屋の中で線路を繋げて、その上を電車が走ることが好きなのだと思う。自分で作った道を、電車が走る。たぶん、そこが好きなのだと思う。
そこは、少し分かる。
本物の電車は、こっちが何もしなくても走っている。
決まった線路を、決まった時間に、決まった場所へ向かう。
それはそれですごい。
決して自分ですべてをコントロールしているわけではない
からかもしれない。


でも、プラレールは違う。線路を作るところから始まる。どこを通すか。どこで曲げるか。どこに駅を置くか。どの電車を走らせるか。どこで止まるか。どう戻ってくるか。
全部、自分で決められる。長男が好きなのは、たぶん電車そのものだけではない。電車が走る街を、自分で作ることなのだと思う。


長男が大きくなってから、プラレールは少しずつ家に増えていった。
最初は全部リビングにあった。
プラレールも、トミカも、絵本も、ブロックも全部リビングにあった。子どもが遊ぶ場所だから、リビングにあるのは自然だった。すぐ遊べる。親の目も届く。片付ける場所も近い。
理屈としては正しかった。


でも、全然片付かなかった。本当に片付かなかった。

リビングにプラレールがあった時も、自分も線路は繋げていた。端と端を繋げて、電車を走らせることはあった。
ただ、今ほどの頻度では広げていなかった
リビングで広げると、遊びが分散する。
テレビを見ながらプラレールを触る。途中で違う系統のおもちゃを出す。触る。気がついたら、またプラレールを触っている。
子どもは、ひとつの遊びだけをきれいに終わらせてくれない。


プラレールをやっていたはずなのに、パズルをやり始める。
また電車を走らせている。
テレビも見ている。別のおもちゃも出ている。その状態で、ご飯になる。風呂になる。寝る時間になる。
そして、片付けになる。これが本当にだるかった。
作るより、片付けるほうがだるい。
しかも、リビングは生活する場所だ。通る。座る。寝転がる。洗濯物もある。ご飯もある。テレビもある。その真ん中にレールが広がる。床にはいつも何かが落ちていた。
青いレール。黄色い橋脚。駅。貨車。トミカ。よく分からない小さい部品。


夜、少し暗いリビングを歩くと、だいたい何かを踏む。

プラレールのレールも痛い。橋脚も痛い。
あれはもう小さい仮設材だ。
床に落ちていたら普通に危ない。
でも、トミカは別格だった。小さい。硬い。重い。足の裏に、車体の角がそのまま入る。
ある日、ママがトミカを踏んだ。血が出た。もう限界だった。
完全にぶちギレた。
毎日毎日、おもちゃが床に落ちている。
片付けても片付けても戻ってくる。踏むと痛い。しかも血が出た。もう遊びではない。事故だ。


現場で言えば、通路の真ん中に材料が散乱している状態だ。
誰かが踏む。転ぶ。ケガをする。原因は分かっているのに、何度も繰り返している。
普通に危ない。そこから、おもちゃの移動が始まった。リビングにあったおもちゃを、3階の空き部屋にまとめた。
いわゆる、プラレール部屋。6畳の部屋だった。


最初から、子どもの創造力を伸ばすために専用部屋を作ろうと思ったわけではない。
集中して遊べる空間を作ろうとか、きれいな話でもない。


リビングが危なかった。トミカを踏んで、ママが血を出した。
だから、おもちゃを移動した。
それだけだった。でも、そこから始まった。


6畳の部屋におもちゃを集めると、リビングは少し平和になった。その代わり、3階の空き部屋は一気におもちゃの現場になった。
プラレールを広げてもいい場所。
途中で終わっても、ひとまず残しておける場所。
片付けきれなくても、扉を閉められる場所。

それができた。これは大きかった。


リビングでは、毎回片付けないといけない。
途中で終わる。昨日の続きがない。広げたら邪魔になる。
誰かが踏む。空気が悪くなる。
でも、6畳の部屋なら違う。線路を伸ばしていい。駅を置いていい。橋を作っていい。車両基地を作っていい。途中でも残しておける。昨日の続きができる。


たぶん、自分がプラレールやる日が増えた理由も、
広げる頻度が増えた理由も、ここにある。
リビングにあった頃も、線路は繋げていた。
でも、毎回そこで終わっていた。
3階の6畳に移ってからは、続きができるようになった。
今日は丸く繋げる。明日は駅を増やす。次は橋を足す。さらに車両基地を作る。床が埋まったら、空中を考える。少しずつ、街みたいになっていった。


最初は、端と端が繋がればよかった。


自分が子どもの頃に見たかった景色は、それだった。
途中で終わらない。脱線しない。ちゃんと戻ってくる。
電車がぐるっと回って、また自分の前に来る。
それだけでよかった。


でも、長男はそれだけでは終わらなかった。
もっと駅を置く。もっと車両を並べる。道路を作る。踏切を置く。
車両基地を作る。橋を残したがる。
開発してはいけない場所が出てくる。父から見ると、ただの線路だった。でも長男から見ると、そこは街だった。


最初は、トミカを踏んで血が出たから、おもちゃを3階に移動しただけだった。リビングを安全にしたかっただけだった。
でも、その6畳の部屋で、プラレールはただのおもちゃではなくなっていった。


父が小さい頃に見ていた、端と端が繋がらなかった線路。
長男が半年の頃に、早すぎるドクターイエローを渡した父。
リビングで広げては片付けがだるくなっていた毎日。
トミカを踏んで、ママが血を出した日。
そこから3階に生まれた、6畳のプラレール部屋。
全部が繋がって、今の景色になっている。
息子のために線路を繋げているつもりだった。でも、本当は少し、自分のためでもあったのだと思う。繋がらなかった線路を、今度はちゃんと繋げたかった。途中で終わるんじゃなくて、ぐるっと回って戻ってくるところを見たかった。
そして今、その線路の上を、長男の電車が走っている。次男の電車も走っている。たまに父の作った高架も通る。三男は、まだよく分からない顔で見ている。


6畳の部屋でプラレール。

始まりは、たぶんそんなにきれいな話ではない。
でも今は、わが家の中にできた、小さな街みたいになっている。



昨日更新した6畳の部屋でプラレールシリーズです😆


これが6畳の部屋でプラレールをまとめたマガジンになります💪

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