平成の大合併が地域人口に与えた影響──旧市町村単位でみる「中心」と「周辺」の違い
これまでこのNoteでは、主に他の研究者の成果を紹介してきましたが、前回から少し方向を変えて、私自身がこれまでに国際査読誌に発表した研究について、AI(NotebookLM)を活用した音声解説を投稿していきます。英語で書かれた論文は、日本の政策実務者や一般の方にとってアクセスしづらく、専門的な表現や統計分析も理解のハードルになりがちです。そこでAIを活用して、研究の背景や発見、政策への示唆をわかりやすく音声で一般向けに日本語で紹介していこうと考えました。
🎧 音声解説はこちらです。
https://stand.fm/episodes/68bdba6e7d42b45d003069fc
今回解説する論文は佐桑健太郎氏(青山学院大学国際政治経済学部国際政治学科 准教授)との下記の共著です。
Suzuki, K., & Sakuwa, K. (2016). Impact of municipal mergers on local population growth: an assessment of the merger of Japanese municipalities. Asia Pacific Journal of Public Administration, 38(4), 223-238 (論文へのリンク)
研究の問い
「平成の大合併」は、1999年から2010年にかけて全国で進められた市町村合併です。目的は、行政の効率化や経済基盤の強化でした。しかし私たちは、合併が全ての自治体に平等なメリットをもたらしたわけではないのでは? と考えました。特に小規模な町村が合併すると、
行政機能が縮小する
公共投資が中心部に偏る
といったリスクがあり、周辺部では人口減少がむしろ加速する可能性を懸念したのです。
分析の方法
対象期間:2000年〜2010年
単位:合併後の市全体ではなく合併前の旧市町村単位で人口増減率を比較
主な発見
周辺部となった旧市町村
合併しなかった地域と比べて、人口増加率が約1〜2%ポイント低下
統計的に有意な差が確認された
中心部となった旧市町村
人口増加を促進する明確な効果は見られなかった
➡ 結果として、合併の影響は「中心」と「周辺」で不均一であることが裏付けられました。
政策への示唆
この研究は、平成の大合併が次のような可能性を示しています。
周辺部の人口減少をむしろ加速させた
スケールメリットの追求は、必ずしも全地域に恩恵を均等に与えるわけではない
むしろ新たな格差構造を生み出すリスクがある
データは2010年までのものですが、その後の長期的な影響を追うことが、今後の重要な研究課題です。
