今日を生きるということ#3
ー朝までの距離ー
夜は、
心の声を大きくする。
昼間は
なんとかやり過ごせていたことが、
夜になると
一斉に押し寄せてくる。
後悔。
不安。
孤独。
自分を責める
言葉たちが、
静かな部屋の中で
何度も反響する。
「もう、消えてしまいたい」
そんな言葉が
頭の中に
浮かんでしまう夜が、
私にもあった。
本当に
消えたいわけじゃない。
ただ、
これ以上この苦しさを
ひとりで
抱えきれないだけ。
それでも、
その夜の真ん中にいると、
出口は
どこにも見えなくなる。
時計の針は進んでいるのに、
自分だけが
取り残されているような感覚。
私はある夜、
布団の中で
天井を見つめながら、
何度も
深呼吸をしていた。
息を吸って、
吐いて。
それだけのことが、
その夜の
唯一の仕事だった。
何かを
前向きに考えようとしても、
言葉はすべて
空回りする。
励ましも、
正論も、
その夜には
居場所がなかった。
そこで、
ひとつだけ
決めたことがある。
「この夜を、
超えることだけを
目標にしよう」
明日を
良くしようとしなくていい。
人生を
立て直そうとしなくていい。
未来の話は、
今は
脇に置いていい。
ただ、
今のこの夜を、
朝まで連れていく。
消えてしまいたい夜を
超える方法は、
実は
とても小さい。
・明日を考えない
・答えを出さない
・自分を評価しない
その代わりに、
今ここにある感覚だけを見る。
布団の重さ。
部屋の静けさ。
遠くの生活音。
そして、
呼吸が、
まだ
続いていること。
私はその夜、
「生きなきゃ」とも
「頑張らなきゃ」とも
思わなかった。
そう思えない自分を、
責めることも
やめた。
ただ、
今は休んでいいと
自分に言った。
それは
許可のような言葉で、
救いのようでもあった。
不思議なことに、
それだけで
心の中の嵐が、
少しだけ
勢いを失った。
勇気は、
立ち上がることじゃない。
消えたい気持ちがある夜に、
それでも
布団の中に
留まっていること。
何もできなくても、
何も変えられなくても、
そこに
留まっていること。
それ自体が、
もう
十分すぎるほどの勇気だ。
もし今、
あなたが
同じような夜を
過ごしているなら。
どうか、
一人で
強くなろうとしないで。
誰かに話せなくてもいい。
元気な言葉を
持てなくてもいい。
何もできない夜が
あってもいい。
この文章を
最後まで
読んでいるあなたは、
もう
**「夜を超える途中」**にいます。
夜は、
永遠には
続かない。
朝が来るから
価値がある、
なんて
無理に言わない。
ただ、
夜は必ず、
形を変える。
今は
信じられなくてもいい。
信じる代わりに、
今日は
ここまででいい。
消えてしまいたい夜を、
それでも
越えようとしているあなたは、
弱くなんかない。
その
静かな踏ん張りを、
私は
ちゃんと
知っています。
※本作は『今日を生きるということ』をテーマで綴ったシリーズ作品です。
前作はこちら →https://note.com/koji_breath/n/ncee0f843742d
