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雇用を守るために、仕事を守ってはいけない

前職時代のマネージャー研修で教わったことで、20年近く経った今でも、自分の中に強く残っている考え方があります。

それは、マネジメントの仕事とは、矛盾を止揚することである、ということです。この考え方はマネジメント以外でもどこでも応用できます。

ビジネスの現場には、常に矛盾があります。

売上を伸ばしたい。
→ でも、生産性も上げたい。

短期で利益を出さねばならない。
→ でも、中長期の投資も必要。

人を増やしたい。
→ でも、一人あたりの利益も高めたい。

昇給させたい。
→ でも、場合によっては減給や配置転換も考えなければならない。

社員の成長を信じたい。
→ でも、経営としては成果を出せない社員を見極めなければならない。

ビジネスにはこういう矛盾があり。市場からは両方求められます。新人マネージャーは経営から一見ベクトルが真逆と思える指示を渡されて、「どうしたらいいんすか!」「経営は言っていることが真逆で一貫性がない!」「両立はできないです、優先順位はどちらですか!?」と嚙みついたりします。

そういうマネージャーを経営者は生温かい視線で見つめています。

経営やマネジメントの仕事は、きれいごとを言うことではありません。
どちらか一方を選んで終わりにすることでもありません。

ビジネスの現実とは、こうした矛盾が同時に存在している状態そのものです。この矛盾を止揚して苦しむのが仕事です。苦しんで絶望したらいいんです。苦しめる人がいいマネージャーであり経営者です。

一見すると両立しないものを、どうすればより高い次元で成立させられるのか。

その答えを探し続けることが、マネジメントの本質なのだと思います。

「人間の可能性を信じる」だけでは足りない

生成AIの時代になり、よく「人間にしかできないことがある」「人間の可能性を信じよう」という論説を見かけます。

もちろん、その考え方自体を否定するつもりはありません。

人間には感情があります。
創造性があります。
関係性をつくる力があります。
現場を動かす力もあります。

ただ、ビジネスマンとして、経営者として考えるなら、それだけでは足りないのではないかと思っています。

むしろ一度、逆側に全振りして考えてみる必要がある。

つまり、人間の可能性を信じない、という前提で考えてみるということです。

これは、人間を軽視するという意味ではありません。
社員を大事にしないという意味でもありません。

むしろ逆です。

企業として本当に雇用を守り、成長機会をつくり、社員が活躍できる場を増やしていくためには、まず冷徹に現実を見る必要がある、ということです。

生成AIで「人の役割はほぼ残らない」と考えてみる

生成AIの進化を見ていると、これまで人間が担ってきた知的労働のかなりの部分は、AIに置き換わっていくと考えたほうが自然です。

調査する。
要約する。
資料をつくる。
文章を書く。
コードを書く。
データを分析する。
論点を整理する。
仮説を出す。
改善案を考える。

これらは、すでにAIがかなりの水準で実行できるようになっています。

もちろん、現時点では人間の確認や判断は必要です。

しかし、だからといって「やはり人間にしかできない」と安心するのは危険です。

今はまだ人間が必要でも、数年後も同じとは限りません。

むしろ経営者は、人でしかできないことを無理に探さないくらいの姿勢で考えたほうがいい。

「これは人間にしかできないはずだ」と考えるのではなく、
「これもAIでできるようになるのではないか」と考える。

「人間の役割は残るはずだ」と考えるのではなく、
「人間の役割はほぼ残らないとしたら、会社はどう設計すべきか」と考える。

一度、人間の可能性を「信じない」ほうに極端に振り切って考えることで、初めて見えてくるものがあると思います。

それでも、企業の成長には人が必要である

ここに大きな矛盾があります。

生成AIによって、人の役割はどんどん減っていく。
しかし、企業の成長には、やはり人が必要である。

これは矛盾しています。

でも、まさにこの矛盾に向き合うことが、これからの経営の重要なテーマなのだと思います。

人が不要になるから、人を減らせばいい。
そんな単純な話ではありません。

一方で、人が大事だから、今まで通りの働き方を守ればいい。
これも違うと思います。

大事なのは、AIで置き換えられる仕事を守ることではありません。

AIを前提にしたうえで、人がより大きな価値を出せる会社に作り替えることです。

そのためには、人の役割を再定義する必要があります。

作業者としての人ではなく、
AIを使って成果を出す人。

調べる人ではなく、
問いを立てる人。

資料をつくる人ではなく、
意思決定を前に進める人。

指示を待つ人ではなく、
AIと一緒に仮説をつくり、検証し、改善していく人。

このように、人の役割そのものを変えていく必要があります。

雇用を守るために、仕事を守ってはいけない

ここも重要な逆説だと思います。

雇用を守ろうとすると、つい今ある仕事を守ろうとしてしまいます。

でも、生成AI時代において、仕事を守ることが雇用を守ることにつながるとは限りません。

むしろ、古い仕事を守ることが、会社全体の競争力を落とし、結果的に雇用を危うくします。

AIによる業務変革の抵抗勢力になってはいけない。
https://note.com/koji_kawamoto_sm/n/nd7097a75d505

だから、経営者として考えるべきことは、
「この仕事をどう守るか」ではなく、
「この人が、AI時代にどう価値を出せるようになるか」
です。

仕事を守るのではなく、人の成長機会を守る。
役割を固定するのではなく、役割を更新し続ける。
過去の成功パターンを守るのではなく、未来の勝ち筋に人を移動させる。

そのためには、会社側にも覚悟が必要です。

AIを導入するだけでは足りません。
評価制度も、育成も、採用も、組織設計も、全部変える必要があります。

「AIを使ってください」と言うだけでは、人は変わりません。

AIを使う人が評価される。
AIで生産性を上げた人が報われる。
AIによって役割を変えた人に、新しいチャンスが与えられる。

そういう会社にしていかなければならない。

矛盾から逃げない会社が強くなる

売上拡大と生産性改善。
人員拡大と一人あたり利益の向上。
昇給と厳しい評価。
人を信じることと、人の限界を直視すること。
AIで人の役割が減ることと、企業の成長には人が必要であること。

これらはすべて矛盾しています。

でも、現実の経営は矛盾だらけです。

だからこそ、マネジメントの仕事は、矛盾をなかったことにすることではありません。
どちらか一方を正義にすることでもありません。

矛盾を受け止めたうえで、より高い次元の答えをつくることです。

生成AI時代の経営においても、まさにそれが問われているのだと思います。

人間の可能性を信じる、という論説がよくあります。とっても耳障りがよいです。聞いてて安心しますね。

ただし、その前に一度、人間の可能性を信じない前提で考えてみる。

人の役割はほぼ残らないとしたら、会社をどうつくるのか。
そのうえで、雇用を維持し、拡大し、人がより大きな価値を出せる組織にするにはどうすればいいのか。

この順番で考えることが、これからの経営には必要なのだと思います。

矛盾から逃げず、矛盾を止揚する。

それが、AI時代のマネジメントに求められる仕事なのではないでしょうか。

そして、当社はかなり本気で、こういう考え方に振り切っている会社です。

人間にしかできない仕事を探すのではなく、まずAIでどこまでできるかを考える。
これまで人がやっていた仕事を守るのではなく、AIを前提にして人の役割を再定義する。
そのうえで、企業としてどう成長し、雇用を維持し、さらに拡大していくのかに向き合う。

そういう矛盾だらけのテーマに、真正面から取り組んでいます。

AIに全振りした環境で、これからの時代に通用するビジネススキルを鍛えたい。
AIを使いこなす側に立ち、企業変革の現場で成果を出せる人材になりたい。
きれいごとではなく、現実のビジネスの中で、自分の力を試したい。

そう思う方は、ぜひ当社に応募してきてください。
▼採用情報
https://www.sora-michi.co.jp/career/

▼株式会社SORAMICHI
SORAMICHIは、CX(カスタマーエクスペリエンス)領域に強みを持つ、独立系のマーケティングコンサルティングファームです。戦略立案から実行支援、システムインプリメンテーションまで一気通貫で支援し、事業成長に直結する成果を重視します。

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