創作活動、音声配信、コミュニティ活動。noteを縦横無尽に楽しむコッシーさんの原動力とは?
気になるnoteクリエイターに、國學院大學メディアnote編集部がお話を聞いてみた企画。今回ご登場いただくのは、介護の仕事の傍らでエッセイや小説などの創作活動に勤しむコッシ―さんです。創作活動だけでなく、たくさんの〝ノー友〟との交流も楽しんでいるコッシ―さんに、note内でのコミュニティの作り方や、活躍の場の広げ方について伺いました。
——介護の仕事に就かれているそうですが、普段はどのような業務をされているのですか。
入居施設やデイサービス、訪問介護などを手掛ける介護事業部の統括をしています。僕自身が直接介助をすることは少ないのですが、入居施設の施設長を兼務しているので、入居者さんたちと接する機会は多いですね。皆さんとお話をしたり、一緒にご飯を食べたりしながら現場の声を拾い上げて、どう過ごしやすい環境にしていくかを考えています。

——2020年3月からnoteを始められたそうですが、きっかけを教えてください。
noteを始めたのは、新型コロナウイルスの流行がきっかけでした。ちょうど日本でもコロナの感染者が確認され出した頃で、厚生労働省から「介護施設でも感染予防に努めなさい」というお達しが出されたのですが、どんな対策をしたらいいのか、まだよく分かっていなかったんですね。
そんなときに、介護施設のコロナ対策について書かれた記事をnoteで見つけて、その情報がすごく役に立ったんです。それをきっかけに、経験したことや知っていることを自分でも発信してみたいなと思うようになりました。
「介護関係の方々と情報交換ができたら」という想いもあり、ユーザー同士の交流が活発にできるnoteを情報発信のツールに選びました。
——コッシ―さんの文章には温かなお人柄がにじみ出ていますが、どのような想いで発信されているのでしょうか。
そう言っていただけるとうれしいのですが、最初の頃は今とはまったく違う堅苦しい雰囲気だったんですよ(笑)。
「デイサービスにおける感染対策とは」といった真面目なテーマを取り上げていたのですが、自分の経験や知識なんてたかが知れているものだから、おもしろい記事が全然書けなくて……(苦笑)。ひと月も経たないうちに方向転換をして、自分が本当に書きたいと思う記事を書くようになりました。
調べれば誰でも分かるような話ではなくて、介護の現場で実際に感じたことや、おもしろかったり、感動したり、うれしかったエピソード——自分の感情が揺れた出来事を書くようになってからは、コメントをいただいたり、共感していただく機会が格段に増えましたね。特別な想いを込めているわけではありませんが「こんなことがあったから聞いてほしい!」というスタンスで、日々の出来事を書き連ねています。
——コッシーさんが、仕事をする上で大切にされていることはなんですか?
介護の仕事に就くときに、「相手の話は最後まで聞きなさい」と先輩に言われたのですが、この教えは、10年近く経った今でも大切に守っています。高齢の方と接する仕事ですし、中には認知症の方もいらっしゃるので、同じ話を何度も聞くことが多いのですが、先回りをして話を横取りしたり、遮るようなことはしないと決めています。僕たちにとっては何度目かの話でも、その方にとっては初めて話をする気持ちでいらっしゃるので。
相手の話を最後まで聞くことで生まれる信用や信頼ってあると思うんですよね。前に聞いたことがある話でも、初めて聞くようなリアクションをすると、皆さん喜んでいろいろな話をしてくださるんですよ。
よく「コッシ―さんはリアクション上手ですね」と言われるのですが、note内でも、コメントや感想を書くときは、自分が言われてうれしいことを意識的に書くようにしています。誰でも褒められたらうれしいじゃないですか! 僕も褒めてもらいたい一心で、noteを書いています(笑)。
——エッセーや小説など、創作活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
noteでつながった、くまさんというクリエイターさんが、2021年に「2000字のドラマ」というnote内の小説企画に応募されたんです。それまでもくまさんの素敵なエッセイを楽しく読ませてもらっていたのですが、初めて書かれたというその小説もまたすごく良くて。「僕も書いてみたい!」と触発され、応募をしてみたのが創作活動の始まりでした。くまさんのほかにも、同じ時期に創作活動を始めたあやしもさんという方もいらっしゃって、そのお二人が頑張っていると、「自分も負けていられない」と創作意欲に火がつきます。
——これまで書かれたものの中で、とくに思い入れのある作品はありますか?
「風のバイオリニスト」という作品は、自分でも気に入っています。玉三郎さんというクリエイターさんが描いたイラストからイメージを膨らませて書き上げた作品なのですが、それを読んだ玉三郎さんがなんと登場人物のイラストを描いてくださったんです。創作活動がきっかけで新たな創作物や交流が生み出されていくのもnoteの魅力だと感じています。
——コッシ―さんにはたくさんのノー友さんがいますが、現在は何名ぐらいのクリエイターさんと交流がありますか?
note内でコンスタントにやりとりをさせていただいている方は、50名ぐらいいると思います。
——ノー友を増やすコツをぜひ教えてほしいです!
自分が付けたコメントや付けてもらったコメントがきっかけで仲良くなる場合がほとんどですね。「好きだな」と思うクリエイターさんのまわりには、自分と同じような感性を持った方が多くいらっしゃるんですよね。
コメント欄でよくお見掛けしている方が書かれた記事を読みに行って、「いつもコメント欄で見ています」というメッセージを残すと、交流が生まれることが多いです。「同じ人を好き」という共通項があるので、すぐに仲良くなれるんですよ。こういうつながりが縁で、コミュニティができあがっていくことが多いですね。noteの世界を飛び出してリアルでお会いするノー友さんもたくさんいますが、共通の話題があるので、初めてお会いしたときも「初めまして」という感覚はありませんでした。
「初めての方に何をコメントしたらいいか分からない」と悩んでしまう方もいるかもしれませんが、別に難しいことを書かなくてもいいんです。「おもしろかった」「感動した」という気持ちを素直に書くだけで、書き手はめちゃくちゃ喜びますから(笑)。コメントがきっかけで自分の記事を読みにきてもらえることもありますし、躊躇せずに書き込むことをおすすめします。
——2024年の「創作大賞」ではベストレビュアー賞を受賞されたそうですね。改めて、おめでとうございます。
ありがとうございます! 目標としていたベストレビュアー賞を受賞できて、本当にうれしかったです。もともとは2023年にベストレビュアー賞を受賞された豆島圭さんと、はそやmさんからお話を伺って「僕もベストレビュアー賞が受賞できたらいいな」と思ったのが賞を目指したきっかけでした。
とくに豆島さんからはいろいろとアドバイスや激励をもらっていたので、豆島さんもベストレビュアー賞を受賞したと知ったときは自分のことよりもうれしかったですね(笑)。授賞式へは思い出作りのような軽い気持ちで参加したのですが、自身の作品に誇りを持っている受賞者の方の姿がすごく格好良くて……。スピーチに感化されて、創作意欲にまた火がついてしまいました(笑)。
授賞式の会場ではたくさんのクリエイターさんともお会いすることができたので、とてもいい刺激を受けました。今度は自分の作品で評価をしていただけるように、また創作活動をがんばりたいと思います。
——これまでに何本ぐらいの作品を創作されたのでしょうか?
今までに書いたエッセイや小説は70~80本くらいです。精力的に創作活動に打ち込んでいた2024年は1年間で50本の作品を書きました。ピリカさんというクリエイターさんが主宰している「ピリカグランプリ」というショートショート作品のコンテストがあったのですが、どうしてもそこで賞をとりたかったんです。
——「ピリカグランプリ」の応募作「姉の下描きを弟は丁寧になぞる」は、お互いを想い合う姉弟の絆を描いた心温まる作品でしたが、どのようにして着想を得たのでしょうか?
コンテスト側から与えられたテーマが「紙」だったので、習字教室の思い出と婚姻届のストーリーをつなげられたら素敵な物語を紡げるのではと考えました。子ども時代の話として登場する習字教室のストーリーは、実際に僕が体験した姉とのエピソードです(笑)。
残念ながら受賞は果たせなかったのですが、「すごくいい作品を書き上げることができた!」と思っているので結果には納得しています。なによりうれしかったのは、「どんどん上手になってすごい!」と褒めてくださったり、「コッシ―さんの作品を読んで私もがんばりたいと思いました」と応援してくださるノー友さんがいたことですね。とても励みになり、力になりました。皆さんには心から感謝しています。
——現在は執筆活動だけでなく、音声メディアのパーソナリティとしても活躍されていますね。
はい。「すまいるスパイス」という音声メディアでパーソナリティをやらせてもらうようになってからは、note内の交流の幅が一気に広がりました。
「すまいるスパイス」はもともと、ピリカさんが始めたコンテンツで、ゲストで呼んでいただいたことがきっかけで「一緒にやりませんか」とお声がけいただいたんです。それまでの交流の有無に関わらず、note内の記事や作品を読んで「気になる!」「好きだな」と思った方にお声がけしてゲストにお越しいただいているので、今まで以上にたくさんのクリエイターさんとつながれるようになりました。
——メンバーシップコミュニティ「ピリカスタジオ」を立ち上げたそうですが、発足の経緯を教えてください。
僕も作品を応募した「ピリカグランプリ」は、ピリカさんがクリエイターさんを応援するために個人で立ち上げたコンテストなんですね。これまではピリカさんが自腹を切って活動を続けてくれていたのですが、どんどん規模が膨らんでいって。昨年は189人の応募があったそうです。
参加者が増えること自体は大変喜ばしいことなのですが、問題はピリカさんの経済的な負担。創作活動を広げてくれる素晴らしい場所を、経済的な理由で失ってしまうのはとてももったいないので、メンバーシップコミュニティを立ち上げました。僕と同じように「ピリカさんの活動を応援したい!」と思う人がきっといるだろうと思ったからです。料金は月額300円(初月は無料)。みんなで少しずつお金を出し合って、大切な場所を守っていけたらと考えています。
——現在は何名ぐらいのメンバーさんがいるのでしょうか?
発足してからまだ2か月弱しか経っていないのですが、すでに30人ぐらいの方が賛同してくださっています。メンバーシップの活動としては、ピリカさんを応援したい「同志」に向けたラジオや記事の限定配信をnote上で行っています。「すまいるスパイス」のメンバーも賛同してくれているので、彼らにも手伝ってもらいながら、こまめな配信を心がけています。メンバーさんの投稿も頻繁にチェックしているので、そこでも交流を深めていますよ。
ピリカさんの活動を応援するのはもちろんなのですが「ここに来ると癒される」と思ってもらえるようなコミュニティにしていけたらうれしいですね。あとは、せっかく創作活動を刺激し合える環境にいるので、一緒に作品づくりに励んだり、何か形として残せていけたらいいなと思っています。
——これから挑戦してみたいこと、目標はありますか?
5月に開催される文学フリマにすまいるスパイスのメンバーや豆島圭さんと一緒に出店を予定しているので、いまはその制作活動に励んでいます。素晴らしいイラストを描く着ぐるみさんというイラストレーターさんがいるのですが、彼の作品が世に出ていないのがすごくもったいないな、と思いまして。彼のイラストに僕が書いた物語を添えて、絵本を作っているところです。noteを始める前は、まさか自分が絵本作りに携わるなんて思いもしていませんでした。これもnoteの交流が結んでくれたご縁ですね。

今後の目標は、やっぱり賞をとること。ベストレビュアー賞のくだりでもお話ししましたが、「今度は自分の作品で受賞をしてみたい」という強い想いがあるので、また創作活動をがんばっていこうと思っています。そのコンテストが「創作大賞」だったら、なおうれしいですね。
——音声配信に絵本の制作、小説の創作と、活動の幅はますます広がっていきますね。コッシ―さんのご活躍をこれからも楽しみにしています!
コッシー
介護事業部の統括責任者。noteではエッセイや小説などの創作活動とともに、音声メディア「すまいるスパイス」でパーソナリティを務める。創作大賞2024ベストレビュアー賞を受賞。
https://note.com/kossiy
取材・文:松井さおり 編集:篠宮奈々子(DECO) 企画制作:國學院大學
