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IVRyの半年で激変したコーディング支援ツールCursor, Claude Code等の導入実録

こんにちは komtaki です。みなさん毎日 LLM にコード書かせていますか?

IVRy では、エンジニアは GitHub Copilot, Cursor, Claude Code, Devin など好きな LLM ツールを組み合わせで業務で使うことができます。

ただこれらのツールが使えるようになるまで紆余曲折がありました。ここ半年、「そのタイミングでなぜそのツールを導入したか」を当時の背景を思い出しながら振り返っていきます。

Ubieさん、LayerXさんなどみなさんの発信に多大な影響を受けており感謝です。改めてもっと積極的に発信しなければと反省しました。

なお本記事では、導入判断や効果検証にフォーカスして、それぞれのツールの細かい使い方は割愛させていただきます。

本記事は、#IVRy_AIブログリレー の9月9日(7日目)の記事です。昨日は、AIEのoharaさんが「AIコーディングエージェントと共同するDesign Doc作成フロー - 実践から学ぶコンテキストエンジニアリング」という記事を公開しました。ブログリレーの記事一覧は「IVRy AIブログリレー全記事まとめ」をぜひご覧ください。


ベースの考え方

1. 個人が複数のLLM ツールを利用できるようにする

世はLLMコーディング支援ツール戦国時代で、Cursor, Claude Code, Gemini Cliといろいろなツール次々でてきます。性能もモデルやツールのアップデートによって急に変わることもあります。

だからこそ、「CursorとClaude Codeはできることは部分的に被っているため、今の経済合理性を考えたら1つのツールを導入すればいい。」「次々と新しいツールが出てくるから、勝敗が決まるまで待てばよい。」という考え方もあるかもしれません。

ですが、スタートアップ界隈には有名な名言があります。

スタートアップとは、崖の上から飛び降りながら、飛行機をつくるようなものだ

LinkedInの創業者 リード・ホフマン

スタートアップにおいては指を咥えて戦争が終わるのを待っていたら、会社がなくなってしまうかもしれません。

たとえ、部分的に重複していたとしてもそれで生産性が上がるなら、シニアエンジニアを一人雇う人件費と比べたら明らかに安いです。

ツールごとに特色があるため、開発者のスタイルに合わせて適したツールを選ぶことで個人の能力を最大限より伸ばすことができます。また Claude で障害があって使えなくなった時、柔軟に Cursor に切り替えて、業務影響を抑えられたケースもありました。

2. AIが効率的にコードをかける環境を作る

これらのツールを最大限活用するためにも、AIが効率的にコードをかける環境を作ることが大切です。

ある程度、パターン化してLLMが学習しているコードはLLMに書かせた方が圧倒的に早いです。もちろんLLM は独自のドメインロジックのような特徴的なコードは書けません。だからこそドメインロジックだけ人が書く分業をする。

例えば、共通化が限定的でコピペが歓迎されるような Terraform は典型的です。そこでルールや環境を整えて、AI がコードを書きやすい開発環境を用意することが重要だと考えています。

IVRyでもCursorやClaude の両方から参照できるルールセットの配置や社内用のMCPサーバーの構築、ドキュメントを積極的にGitHubで管理するなど、さまざまな施策が進んでいます。

3. AIを前提にプロダクトと業務を作り直している

もともとIVRyはAIを前提にしたIVRを作っており、2023年ごろからLLMをプロダクトに組み込んでいました。そのため、プロダクトでLLM活用の知見は十分にあり、すでにLLMについて感度が高い状態でした。

LLM開発ツールについても同様で、Foundorの奥西もDevinやClaude Codeの有用性にエンジニアと同じ速度で認知して、社内で稟議をあげたら爆速で決裁してくれました。ここはIVRyのめちゃくちゃいいところだと思います。

エンジニアより早くDevinの話題を聞きつける奥西
Claude Codeおしの奥西

そのうえでIVRyではAIをベースに企業の未来と働き方を変えようと、さらに進化を加速させています。詳しくは下記のnoteを読んでみてください。

LLM 開発ツールの変遷

ここからは、導入したツールについて振り返っていきます。

ちなみに、私は良くも悪くもイノベーター理論に当てはめるとアーリーアダプターです。なので社内外でイノベーターの方が、自腹を切って試した評判を聞いてキャズムを超えたと判断したら Cursor や Claude Code などの各種ツールを会社として導入してきました。

最初は、会社のお金で自分も便利なツールを使いたいし、ついでにチームの生産性も挙げて一石二鳥という考え方でした。ですが、時間が経ちLLMが加速度的に進化して、ソフトウェアエンジニアとしての仕事が再定義されることで危機感が強くなり、考え方も変わってきました。

黎明期: Cline(2025 年 2 月上旬)

もともとIVRyでは、GitHub のアカウントが配られていたので、その延長として GitHub Copilot を使っていました。あくまでコメントで予測コードが出るだけの基本的な AI 支援でした。

しかし、2025 年 2 月にこの記事が流行ったのを覚えていますか?

この記事を見て、「Clineを試したいからGCP で Gemini のキーが欲しい」という依頼がSREにきて、便乗した私含め社内の有志が試しました。

あくまで小規模な検証実験でしたが、まだまだできないことも多いが、新しい時代の到来を感じました。特に、私にとってはAI がより能動的にコード生成を支援できる世界はまさに未来でした。

これをきっかけに、本格的に導入検討を開始することにしました。

この雑アンケートから始まった

導入期1: Cursor (2025 年 2 月中旬~)

アンケートの結果を経て、すでにアーリーアダプターの方が自腹で使っていて評判がいいCursorが候補にあがりました。

すでにCursor Businessは各社で採用実績があり、エンタープライズグレードのセキュリティ(SOC 2 Type II)とプライバシーモード強制適用できて管理しやすいと判断しました。セキュリティ要件をクリアしながら、高度な AI 支援機能を利用できる点が決定的でした。

効果検証

まず 1 ヶ月の試験導入を 14 人で実施。この期間中に SSO・プライバシーモード設定を検証し、勉強会と専用 Slack チャンネルを通じてナレッジ共有を行いました。段階的なアプローチにより、組織全体での導入に向けた準備を整えました。

試験導入の結果、参加者全員が「積極的に使いたい」と回答し、1ユーザー月平均 871 行のコード生成を実現しました。フロントエンド、バックエンド、インフラなど全技術領域で偏りなく活用されており、エンジニアの人件費を考慮すると費用対効果は十分でした。この結果を受けて本導入しました。

導入期2: Devin (2025 年 3月 ~)

Cursor導入後、その流れで話題になっていたDevinも導入されました。Devinは自立型のコーディングエージェントで依頼をすると、PR作成まで作業をしてくれるのが革新的でした。

効果検証

Devinにダッシュボードを作られて分析をした結果、452件のPRが作成され52%がマージされました。その過程でRenovateでライブラリのアップデートをして、動かないやつだけDevinに渡すなど、新しい活用方法が見えてきました。

現時点では、Claude CodeやCursor Agentに押されて使用量が減少気味ですが、引き続きcommitしてくれています。

拡大期: Claude Code MAX 展開(2025 年 6月〜)

Cursor の本格導入後、コスト管理で以下の新しい課題が見えてきました。

  • ヘビーユースすると従量課金で金額が膨れ上がる。個人ごとに利用料上限を設定することもできるが、生産性が上がっているのは事実なので本質的解決ではない。

  • 「モデル料金」「コンテキストの長さ」「会話の長さ」の3つの要素で料金が決まるので、いくらになるか読みづらい。

そしてこの頃、社内で個人利用者から「Cursor よりClaude Codeの方が開発体験が良い」という Claude Code に関する報告が上がっていました。コスト予測の困難さと、より良い開発体験への要求が高まっていました。

Claude CodeはAWS経由でも使えるので、すぐにAmazon Bedrock 経由で試しました。しかし利用可能なQuotaの制限が厳しく複数人で使うと429エラーが多発。Cloude Sonnet 4のService Quota解放申請を出したものの1週間待っても許可されず、Claudeを直接契約する方針に切り替えました。

Claude Code MAX プランの定額制($100/月)により、コスト管理がしやすくなることは非常に魅力的です。使い放題による心理的ハードル軽減効果も期待できます。

ですが、この時点ではTeamプランでClaude Codeは使えず、個人向けのプランしかありません。しかし、弊社もバクラクカードを使っておりLayerXさんを真似して導入に踏み切りました。

効果検証

希望者を募って36人全員にアカウントを配布。バクラクカードで専用バーチャルカードを発行し、利用制限と決済金額を管理可能にして運用を開始しました。個人アカウントなので全体の使用量を把握することはできず、commitのco-authorをメインに効果測定を行いました。

その結果、1ヶ月でフロントエンドで 30,904 行のコード追加を達成し、これは全コミットの 24% に相当する大きな成果でした。新機能開発や大規模リファクタリングで特に効果を発揮し、使い放題により積極的活用が確認できました。

最適化期: Claude Code Teamへの移行(2025 年 9 月〜)

前述したように個人アカウントなので、毎回の請求書アップロードやデータ収集許可の一元管理が困難で、経理とエンジニアメンバー双方にとって運用負担が発生してます。

しかし8/21 のリリースで 企業プランでも Claude Code が利用可能になりました。Teamプランの料金体系が 2 段階構成に変わり、Claude Code用の専用プランが提供されました。

  • Standard シート(月 30$)

  • Premium シート(月 150$、Claude Code 利用時)

一元管理による運用効率化の必要性が高まっていたタイミングで、理想的なソリューションです。

今まさに、組織作成と Team プランの契約を行い、現在の約 40 名のメンバーにアカウントを進めています。移行準備が完了次第、既存のクレジットカードを失効させて強制的に新システムへ移行する予定です。

LLM開発ツール活用の効果

開発者体験の向上では、使い放題による心理的ハードルの軽減は大きな効果をもたらしています。コスト制限を気にせずに積極的にツールを活用できる環境が、開発者の創造性を引き出すことは間違いありません。

リスク分散の観点では、複数ツール選択可能な環境を構築することで、特定のツールへの依存リスクを回避しつつ、各開発者が最適なツールを選択できる柔軟性を実現しています。

今後の展望・課題

ですが、個別のツールごとに効果測定できているものの、モデルごとの性能やツールを跨いだROIの比較はまだまだこれからです。DevinなどのエージェントツールとCursorなどのコーディング支援ツールの比較は軸が異なるので難しいです。

また個人のスキルの最大化はある程度できているものの組織的ナレッジ共有の強化として、個人の知見を組織資産に転換する仕組み作りが重要です。各開発者が獲得したノウハウやベストプラクティスを、チーム全体で活用できる形に体系化していく必要があります。

LLM開発ツール戦国時代で3ヶ月後には新しいツールを入れているかもしれませんが、開発生産性をあげるためにどんどん改善していきます。

最後に

IVRyでは「イベントや最新ニュース、募集ポジションの情報を受け取りたい」「会社について詳しく話を聞いてみたい」といった方に向けて、キャリア登録やカジュアル面談の機会をご用意しています。

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