20XX年11月27日|読む人の運命を加速させる恋愛小説
白い息を見ると、ぼくはきみと出会った頃を思い出す。冬の訪れと一緒に、きみはぼくの世界にやってきたから。
歳を重ねれば重ねるほど、時間の経過は早くなる。過去の重なりによって、時間がその密度を小さくしていくのはどうしてだろう。
でも———
きみといた時間だけは、そんな規定からも自由だった。
それはあまりに濃密で、数日の中に数週間が、数週間の中に数年が、数年の中に数十年が、凝縮されたようだった。
どんな青さよりも、濃密だった。
ぼくらは、社会の中の自己中心的な振る舞いに憧れていたよね。
「あんな風に生きられたら」って。
あれはある意味で冗談だったけど、同時にある意味で、本音だったようにも思う。
もしもあの時、ワガママになりきれたら。
時間は『もしも』を受け入れない。
でも、ぼくらの時間があんなにも濃密で、あんなふうに時間を圧縮できたのだから、ぼくらが力を合わせれば、『もしも』すらあり得る。時間の切れ目から、全くちがった今を、創造できる。そんな気がしてきちゃうんだよね。
馬鹿馬鹿しいよね。けど、馬鹿馬鹿しいことを本気で口にするのが、ぼくでしょ。
きみはこの案に、賛成してくれるかな。
時間を扱うためにはきみの力が必要だから。ぼくひとりでは、できない。
また、手紙を書きます。
【あらすじと初回話】
