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【第4話/全24話】外資という入口 ~ フェデックス

転職するほどでもない。
でも、このままでもない。そんな人のために書いています。

フェデックスという会社の存在は、 入社当初から知っていました。

世界最大の小口貨物輸送会社として、 航空貨物業界では知らない人がいない名前です。

航空貨物代理店の渋谷営業所にいた頃、 お客さんから預かった船積書類を 海外の荷受人に送るとき、 フェデックスの伝票を作るのは 新入社員の仕事でした。

専用の用紙に、 荷受人の住所や品名を書き込んでいく。
毎日のように手を動かしながら、 まさかその会社で働くことになるとは、 このときは想像もしていませんでした。

新入社員の仕事は伝票を用意することから
慣れないタイプライターをカチャカチャ

フェデックスへの転職の話を 最初に持ってきてくれたのは、 渋谷営業所で一緒に働いていた、 一つ上の先輩でした。
年齢が近く、 普段からお茶を飲んだり、 お酒を飲んだりしながら、 いろいろな話をする間柄でした。
仕事もでき、 上司からの信頼も厚い。
持ち前の明るさで、 誰とでも自然に打ち解けられる人でした。
そんな先輩が、 私より少し早くフェデックスに転職したのです。


彼の退職後も、 よくランチを一緒に取りました。
そのたびに、 転職先であるフェデックスの話を聞かせてくれました。

給料が全然違う。
待遇も、 仕事のやり方も、 これまでとはまるで別の世界だ。
そう、熱く語ってくれました。
彼が転職した理由は、 やはり給料の違いが大きかったようです。

何度かそんな話を聞くうちに、 私も自然と関心を持ち始めていました。
ただ当時はまだ、 フェデックスが日本に自社機で乗り入れ、 さらにその後規模を一気に拡大していくとは 想像もしていませんでした。


転職を実際に考え始めたのは、 フェデックスの日本乗り入れのニュースを意識するようになってからです。
それまでは、 先輩の話として聞いていたことが、 急に自分ごととして近づいてきた感覚でした。


最初にその話を聞いたとき、 一番引っかかったのは、給料でした。
頑張れば頑張った分だけ評価され、 それがそのまま報酬に反映される。
いまでは珍しくない考え方かもしれませんが、 当時の私にとっては新鮮でした。
むしろ、 かなり強く惹かれるものがありました。
一方で、そんなうまい話があるはずない…という疑念も抱いていたのも事実です。


それまでの会社では、 給与はある程度決まっているものでした。

年功序列が基本で、 どれだけ頑張っても 大きく変わるものではない。
渋谷営業所の床で拾った給与明細の「違和感」が、 頭の中によみがえりました。あの数字は、 ただの数字ではなかった。
当時の多くの企業の構造そのものが、 あの数字に表れていた。

だから、 「成果が報酬に直結する」という考え方は、 とても魅力的に映りました。


正直に言うと、 その時点では 「外資で働く」ということの意味を よく理解していたわけではありませんでした。

むしろ、 周囲からは不安な話の方が多く聞こえてきました。
「外資はすぐにリストラされる」 「業績が悪ければすぐ撤退する」 「会社ごとなくなることもある」「給料が青天井なんて夢物語だ、やめとけ」
親戚からも、 そんな話を何度も聞かされました。


家族も、最初は驚いたようでした。
強く反対こそしませんでしたが、 「大丈夫なの?」という反応でした。

ただ、 新聞やテレビでフェデックスの乗り入れ決定のニュースを 目にするようになってから、 徐々に安心していったようです。
テレビや新聞に出るような会社なら、 少なくとも怪しくはないのだろう、と。


どこかで、 肩身の狭い思いもありました。
わざわざそんな不安定な会社に行くのか。
そんな空気があったのも事実です。


それでも、 不思議と気持ちは揺れませんでした。
それを上回る魅力があったからです。
給料。
そして、 その裏にある評価の仕組み。


ダメでもともと。
そんな気持ちだったと思います。


振り返ってみると、 このときの私はまだ、 その会社の本質を理解していませんでした。
成長の機会や、 自由な社風、 スピード感、 そして海外との競争。
そういったものの価値に気づくのは、 もう少し後のことになります。


ただ、 一つだけ確かなことがありました。
それは、 今のままでは見えない世界が そこにあるかもしれないということです。
そして私は、 その世界に一歩踏み出すことになります。

この続きは第5話で。

第1話から第3話までをまとめたコラムも良かったらコチラ↓からどうぞ。

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